マルゼン ガスガン M1100 BV
レポート:戸井源太郎
ショットガンのトイガンは、やはり1ショットで複数弾を撃ちたい! と多くの人が思うところではないでしょうか?
しかも射撃ごとにショットシェルが勢いよく排莢されるライブシェル式セミオートとくれば、トキメかないはずはありません!
それが楽しめるのがマルゼンのガスショットガンのM1100です。
このショットガンは約20年くらい前から発売されていましたが、2017年の12月に何年かぶりにマルゼンから再販されたので、レビューしたいと思います。まだ寒い時期のレビューということで、今回は主に屋内で試射を行いました。
実銃のM1100はレミントン・アームズ社のショットガンです。レミントン・アームズ社は1816年創立のアメリカでも最古参の銃器メーカーで、現在もウィンチェスターと並び、狩猟用のライフルと散弾銃の大手メーカーです。
レミントンといえば、M24やM40のベースになったM700シリーズのボルトアクションライフルや、ポンプアクション式のM870ショットガンなどが有名ですよね。
さて、このM1100は1963年にガスオペレーション式のセミオートのショットガンとして発売されました。セミオートにすることで、リコイルを軽減し、精度を高めようと目論みでしたが、M1100の前作であるM58では、狩猟用の様々な弾種ごとにガス圧が違うため、確実に作動させることが難しかったようです。M1100では機構も改修、洗練され、スラッグ弾、バックショット、バードショットなど各種弾丸でも高い信頼性を得て、100万挺以上のヒットとなっています。
M1100 BVの“BV”はブラックバージョンの略です。BVのとおり漆黒の装いで、全長1m超え。そして12番ゲージ(18.4mm)の大口径のバレルの迫力は圧倒的です。
外観はABS樹脂、グラスファイバー樹脂製ですが、芯となる機関部は金属製なので剛性は高いです。銃身と同じ長さ、同径のマガジンチューブが威圧感がありますし、装弾数も多いので個人的には好みです。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
|
|
パッケージは無地の段ボールにモデル名のステッカーが貼られたシンプルなもの。中は発泡スチロールで銃が保護されています。パッケージサイズは約1,200 x 190 x 90mmでかなり細長いです。
銃本体他に取説と補足説明書、ショットシェル3発、クリーニングロッド、BB弾が同梱されています。
レシーバーは非常にシンプルなデザインです。左側にM1100の刻印とMARUZEN JASGの刻印が入っています。M1100はセミオートのショットガンなので、ボルトにはコッキングレバーがあります。
レシーバー上部は反射防止のセレーションがあるのみでショットガン然としています。リアサイトはありません。
12番ゲージ(18.4mm)の大口径バレルとその下はバレルと同径のマガジンチューブで、ここにショットシェルが装填されます。そしてフロントサイトはありません。
複数弾射撃可能なショットガンですが、東京マルイとは違い、インナーバレルは1本です。マルゼンはショットシェルに直列に1〜3発を装填し、1本のバレルから同時発射することで、散弾を実現しています。
このM1100はセミオートショットガンですので、ハンドガードは固定式です。
ハンドガードの先にはスリングスイベルがあります。
アウターバレルには左側には使用弾について、右側にはレミントン(正確には最後のNがない)の後に「MADE IN JAPAN」の刻印があります。
滑らかなカーブで構成された美いトリガーガードです。トリガーは打撃式ではなく、押し込み式ですが、シアが落ちるような感触を味わえます。
セフティはトリガーガード後部にあります。クロスボルト式で、赤い線が見えている状態で「FIRE」で、押し込んで「SAFE」になります。
ストックはグラスファイバー製で軽量で強度があります。グリップ部は絶妙な角度で握りやすく、チェッカリングで、しっかりグリップできます。
ストックは絶妙な膨らみがあり、頰にしっかり当たり、狙いやすいです。バットプレートはラバー製で、ここが着脱式のガスタンクになっています。
リコイルパッドの側面中央を両側から押すと、ガスタンクを取り出せます。装填するときは押し込むだけでOKです。
ガスタンクがストック内で接続されます。 ガスタンク横の両サイドにあるツメで銃本体に固定されます。
リコイルパッドとガスタンクが一体になった独特な形状のガスタンクです。この反対側にガスの注入口があります。ガスタンクの重量は519gです。
マルゼンのM1100はライブカート式です。プラスチック製で、全長58mmで、重量は11gです。
シェル先端部からBB弾を込めます。このシェルにBB弾を1〜3発装填します。3発以上装填すると最初に込めたBB弾は上部のパッキンから落ちて、シェル内でカラカラ音がします。ショットシェルには5発以上BB弾を装填できますが、マルゼンでは3発までが実用的と推奨しています。
シェル底部には、「MARUZEN 12 GAUGE」の刻印があります。排莢のためにエキストラクターが引っ掛けるリム部は真鍮製ですが、長期間使用すると地面に落ちた衝撃などで、傷ついたり凹んだり、正しく排莢されなくなる場合があります。
このショットシェルは消耗品として定期的に買い換えた方がよいでしょう。スペアのシェルも5発/1,500円(税抜)で高くはありません。またこのシェルは同社のM870とも共用できます。
レシーバーの下からショットシェルを込めます。ショットシェルをバレル下のマガジンチューブに押し込んでいきます。
マガジンチューブ内でカチと音がするまで押し込みます。正しく装填されたら次弾をその後ろから装填します。マガジンチューブ内にシェルは7発入ります。
7発シェルを装填したらコッキングレバーを引いて、初弾を装填します。実はマルゼンのM1100というかマルゼンのショットガンはチェンバーレスです。チェンバーに装填されたようでいて、シェルはボルトカバーの内側にあるのです。
実射テスト
今回の実射テストは、季節的に複数弾発射可能なショットガンのガスブローバックということで屋内レンジを主として実射テストを行いました。
使用BB弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2gです。
一応、動作確認の意味も含め、試しに屋外でショットシェルに1発だけBB弾を込めて、ちょっと撃ったところ、20~30mくらい真っ直ぐ飛んでいきました。A3サイズになんとか命中する精度はありました。BB弾3発同時発射だと飛距離は落ちますが、それでも20mくらいならボディくらいのサイズならある程度集弾できる精度はあります。
正直、固定ホップ搭載といえども、カート式なので、精度はあまり期待していませんでしたし、複数弾発射では、10mも飛べば充分かなぁと思っていましたので、予想外の高精度と飛距離だったのが嬉しい誤算でした。
セミオートのショットガンなので、トリガーを引くだけで連射できます。なにより撃つたびに大きなショットシェルが排莢されるのは、豪快で楽しいですね。
ただ室内でも、ガス圧が低いためかジャムが多かったです。7+1発の計8発でジャムなしで撃ちきるのは難しい感じでした。
あとシェルにBB弾0発(空撃ち)、1発、2発、3発と装填数が多くなるにつれて、排莢時シェルの飛距離が短くなっていきます。空撃ちなら1mほど勢いよく飛んでいきますが、3発装填するとエジェクションポートからポロッと落ちる程度です。発射の方にエネルギーが取られるのでしょうね。
元々ショットガンは近距離での制圧を目的にしている銃です。10m以内での複数弾同時発射はかなりインパクトがあります。
また近距離ならサイトが無くても、その長いバレルで大体のサイティングができます。オートなので、速射も可能です。3つ並べたレクタングル(四角形のプレート)へも「ガイン!、ガイン!」と当たって気持ちが良いです。5m程度の距離なら3発同時発射でも、ほぼまとまって着弾します。銃身が長いので狭いところでは取り回しに慣れが必要ですが、インドアフィールドでもマルゼンのM1100は使えそうです。
総評
寒い時期でも短時間なら問題なく動き、飛距離も充分ありました。そしてBB弾1〜3発と装弾数を選択できるのがよいですね。固定ホップ搭載で、BB弾1発では初速も80m/s以上あり、距離30mでも狙える精度があります。夏ならもっと初速は上がるでしょうか。そのため3発装填時でも10m以上、20m近く集弾して飛びます。
また実銃と装填方法が同じシェル式なので、このマルゼンのM1100は、まるで実物のショットガンを扱っているかのようなリアリティを覚えます。
撮影協力 マルゼン、AIRSOFT ZONE DELTA、ビレッジ2
■関連レビュー
マルゼン ワルサーP99 カービンコンバージョン セット
マルゼン エアガン APS SR-2 ロングレンジ バージョン
マルゼン エアガン CA870 ストック
東京マルイ ガスガン M870タクティカル
東京マルイ エアガン M3 ショーティ