マルゼン ワルサーP99 フィクスドスライド(FS) カービンコンバージョン セット
レポート:戸井 源太郎
レールやストック、フォアグリップが一体となったカービンキットとハンドガンが合体!
ハンドガンをより攻撃的なカービン銃に変身させるマルゼンのワルサーP99 カービン コンバージョンセットです。
本体となるワルサーP99はフィクスドスライド、つまり固定スライドガスガンで、ワルサー社の正式ライセンスを取得したモデルです。
カービンキットは、みるからに海外エアソフトガンメーカーのAPSやCAAが元ネタだろうと推測できます。
しかも、このワルサーP99のカービン コンバージョンセットの発売は、実は2011年末で、今回は久しぶりの再販ということだそうです。当時、まったくこんなモデルがあるとは、まったく知りませんでしたよ。ということで今回はこのトイガンをレビューしたいと思います。
ドイツ、ワルサー社と言えばP38やPPKが有名ですが、戦後は永らくヒット作に恵まれなく、すでに過去のメーカーと思われていたワルサーが1996年に満を持して発表したのがP99です。
ポリマーフレームを採用し、左右どちらからでも操作できるマガジンキャッチ、3種のバックストラップにより、グリップを射手の手に合わせて交換可能な人間工学に基づいたデザインとなっています。
スライドの後端にはコッキングインジケーターを搭載している他、デッコッキングボタンを搭載し、ストライカー方式でもシングル、ダブルアクションのどちらからでも射撃が可能となっているなど、目を見張る機能が満載であり、その後の各メーカーのハンドガンにも影響を与えたともいわれています。
また映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドの愛銃がPPKからP99になったのは有名ですよね。ただ、実際のセールスではあまり振るわなかったようですが...。
カービンキットは上記したとおり、海外エアソフトガンメーカーのAPSやCAAのモノに酷似しています。
CAAは元々、実銃用パーツメーカーでもあるので実銃用のカービンキットもリリースされています。
■スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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ワルサーP99を包み込むカービンキットで、分離も可能です。ボディはレールも含め、ナイロンファイバー製となっていて、サイズ的にはH&KのMP7A1と同じくらいといったところです。光学サイト他アクセサリーも搭載可能となります。ストック、フォアグリップにより、しっかり狙える攻撃的なハンドガンです。
パッケージはステッカーのみのシンプルなものとなっています。ワルサーP99はカービン コンバージョンセットに組み込まれています。パッケージサイズは横545×縦210×厚110mmです。
パッケージ内容は本体、マガジン、ワルサーP99のフィクストモデルの取説とカービン コンバージョンセットの使用説明書、追加使用説明書、リリース棒にBB弾50発が同梱されています。
ワルサーP99のフレーム部とスライドの一部が露出しています。前部がかなり図太く、フロントヘビーに思えるかもしれませんが、ナイロンファイバー樹脂製なので、実際に手にしてみるとそれほど重くは感じません。
フォアグリップが標準装備されています。グリップ基部を押せば、折り畳むこともできます。
フォアグリップの独特な形状も、折り畳めばその理由に納得します。ボディ形状と一体化するデザインになっています。
また、このフォアグリップ自体も着脱可能です。上のボタンを押しながら前方にスライドさせれば取り外せます。
フォアグリップを外すとレールがあります。またサイドレールも左右両面に装備しています。どちらも材質はナイロンファイバー製となっています。
フラッシュハイダーはアルミ製となっています。このカービンには、ワルサーP99と連結されるようなインナーバレルなどはなく、ただの筒といったものになります。
ストックもナイロンファイバー製で、バットプレートはラバー製となっています。ストック長の調節はボタンを押して行います。こちら側からのみ操作可能です。
リトラクタブルストックで、長さは6段階で調節可能です。
本体上面はレールになっており、光学サイトなどの搭載が可能です。またトップレールもナイロンファイバー製です。着脱式のフロント、リアサイトは付属していません。
カービンキットに組み込まれてもワルサーP99の各種操作、ボルトストップレバー、デコッキングレバーの操作が可能となっています。しかし、このワルサーP99は固定スライドガスガンなので、上記のパーツはダミーとなっています。
右側はエジェクションポートが露出するようになっています。またコッキングハンドルにより、スライドが引けます。こちらも固定スライドなので、レバーは引けません。
ワルサーP99の取り出し
まずストックを伸ばします。次にストック基部にあるピンを抜きます。
ピンを抜いたらストック基部のブロックを後ろにスライドします。
フロント部にあるピンを抜きます。
ピン1本でカービンキットのフロント部分がブロックごと外せます。
カービンキットの前方下部がヒンジになっており、本体が開きます。これでワルサーP99を取り出せます。
ワルサーP99はカービンキットのモールドにより位置を固定されているだけです。ネジ留めなどもなく、工具も必要ないので、簡単に着脱できます。
カービンキットを固定している2本のピンはナイロンファイバー製です。
ワルサーP99本体に被せるコッキングハンドルが同封されています。
これはワルサーP99のリアサイトに被せるだけです。
マルゼン ワルサーP99 Fixed Slide(FS)
ワルサー社の正式ライセンスを取得したマルゼン ワルサーP99 Fixed Slide(FS)。ワルサー社からの図面提供により、サイズ、刻印とも忠実に再現されています。
非常にリアルな出来でありますが、固定スライドガスガンなので、スライドは動きません。またボルトリリースレバーやデコッキングレバーも別パーツになっていますが、可動しません。ホップはスライド上部エジェクションポート後部にあり、精密マイナスドライバーで行います。
本来はスライドを外すときに下に押し下げるリリースレバーがマニュアルセフティとなっています。左の状態で「FIRE」です。セフティはクロスボルト式で、反対側からリリースレバーを押し込んで、右写真の出っ張った状態で「SAFE」になります。
弾がチャンバーに装填されていることを知らせるコッキングインジケーターは、トリガーを引いて撃つ直前にピンが一瞬出てきます。
マルゼンといえば、ワルサーP99のガスブローバックもラインナップしています。このカービン コンバージョンキットに組み込むことはできるのでしょうか?
正解は、ガスブローバックのワルサーP99も無加工で組み込むことができます。
ガスブローバックのワルサーP99はデッコキングレバーやコッキングハンドルもライブ可動しますので、このカービンキットのデザインが活きてきます。
実射テスト
ハンドガンがベースですので、今回のターゲットは30mで試射を行いました。BB弾はいつもと同様、東京マルイ ベアリングバイオBB弾の0.2gです。
カービンキットのボディはほぼナイロンファイバー製なので、重くはありません。ストックもあるので、しっかり狙えます。
ただレールが意外に低いのが難点でした。ローマウントのダットサイトだと非常に狙い難かったです。
またホップの調整ですが、本体であるワルサーP99を一旦、カービンキットから分離しなければなりません。残念ながらセットした状態ではホップの調節できませんので事前のホップ調整が必要です。
試射を行ってみると30m以上は飛びますが、イマイチ纏まりがないように思いました。
なんとかボディに当たる感じでしたね。また、たまにフライヤーが出ます。
ホップの調整も非常にシビアでおいしい所が少ない感じがしました。
また、ワルサーP99単体でポップを適正に調整してもカービンキットに組み込むと、なぜか少しドロップするように感じました。
トリガーはそれほど重くはありませんがガスブロと違い、ストロークは長いです。そのため速射もしにくく、連続でトリガーを引くときにブレて、弾道も乱れます。
速射中にトリガーをひき切らずに戻してしまうとダブルフィード(二重装填)して弾ポロします。このあたりはガスブロに比べて不利な点ですね。
とはいっても手のみで構えて、狙うハンドガンに比べたらストックとフォアグリップがついているカービンの狙いやすさ、撃ちやすさには雲泥の差があります。
さらに上下左右にレールがあり、ドットサイトはもちろん、ウエポンライトなどのアクセサリーを搭載でき、多少重くなっても、それ以上に素早く安定した射撃が可能です。
そしてハンドガンよりは大きいといってもサイズはMP7程度で、コンパクトといってよいでしょう。走り回っても体の負担も感じられません。
このワルサーP99 カービン コンバージョンセットは部屋や通路などがある入り組んだ室内フィールドで威力を発揮するのではないでしょうか?
フルサイズの電動ガンでは取り回しにくい上に、至近で撃つのも相手に悪いと思ってしまうことがあります。しかし元々がハンドガンなら電動ガンに比べてもパワーは少し弱めなので、罪悪感も少なくて済みます(笑)。そしてストックがあることでしっかり狙えます。状況に応じて、分解してハンドガン単体でも戦えます。
まさにCQBで本領を発揮するのではないでしょうか?
固定スライドガスガンなので、マガジンを入れてトリガーを引くだけで扱いも簡単ですし、ガスの燃費もよいです。
またマルゼンのワルサーP99のガスブローバックをお持ちでしたら、そちらに換装するのもよいでしょう。シングルアクションでも撃てるため、速射時も狙いがブレにくく、ブローバックアクションも加わり、楽しさもアップすること間違いないです。
そして当然ながらエアソフトガンの黎明期から作り続けている信頼のマルゼン製ということで、トラブルは一切ありませんでした。
撮影協力:ビレッジ2
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