KSC ガスガン Vz61
実銃のVz61は1961年にチェコスロバキア軍に制式採用されたサブマシンガン。作動はシンプルなブローバック方式で、ボルトの速度を低下させるためのレートリデューサーを内蔵したクローズドボルト方式を採用する。口径は.32ACPのほか、380ACPなどのバリエーションが存在する。小さいボディながら正確な射撃と連射が効き、その姿形からスコーピオン(蠍)の異名を持つ。
弾薬の大きさ比較。9mmルガーと.380ACPは口径は同じだが薬莢長が異なる。.380ACPと.32ACPは薬莢長が同じだが口径が異なる。
.32ACPや.380ACPは亜音速弾なのでサイレンサーを装着した際の効果も高いと言われている。
KSC ガスガン Vz61 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
2014年9月に発売されたKSCのガスガン、Vz61をレビューしていこう。
レシーバー上部に被さるように収納されたワイヤーストック。これがサソリのしっぽのようにも見えることから"スコーピオン"の異名を持つ。小さいながら強烈な一撃を与えるVz61にぴったりの名前。
レシーバーはアッパー、ロア共にヘビーウェイト樹脂製。マットな質感と重量感にあふれた凝縮された雰囲気を醸し出している。
セレクターはレシーバー左側面にある。レバーを90度の範囲で回転させてセレクトする。
中央がセフティポジションで、後ろがセミオート、前に回すとフルオートとなる。またセフティポジションではボルトロックが作動し、ボルトは引けなくなりトリガーもロックされる。
ワイヤーストックを開いた状態。少しガタつくしホールドしにくいが、あくまで簡易的なストックと割り切るのが良いだろう。
ストックのロックを解除するには緑矢印の部分を押してストックを回転させる。
また、赤矢印のストック基部のロックピンを押しながら横にスライドさせればストックを取り外すことができる。
リアサイトはL字型の切り替えブレードでUノッチ。75と150の刻印がある。
アウターバレルは亜鉛ダイキャスト製。根元にサイレンサー固定用のラグがある。※KSC純正の専用サイレンサーはこのレビュー執筆時未発売。フロントサイトガードはスチールプレス製。サイトピンは偏心していて付属の調整ツールで回転させて微調整できる。
グリップは黒の樹脂製。グリップ底部にはグリップ分解用のグリップナットがある。
木製グリップに変更してみたくなる。
マガジンハウジングの実銃と同じ位置にシリアルナンバー刻印が入る。側面にはマガジンリリースボタン。
トリガーガードはスチールプレス製。
ホップアップの調整はまずマガジンを入れ、ボルトを引いて後退した状態でロックさせる。
付属のホップアップ調整ツールをレシーバー上部の排莢口から入れ、チャンバー外周のドラムダイヤルに突起を当てがい左右に回して調整する。
左側面。
右側面。
通常分解はまずマガジンを抜き、ワイヤーストックを開く。マガジンハウジング前方のレシーバーピンを抜けばアッパーレシーバーを前方へ取り外すことができる。ボルトを後退させ、両側のボルトノブを取り外せばボルトをレシーバー後方へ引き抜ける。レシーバーピンを完全に抜かなければ実銃同様にテイクダウンもできるが、HW樹脂レシーバーの強度的に取説では推奨されていない。
セミ/フルオートポジションでは矢印のボルトキャッチが下がっているが、セフティポジションにすると突起が上がり、ボルトをロックする仕組み。なお、実銃ではレシーバー後方のボルトフックがレートリデューサーとして働くがKSCのVz61はこの機能は省かれている。
ボルトとハンマーの接触する部分にはスチール製のチップがインサートされ耐久性を高めている。
マグネシウム合金製ボルトアッシーの重量は109gと軽量。
残弾0になるとマガジンフォロアーがオープンプレートを押し上げボルトに引っかかってホールドオープンする。
グリップナットは細めの金属棒などを使用して回転させ取り外せる。
グリップナットを取り外すとリコイルバッファスプリングと共にナットが抜け、グリップを下方へ取り外せる。
グリップ内部にはグリップチューブがあり、実銃同様にリアルに再現している。
拳銃なみにコンパクトなサイズなので種類にもよるがピストルケースにもギリギリ収まったりする。
本体重量は1,555g。
コンパクトさと相まって、ズシッとした重量感がある。
リアルカウントの20連マガジンは1本275g。
亜鉛ダイキャスト製でリップ部分は樹脂製となっている。前面にフォロアーがあり、フォロアーを押し下げると一番下でロックする機構。BB弾の装填時に便利。
別売オプションで40連のロングマガジンもある。
スコーピオンはコンパクトなので片手でもハンドリングしやすい。2丁持ってアキンボだ!!
そのコンパクトさから女性にもおススメ。またインドア戦などのCQBでも取り回しやすいので活躍するだろう。※撮影協力: コンバットアームズ みったん
スコーピオンの気になるところとしては、ドットサイトなどの光学照準器が搭載できないことだろうか。暗所などではアイアンサイトを見失いやすいので何かしらの工夫が必要。サイドマウントなどで搭載できなくもないが、ストックなどは開閉できなくなる。まあ、スコーピオンに光学照準器と言うのも野暮な話だけどね...。
あとはセレクターがセミオート、セフティ、フルオートという順番で、セフティON時にはボルトがロックされるので慣れないと少々戸惑った。装弾数が20発と少ないが、スタイルはともかくオプションの40連マグを使用すれば解決するだろう。
全体的には実射性能も良く、ブローバックもシステム7とマグネシウムボルトによって非常にキビキビとした小気味よい動作をする。リコイルの感触もカチッとしていてメカニカルな印象。
ホップアップ調整が少ししにくいが、弾道性能は直進性も良く素直だ。小型サブマシンガンなのでバラ撒きタイプかなぁと思っていたら予想以上に真っ直ぐBB弾が飛んでいき驚いた。
箱出し当初はマガジンとボルトのすり合わせが渋く、閉塞不良を起こしやすかったが、接合面にオイルを塗布したら徐々に動きは良くなった。
内部構造・操作方法をリアルに再現し、重量感あるHW樹脂による超コンパクトなサブマシンガン。コレクションとしても所有欲をくすぐる逸品。もちろんサバゲーにおいてもインドア戦などの立ち回りには重宝する。Vz.61はマルゼンや東京マルイからもモデルアップされているが、後発なだけに他社商品にはない魅力を持っている。サソリ好きにはぜひ。
2014/11/29
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