ASG 電動ガン CZ 805 BREN A2
レポート:戸井 源太郎
以前、ハイパー道楽でデンマークのトイガンメーカー、ASG(Action Sport Games)のCZ EVO3A1 スコーピオンの電動ガンレビューで試射する機会がありました。その時、飛距離、精度と、その実射性能には驚かされました。
そのASGの最新作であるCZ 805 BRENがようやく2016年秋に発売されましたので早速、レビューをお贈りしたいと思います。
CZ 805 BRENは、『CZ(チェスカ・ズブロヨフカ)』からわかるようにチェコが誇る銃器メーカーのアサルトライフルです。2005年から開発され、2010年にチェコ軍の制式ライフルに採用されました。
このCZ 805 BRENはSCARの丸みをなくしたようなルックスで米のRobinson Armament社のXCRにも似たスタイルです。
スタイルだけでなく、それらと同様にモジュラー式になっていて、わずかな部品交換で5.56mmx45、6.8mmSPC、7.62mmx39といった3種の口径を使い分けられるのも特徴です。作動方式はガス圧作動式、閉鎖機構はロータリーボルト式とオーソドックスなメカとなっています。
ASGは毎年米ラスベガスで開催されているSHOT SHOWにも出展しており、2015年には電動ガンのCZ 805 BRENのリリースが発表されていました。個人的にはこちらの方を待ち望んでいました。※写真は2016年のSHOT SHOWブース。
実銃では、チェコ軍採用と同時にセミオートオンリーの民間モデルもリリースされており、M4マガジン用のハウジングやストックなどのカスタムパーツもあり、自分好みのカスタムを楽しんでいるようです。
それではASG CZ 805 BRENの電動ガンをみていきましよう。
アッパーレシーバーはアルミ製、フレームやストックはナイロン樹脂製で実銃同様の構成です。またCZ社の正式ライセンスを取得しているため、リアル刻印となっているのも嬉しいですね。
またロングバレルのA1、ショートバレルのA2、そしてカラーバリエーションでTAN、ブラックと合計4種モデルアップされています。レビューはA2のTANカラーで進めたいと思います。
ちなみにASG(Action Sport Games)はデンマークの電動ガンメーカーですが、電動ガンは台湾で製造しています。最近、信頼性、精度とともに向上している台湾製電動ガンということからASGの電動ガンも大変、期待できます。スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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銃本体がプリントされたパッケージでサイズは960 x 300 x 115mmになります。
本体、マガジンはウレタンで保護されて収納されています。カラーバリエーション及び、A1、A2共通のパッケージとなっています。
同梱物は取説のみですが、完全日本語版となっています。バッテリーの挿入方法、コッキングハンドルの左右入れ替えなど写真付きで解説しているので、大変わかりやすいです。
アッパーレシーバーはレールが一体化されたアルミ削り出しで、フレームはナイロン樹脂です。
フレーム左側のセレクター前にあるボタンはボルトストップですが、この電動ガンではダミーとなっています。
セレクターは左右どちらからでも切り替えが可能なアンビ仕様です。セフティ、セミ、フルと切り替えがトリガーから指を離さず、親指で操作できます。
実銃では2点バーストも可能なモデルが法執行機関向けに製造されています。
トリガーガード前方に邪魔にならないようマガジンキャッチが配置されています。こちらもアンビになっており、左右どちらからでも操作できます。
ちなみに実銃では、M4系マガジンを使用できるアンビ仕様のロアレシーバー(マガジンハウジング部の交換で可能)もリリースされていて、米国市場ではそちらがメジャーです。電動ガンは海外マーケットではすでにM4マグモデルがリリースされていますが、現時点で国内販売は未定です。
ASGはデンマークのエアソフトガンブランドですが、電動ガンの製造は台湾メーカーのOEMです。マガジンハウジング右側には「Cal.6mmBB」と「MADE IN TAIWAN」と刻印されています。
グリップはナイロン樹脂製でトリガーガードと一体化した形状です。グリップ後部が別パーツとなっています。実銃には交換用のバックストラップがありますが、電動ガン用は販売されていないようです。
コッキングハンドルを引けば、エジェクションポートが開き、ドラム式の可変ホップダイヤルが現れます。
アッパーレシーバーとハンドガードは一体型なので、剛性は高いです。左右のレールのネジでアウターバレルを固定しているので、好みで取り外して、使用はしないように。
下面にもハンドガードいっぱいにレールを装備しています。
上面はレールを配したフラットトップです。ナンバリングも刻印されており、アクセサリーの再装着時の目安になります。
BREN A2のバレルはガスブロックのすぐ先にフラッシュハイダーがあるショートバレルです。
レールハンドガード先端にはアンビのスリングスイベルリングも装備してします。
こちらはBREN A1のバレルです。A2より約8cmほど長いです。電動ガンでは、その分、インナーバレルも延長されています。
フロントサイトは着脱可能な樹脂製のフリップアップを標準装備されています。ボタン式でサイトが勢いよく起き上がります。サイトは上下のみ調節が可能です。
リアサイトもフロントと同仕様のものが標準装備されています。リアサイトは大小のピープの選択式で調整は左右のみ行えます。
ストックは樹脂製でM4のリトラクタブルストックのような形状で、5段階に伸縮します。
ストック基部にあるボタンを押せば、ストックは折り畳むことができます。
折り畳んだストックは基部に軽くテンションがかかりブラブラすることはありません。ストックを最短にしてもグリップを握れますが、トリガーフィンガーが少しストックと干渉します。ストックを伸ばせば問題はありません。
ドットサイトなど光学機器を搭載しても狙い易いようチークパッドが装着されています。チークパッドの高さは調整はできませんが、前後に位置を調整できます。しかしこれはあまり意味ないように思います。
バッテリーはレシーバー上部、メカボックスの上に収納します。そのためにはストックを外す必要があります。その方法は至って簡単です。ストック基部にあるピンを抜きます。
ピンを抜いたらストックを下方にスライドさせて取り外します。バッテリーはメカボックスの上の隙間に収納します。
メカボックスの上部のスペースにバッテリーを収納します。リポのスティックなら全長175mmのロングタイプでも収納できました。またレシーバーエンドにアンビのスリングスイベルリングがあります。
マガジンはプラ製の550連の多弾倉です。重量は153gと超軽量です。実銃はシースルーマガジンなので、この多弾マグも半透明にして残弾が見えるとよかったですね。
このASG CZ 805 BRENの電動ガンは5.56X45弾モデルで、調べてみるとマガジンはG36タイプとありました。東京マルイのG36用ノーマルマガジンと並べてみると似ているような似ていないような…。
試しに東京マルイのG36用ノーマルマガジンをASG CZ 805 BRENに装着してみたら、難なく入りました!もちろん発射も可能です。G36用マガジンを持っていれば、そのまま流用できます。
通常分解
まず最初にマガジンハウジングにあるピンを抜きます。
次に左右のサイドレールを六角レンチで外します。
左右のサイドレールを外したら、ハンドガード先端上部にあるネジを六角レンチで外します。
左右のレール、先端のネジを外すとバレルアッセンブリーを前から抜き出すことができます。
アウターバレルの根元からインナーバレルをスルっと取り出せます。
レシーバーを下から見たところです。コッキングハンドルを留めているネジを六角レンチで外せば、ハンドル位置を左右入れ替えることができます。
バレルアッセンブリーを外すとフレームを取り外せます。
工具入らずというわけではありませんが、簡単な作業でここまで通常分解が可能です。フレームまでは分解していませんが、メカボックスはVer.3のようです。
実射テスト
ASG製品では、前述したようにEVO3 A1スコーピオンをレビューしたことがあります。その時は、予想以上の実射性能に驚きました。そのため、このCZ 805 BRENも期待大です。
レビューはいつもと同様、距離40mで、使用BB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gです。バッテリーはリポの7.4Vを使用しました。
実際に試射してみたところ、期待通りの高精度でした。ホップアップも調整しやすく、まっすぐな弾道を得られました。
距離40mではボディにほぼ全弾命中します。ヘッドショットの狙撃も充分可能です。フルオートでは弾道が一筋の線になって見えます。
初速が94m/s前後で安定しており、そのため初速のバラつきによる弾道の乱れもないと考えられます。
試しに距離50mで試射してみたところ、頭、1、2個分ほど、上に狙いをつければ、ボディにヒットできます。ほぼフラットな弾道といってよいでしょう。
50mで実際に撃たれてみましたが、まだBB弾に充分エネルギーが残っており、シャツ1枚や素肌だと痛く感じるほどでした。
またセミオートでのトリガーのレスポンスもよく、よい感じです。速射しても十分ついてきます。メカノイズもレスポンスがよいため、気になりませんでした。
オーソドックスなアサルトライフルのスタイルで、コッキングハンドルやセレクターなどセレクターなどはG36やMP5系と似ており、グリップから手を離さず操作でき、M4に慣れていても、あまり違和感なく扱えると思います。
またM4とは違い、ストックも折り畳めるため、コンパクトにもなります。市街地を模したフィールドやインドアフィールドではSMGのように扱えるのがいいですね。
試射の成績も優秀で、トラブルもなく、特に問題点はありませんでした。
が、あえて不満をいわせていただくと、EVO3 スコーピオンで、目玉だったFET内蔵の電子トリガーの搭載と、電子制御のバースト射撃がないことですね。
また多弾倉マガジンのためかオートストップ機能がないのも少し残念です。
前作で搭載されていた装備が最新作で、しかもサイズも大きいモデルで、なぜ省略されているのが疑問です。サバゲー専用ということで割り切った設計なのか、それともコストダウンのためなのかもしれません。
また通常分解してみても、取説を読んでも、FETについての明記はなく、どうやら非搭載のようです。せめてスイッチの焼き付き防止のためにも搭載して欲しかったですね。
この仕様であれば装弾数の差はあるにせよ、M4系スタンダード電動ガン用のマガジンを使用できるバージョンを国内販売したほうが良かったと思います。
あともう1点、レシーバーの塗膜が薄いというか剥がれやすいです。ストックの固定ピンを何度か抜き差ししているだけで、その周りの塗料がすぐに剥がれてきました。
電動ガンとしての工作精度、実射性能、信頼性、銃のルックスとどれもスタンダード電動ガンとしては最高レベルにあり、東京マルイの電動ガンに匹敵します。撃ち負けることはないでしょう。
電子トリガー非搭載とはいえ、セミオートでのレスポンスも悪くない、というより非搭載と思えないほどのダイレクト感があります。
実際のサバゲーには、コンパクトで剛性が高く、このような扱いやすいスタンダード電動ガンが一番、強いのではないでしょうか。価格も年々高騰する東京マルイ製の電動ガンと比べてら、そう高いとは思いませんし、妥当なところだと思います。
協力:ビレッジ2
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