MGC ナストフ.45
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
MGCのGM6シリーズを紹介するのはこれで3回目だ。ヒット作が生まれると、それをプラットフォームにして次々とバリエーション展開するのがMGCのお家芸だったが、中でもGM6はかなり種類が多い。
ナストフカスタムは大型のコンペンセイターと短いスライドが特徴のコンペティションガンだ。その姿はスライドを引いたときこそ美しいのだが、残念ながらGM6はスライドが固定されている。もちろん、当時はまだガスブローバックの普及前なので仕方ないのだが、固定スライドでありながらハンマーがちゃんとシングルアクションでレットオフする、というのがポイントだ。
これは"HARET" ハレットアクションという独特な作動方式によって実現したもので、発射後にトリガーから指を離すと、(スライドは後退しないのに)ハンマーがせり上がってコッキングされる仕組みだ。
一連の動作については、以前紹介したウィルソンLEのページをご覧いただきたい。トイガンデザイナーの神様、小林太三さんの天才ぶりがよくわかるメカニズムで、ボクはこれを初めて見たとき、あまりの独創性に大げさではなく本当に息を飲んだものだ。
外観も素晴らしく、ひけのないキリッとした成型は直線的なデザインを実によく引き立てている。また、ステンレス調のメッキはある意味究極の仕上がりで、この時期のMGC製品は、外観のリアルさにおいて最高潮に達していたといっても過言ではないだろう。
そうなると、やはりスライドが動かないのは返す返すも残念だといわざるを得ない。これはおそらく、当時のガンファンなら全員がそう思っていたはずで、その後マグナブローバックの登場と同時に、ハレットアクションのGM6シリーズは一気に廃れていくのである。
全体的に統一感のある仕上げが美しい。ABSと亜鉛ダイキャストという、異なる素材がまったく同じ色調でメッキされている。ユーザーからすると当たり前のようにも思えるが、実はとても難しい技術なのだ。
上に大きなガスポートの開いたコンペンセイター。ガバメントのスライドと同型のため違和感がない。インナーバレルはライフリング入りのサイクロンバレル。
ベースモデルがスプリングフィールドアーモリーの1911A1となっている。スライドは短くカットされているが、固定式のためコンペンセイターとの境目が分かりにくいのがもったいないところだ。
リアサイトはウイチタ。クリック感も小気味よく、サイトブレードのエッジが立っているため狙いやすい。ハンマーは常にコッキングされた状態になっている。
トリガーは3ホールのロングタイプ。発射後、ハンマーをコッキング位置にまで戻すため、ショートタイプのトリガーは使えない。
スチールプレス製のマガジン。クロームメッキ仕上げだが、ここはステンレス製であってほしかったところだ。
タイムプルーフを経たバルブのデザインはきわめてシンプル。
MGCのパッケージはポップなイメージがあるが、こうしたシックなデザインのバリエーションもあった。
サイクロンバレルについてクリーニングが必要なことと特許のことは書いてあるが、命中精度向上のウンチクについてはとくに触れられていない。マニュアル.PDF (16.4MB)
DATA
発売年 | 1990年5月中旬 (オールシルバー) 1991年初 (ブラック) |
発売時価格 | ¥15,000 (オールシルバー) ¥12,000 (ブラック) |
全長 | 実測 240mm |
重量 | 実測 778g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 59.2m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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