MGC ブラウン・マキシ・コンポ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
かつてMGCのお家芸といえば、豊富なバリエーション展開だった。これはモデルガン時代からのもので、なにかひとつプラットフォームとなる製品が出来上がると、全長や表面仕上げを変えつつカスタムパーツなどを付加させながら、次々と違う魅力を持った製品に昇華させていく、というやり方だ。
今回紹介するブラウン・マキシ・コンポはその最たる物で、ウィルソンLEをルーツに持つ、いわゆるGM6のバリエーションだ。独特な機構を持つハレット・アクション(HARET ACTION)の作動は以前紹介したウィルソンLEのページをご参照いただきたいが、このシリーズには一貫して大きな特徴があった。
それはトリガーの長さで、どのモデルも1911オートとしてはかなり長めのロングトリガーを装備していたのだ。ハンマーのコッキングという動作をトリガーで行う関係上、どうしても長いストロークが必要であり、結果的にノーマルのトリガーでは作動させることができない。
その点、コンペティションカスタム系の1911オートならどれもロングトリガーのため、都合が良かったのだろう。もとよりMGCはミリタリー系よりもスポーティーなカスタムを得意としていたメーカーだ。時期的にもスポーツシューティングのブームと重なり、かくしてGM6は数多くのカスタムバリエーションを生む結果となったわけだ。
いっぽうで、ノーマルスタイルのガバメントを望む声も多く、WAがマグナブローバックのシリーズ'70ガバメントを発売すると、MGCのGM6シリーズは一気に勢いを失ってしまう。現在では、こうした豪華なカスタムガンが作られることも少なくなってしまったのは残念だ。
スライドと同形状のコンペンセイターが装備されたブラウン・マキシ・コンポ。こういったカスタムガンはスライドを引いたときのフォルムが特徴的なのだが、スライド固定式なので遠目にはロングスライドに見えてしまい残念だ。
2ホールタイプのコンペンセイター。この個体はシューティングマッチで酷使されたらしくキズだらけだが、かえってそれがコンペティションカスタムらしい凄味を増している。
GM6シリーズはスライド後面のデザインが実にリアル。ここだけは最新のガスブロでもかなわない部分かもしれない。
GM6シリーズすべてに共通するロングトリガー。ノーマルの長さでは作動させられないためだが、コンペティションカスタムであればこれは当然の形状なのだ。
マガジンはリキッドチャージ。細長いガスタンクがマガジン背面に寄せて内蔵されており、残弾確認孔から向こう側が見える。こういった部分へのこだわりはさずがMGCだ。
マガジン上部にバルブノッカーとの段差がなく、マガジンチェンジでも引っかかりにくい洗練されたデザイン。
このシリーズのパッケージにはほとんど日本語が書かれておらず、輸出を意識していたのだろうかとも思える。側面には英語で「MGCはいつも新しいアイデアで安全かつ魅力的な本物の製品を作り続けます」というメッセージも。
DATA
発売年 | 1987年4月15日 (フレームシルバーモデル) 1987年秋 (オールシルバーモデル) |
発売時価格 | ¥13,000 (フレームシルバーモデル) ¥14,000 (オールシルバーモデル) |
全長 | 実測 257mm |
重量 | 実測 910g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 53.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン