エルエス ウージーSMG
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
エルエスはもともとプラモデルのメーカーだった。1970年代後半頃から銃のディスプレイモデルを数多くラインナップしており、40代~50代のオールドガンファンなら、少年時代にいちどは買って組み立てたことがあるはずだ。
1980年代中頃から空前のエアガンブームが巻き起こり、モデルガンメーカーまでもがエアガンを作るようになると、エルエスも「弾の出る」製品を開発しなければならなくなった。ガバメントやトンプソン、M16シリーズ、それらポンプアクションモデルなど様々なモデルが発売されたが、それらに共通していたのは、安価で外観がリアルだということだ。
今回紹介するウージーSMGも、各部のディテールはリアルで、いま見てもなかなかのものだ。全体的に丸みをおびた造形が美しく、当時、フルサイズだと信じられていたマルシンの金属製モデルガンなどに比べると、かなりほっそりとしているのに驚いたガンファンも多い。
製品はプラモデルメーカーらしく組み立てキットで、1/1スケールがウリだった。発射機構は通常のプル式エアコッキング、5mで3cmという、高い命中精度を謳っていたのだが、そもそもが精密射撃用の銃種ではないため、そこに価値を感じるユーザーは少なかったようだ。
ではサバゲー用として使えるかといえば、耐久性があまりにも低く、本気で構えただけで折れしまいそうなほどに貧弱な作りだったため、メインウェポンとしてはほとんど頼りにならなかった。
当時、エアガンに求められていたのはあくまでもサバゲーでの実用性であり、リアルさ、というのはどうしても二の次になりがちだった。それでも値段が安かったためか、ビギナー層には一定数の評価もあったようだ。また、エアコッキングガンのみならず、その後完成品のフルオートガスガンもラインアップし、製品の耐久性も向上してゆくが、結局、エルエスは1992年に倒産してしまう。
その後、イマイやアリイといったメーカーに金型が引き継がれ、以前、紹介したAK74のような製品となって販売が続けられたが、やがて一世を風靡することとなった電動ガンの前ではすべてが無力であり、消え行く運命を変えることはできなかったのである。
外観だけ見ると本当に実銃ソックリ。スケールモデルメーカーの面目躍如といったところだ。サブマシンガンというのはサバゲーでも使い勝手が良く、アタッカーに重宝されたものだが、エルエスの製品は耐久性にとぼしく、メインウェポンとするにはかなり無理があった。
レシーバーは左右分割のモナカ構造。バレルナットまで半分に割れるが、チェッカリングの繊細さは素晴らしい。アウターバレルのクラウンも、再現性が秀逸だ。
リアサイトは可倒式で、切り替えが可能。もちろん実射性能とは関係ないが、こういった部分の細やかさは嬉しいポイント。
上面から見ると二分割のラインがトップカバーで隠れるため、なかなかリアル。シューターは銃を上から見ることが多いので、ここは重要だ。
いっぽう、グリップフレームには完全にモナカのラインが見えてしまうが、ここも手で握ってしまう部分。結局、ほとんど気にならない。
UZIの特徴である折り畳みストックがきちんと再現されている。上から見ると分かる通り、補強のためかなり厚みを持たせてあるが、それでも力を入れて構えれば壊れてしまうだろう。
マガジンは後部の太い部分がリザーブタンクとなっており、内部からマガジンレールへBB弾を流し込む。
DATA
発売年 | 1986年夏 |
発売時価格 | ¥4,800 |
全長 | 実測 468 ~ 658mm(ストック伸長時) |
重量 | 実測 844g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 25発 リザーブタンク内約80発 |
平均初速 | 63.7m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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