アリイ AK-74 アサルトライフル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
アリイはもともとプラモデルのメーカーで、現在はマイクロエースという社名で鉄道模型などを製造する老舗である。かつて、銃の1/1スケールプラモデルで一世を風靡したエルエスが1992年に倒産すると、いくつかの金型を引き継いで再生産していた。その中のひとつが今回紹介するAK74だ。
発射方式はごくスタンダードなエアコッキングだが、長物としては低価格だったこともあり、左右張り合わせのモナカ構造のため剛性感に欠け、全体的な強度はかなり低い。
この製品のルーツとなったのは、エルエス時代のプラモデル、AKMである。外観だけではなく内部構造もリアルに再現され、基本的には1/1スケールで実銃がそのまま立体化されているのが特徴だった。したがってレシーバーなどの主要パーツにはあまり厚みを持たせておらず、もし、その金型をベースに改修してエアガン化したのだとすれば、かなり難儀な作業だったことは想像に難くない。
もちろん、この製品のため完全新規に金型を起こした可能性も皆無ではないが、いずれにせよ、サバゲーでラフに扱われた結果、ストックやバレルがポッキリ折れてしまうといったトラブルが続出。当時はゲームで使えないエアガンが受け入れられるはずもなく、大ヒット作とはならなかった。しかし、フィールドでは結構ひんぱんに見かける銃だったのも事実で、一定数のファンがいたのは間違いない。やはり、エルエスゆずりのリアルな外観と、当時、唯一のAK-74が低価格で手に入るというのは大きなセールスポイントだったのだろう。
エルエスの血を受け継いだメーカーは、他にもMMCとイマイがあったが、性能面ではどれもエアガン専門メーカーの製品にかなうはずがなく、エアガン戦国時代の波に飲まれ、やがてすべての製品がひっそりと消えて行った。
当時、AKシリーズのエアガンは数が少なく、中でもAK-74はトイガン全体でもこの製品が唯一だった。本文にもある通り1/1スケールプラモデルがルーツのため、細部にいたるまでリアルに再現された外観が特徴だ。
プラ製のレシーバーはネジが露出していて安っぽさは否めないが、AK独特の雰囲気は再現されている。
垂直に切り立ったガスシリンダー、大型のフラッシュハイダーなど、旧型であるAK47とは違った独特のディティールがしっかりと立体化されていた。
上下方向の調整が可能なタンジェントサイト。フォアエンドは薄く、強度を度外視したリアルサイズだったため、エアガンとしては頼りない部分。
実銃通り、ボルトキャリアのハンドルを引いてコッキングする。セレクターレバーは一番上がセーフで、セミ・フルどちらの位置でも発射可能。
左右張り合わせのモナカ構造で、トップカバーは外れない。ストックと連結するレシーバー後端部もプラ製のため、ここからポッキリと折れるというトラブルが後を絶たなかった。
プラ製のストックには、実銃の赤い木製に少しでも近付けようとした跡がうかがわれる。バットプレートは金属製。
マガジンの色は実銃よりもだいぶ明るく、オモチャっぽい感じになってしまったのが残念。
底部のフタを開け、リザーブタンクに約300発のBB弾が収納できる。フォロアーを押し下げて内部から給弾する仕組み。
パッケージにあえて1/1SCALEや完成品という表記があるのは、やはりプラモデルメーカーならではのセンスなのだろう。
注意事項のところに「このガンは6ミリBB弾を10m以上飛ばします」とあり、かなりのローパーワーかと思いきや、意外に初速が高いのにはおどろいた。マニュアル.PDF (6.6MB)
DATA
発売年 | 1993年頃 |
発売時価格 | ¥8,800 |
全長 | 実測 937mm |
重量 | 実測 1,313g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 24発+リザーブ約260発 |
平均初速 | 75.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン