コクサイ スーパーウエポン レミントンM700BDL
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
以前、このコーナーでコクサイのスーパーウエポンM16A1を紹介したが、その第三弾として鳴り物入りで発売されたのが、このレミントンM700BDLだ。キャップ火薬のブローバックによる金属製カートの排莢と、BB弾の発射を同時に行うというのがスーパーウエポンの特徴だった。しかし、ボルトアクションの場合はブローバックの必要がないわけで、発売当初はこの新製品の登場を誰もが不思議に思ったものだ。
そんなガンファンの予想を裏切る形で搭載された新機構は、なんと実銃さながらのリコイルショックを発生させる、というものだった。これは、発火したカートリッジがチャンバー内でブローバックし、空洞のボルト内部を真っすぐに通過しながらレシーバー内を後退、最後部のリコイルプレートという金属板に激突する、という斬新なメカニズムだ。本体内部の見えない部分でブローバックが起きて、しかもそれがリコイルの原動力になるという、素晴らしいエアガンになる、はずだった…。
だが、前作のM16A1同様、それは机上の空論に過ぎず、実際の作動は惨憺たるものだった。各パーツの強度があまりにも低く、それに反してスプリング類が異様に強かったため、普通に撃とうとするだけであっという間に壊れるというケースが続出。うまく作動したとしても、肝心のリコイルショックはほとんど感じられず、さらにBB弾の実射性能は前作のM16A1に遠くおよばなかったのだ。
「スーパーウエポンはすぐに壊れる」という定説を根付かせてしまったのは残念だが、それでもレミントンM700のトイガン化はこれが業界初だった。当時まだ珍しかったストックの木目プリントが美しかったこともあり、壊れてもしばらくは観賞用として楽しんだというガンファンも多かったようだ。
本スーパーウェポンシリーズは1986年秋にコクサイオリジナルのドットサイトを搭載したレミントンM700ショーティメタルモデルを最後に、その後はM16シリーズのボディを利用したセミオートガスガンへと発展していった。
レミントンM700のトイガンとしては初のモデルアップとなった。細かいディティールはともかく、全体的な雰囲気はうまく再現されている。
ストックは木目プリントがほどこされたプラスチック製。若干の安っぽさは否めないものの、1丁ずつ木目模様が違うため当時のガンファンには受け入れられたようだ。
ゴム製のパッドが貼られたチークピースと、レミントンのロゴが入ったリコイルパッド。
リアサイト前部の穴からキャップ火薬の発火ガスが抜ける仕組みになっていた。撮影した個体にはグレーメタル系の塗装が施されている。
ランプタイプのフロントサイトはなかなかリアルな形状。口径は10mmほどもあり、一般的な.30口径だとすればこれは大きすぎる。
スコープにはリューポルドのロゴが入っているが、残念ながら形状は似ても似つかず、4倍率とは名ばかりでほとんど狙えないシロモノだ。
ボルトまわりの形状はかなりリアル。エジェクションポートから見える内部メカニズムがかなり独特なものであることがわかる。
BB弾のマガジンはチューブ式でストック前部に装着される。脱着のためのツメが簡単に折れてしまうというトラブルが続出した。
雰囲気のあるパッケージに収納される。分解されたボルトアクションライフルというのは、いつの世もガンファンの心をときめかすものだ。
2ピース構造の発火用カートリッジと、BB弾を撃たずにモデルガンとして遊ぶ際チャンバーに入れておくエアーディスチャージャー。
マニュアルにはカートリッジにブローバック作動用のP.E.ピストンキャップを入れる項目がない。これではただのスタンダード発火式モデルガンと同じになってしまうが、操作方法の解説には「撃発音とともに鋭いリコイルと同時にBB弾が発射されます」と書いてある。パーツリストを見ると、本文中にもある通り反動発生用のリコイルプレートというパーツ(29)がちゃんと入っている。何とも不思議なトイガンである。
DATA
発売年 | 1984年8月末 1986年秋 (ショーティメタルモデル) |
発売時価格 | ¥13,800 ¥15,800 (ショーティメタルモデル) |
全長 | 実測 1116mm |
重量 | 実測 1,860g |
バレル長 | 実測 310mm |
発射方式 | 発火式&エアコッキング併用式 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発(BB弾)/ 3発(カートリッジ) |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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