コクサイ スーパーウエポン M16A1
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
コクサイスーパーウエポンM16A1の発売が公表された日の事を、筆者は今でも忘れられない。
ついに「M16から弾が出る」と、狂喜乱舞したものだが、同じ思いだったという読者も多いのではないだろうか。
エアガンとしては初のM16A1であり、モデルガンとしても1万円を切ったM16シリーズはこれがはじめてだったのである。
最大の特徴は、キャップ火薬による発火ブローバック作動によって、エアガンのシリンダーをコッキングする、というものだった。
これにより、カートリッジの装填と撃発音、ブローバックの反動と排莢、そしてBB弾の発射という、実銃さながらのアクションが実現する、はずだった…。
しかし、実際にはブローバックがほとんどうまく作動せず、結果的には単なるエアコッキングガンになってしまうケースが多かった。
さらに、プラ製の給弾ロッドが折れてしまい、BB弾さえも撃てなくなるというトラブルが続出。
くわえて、限界までコストをおさえた作りのため全体的に華奢で耐久性にとぼしく、あろう事がバレルの根元からポッキリと真っ二つに折れてしまうという、悲惨な最後を遂げる個体もあったのだ。
モデルガンとエアガンの融合という、夢のトイガンとして世に出たコクサイスーパーウエポンM16A1。
現実はかなり厳しいものだったが、その志は今でも我々ガンファンの心に深く刻まれているのである。
なお、本スーパーウエポンシリーズは第2弾のXM177E2(1984年夏)、第3弾のレミントンM700 BDL(1984年8月末)、派生型のM700ショーティー メタルモデル(1986年秋)へと続いた。
全体的なフォルムはM16A1の特徴をうまく再現しており、外観に関してはさすがコクサイと言われるだけの完成度。
撮影した個体はピボットピンを受ける部分が破損しており、上下のレシーバーがうまく固定されていないが、これでも真っ二つに折れないだけマシな状態なのだ。
各レバー類や刻印、レシーバー各部のまろやかなラインなど、ディティールに関してはとても¥9,990とは思えない出来ばえ。
バットプレートは金属製で、ストック内部にエアシリンダーを内蔵しているためコンパートメントはダミー。
チャージングハンドルがBB弾マガジンとなっている。装弾数は12発。残念ながら給弾ロッドが折れているため、実射は不可能だった。
上がスチール製の6mmBB弾用バレルで、下はプラ製のモデルガン用バレル。BB弾用バレルは精度が高く、他のエアガンにカスタムパーツとして使われる事もあった。
BB弾はフロントサイトベースの根元から発射されるため、フラッシュハイダーにぶつからないよう上部が削り取られていた。
マガジンはプラ製だが、真鍮製のカートリッジを装填すればまさにモデルガンそのもの。
キャップ火薬の上にプラ製のピストンを入れる事でブローバックする設計だったが、モデルガンのリコイルスプリングとエアガンのピストンスプリング両方を確実に押し縮めることは不可能だった。
チャンバーに送り込まれるカートリッジと、ボルト先端のロッキングラグが実にリアル。
マニュアルは表がカラーという豪華版。分解図の写真は今では考えられないが、パーツが1個からでも買えるというのはモデルガンの感覚だ。
マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1983年秋 |
発売時価格 | ¥9,980 (発売当初) ¥12,000 (1984年~) |
全長 | 実測 985mm |
重量 | 実測 1,990g |
バレル長 | 335mm |
発射方式 | 発火式ブローバック&エアコッキング併用式 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 12発(BB弾)/ 10発(カートリッジ) |
平均初速 | - |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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