コクサイ　S&W M29 マウンテンリボルバー

写真&解説　YAS

解説

コクサイはモデルガン、エアガンの製造を通じてリボルバーにこだわりをもったメーカーだった。そのガスガンのバリエーションも豊富で、S&W M29、M19、M10、コルト パイソン、セブンショットにスピードコンプ、S&Wのフレームにパイソンのバレルを組み合わせたスマイソンも発売された。

リボルバーのエアガンというのはその構造もあって、安定した作動や弾道性能と、玩具としての安全性を両立するのが難しい。1986年にコクサイが発売した蓄圧式カートおよび、ハンマーの打撃によるカートのバルブ開放構造としたM29は実弾発射可能とされて発売禁止、回収される事態となってしまった。

その事件後もコクサイはガスリボルバーの、より安全で新しい機構を模索し続ける。CO2がガスガンのパワーソースとして利用される90年代には、CO2仕様のM29も発売されたが、ボンベを本体に内蔵できないという自主規制から、20gボンベをグリップ底部にねじ込むという中途半端なものになってしまった。

それでもコクサイはモデルガン、ガスガンともにリボルバーを作り続け、2000年代にメーカー活動を終了するまで、多くのリボルバーファンの期待に応え続けた。



モデルガンメーカーらしいキリリとエッジの立った美しい外観。Nサイズフレームの大柄なボディながら、ラウンドバットのラバーグリップで握りやすい。ハンター向けの軽量な.44マグナムハンドガンというコンセプトだ。


絞り込まれたテーパードバレルに、まさに山のような金属製フロントサイトはバレル上部のリブにピン留めされている。側面には44 MAGNUMの刻印。マズル部のライフリングも再現。インナーバレルは真鍮製で回転止めピンが追加された。金属製のトリガーはワイドスムースタイプだ。


ハンマーはワイドタイプの金属製でシングル、ダブルアクションどちらでも撃てる。メインスプリングはよりしなやかなものに変更され、かっちりとした作動はさすがリボルバーのコクサイといったところ。ハンマーノーズは引っ込むタイプ。メーカー刻印の下にはJASGの刻印があり、1999年以降の製造だということが分かる。以前に紹介したセブンショットはモデルとしては本製品より後だが、刻印はASGKとなっている。


この後期型ではメインスプリング変更によりトリガープルが軽減され、スナイピングシステム(固定ホップアップ機構)が搭載された。フォーシングコーンとカート先端が密着してガス漏れを極力なくす構造になっている。


サムピースを前へ押して後部を上へ回転させるとセーフティが掛かりハンマーがロックされる。


ラウンドバットで、パックマイヤータイプのラバーグリップが標準装備。グリップ底部にはガスの注入口がある。


6発のカートリッジが付属する。ケース部分は金属製、カート1発の重量は約16gあるので、6発装填するとなかなかの重量感がある。


初期型はケース底部へBB弾を押し込んでセットしたが、後期型では弾頭部のゴムにBB弾をセットする先込め式になった。付属する蛍光イエローのBB弾は重量0.2g。リムにはW-W SUPER 44 MAGNUMの刻印がある。

初速は0.2g弾で40m/s程度。DAのほうが少し高めに出る。弾はその高いフロントサイトから下目に発射されて、6mほどからグイーンと強めのホップが掛かりBB弾が昇っていく弾道だ。
5、6mならばなんとかA4ペーパーに当てられるかなといったところ。


グリップの注入バルブを付属のホースコネクタに交換すれば、エアータンクやグリーンガスなどの外部ソースに対応できる。


製品の刻印はJASGだが、理由はわからないが、パッケージにはASGKの認証シールが貼られている。初期型ではマウンテンリボルバーが前面に出ていたが、M29 .44マグナムであることが大きく主張されている。またスナイピングシステムが搭載されたことを示すシールが貼られている。
パッケージには15,600円とあるが、1996年末の広告では4インチは15,200円となっていたり、細かな価格変更が行われていたようだ。


取説は全ラインアップを網羅する冊子タイプ。M629 & M29の取り扱いは初期型のカートリッジの説明になっている。マニュアル.PDF (1.5MB)

DATA

発売年	1990年1月 (初期型) 1993年春 (後期型)
発売時価格	￥13,800 (初期型 M629 マウンテンリボルバー 4") ￥15,600 (後期型 M29 マウンテンリボルバー 4")
全長	実測 240mm
重量	実測 750g (カート含む)
バレル長	mm
発射方式	リキッドチャージ式ガス
使用弾	6mmBB弾
装弾数	6発
平均初速	40.1m/s (0.161J) 22.5℃、0.2g弾、HFC134a

撮影協力：ミリタリーグッズ.com

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