コクサイ コルトM16A1
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
かつて、エアガン業界には「イチロク戦争」などと呼ばれた時代があった。1980年代後半から90年代初頭にかけて、JAC、MGC、MMC、LS、東京マルイなど、各メーカーがこぞってM16系のエアガンを発売し、しのぎを削っていた頃の話だ。今もM4カービンのエアガンが百花繚乱の様相を呈してはいるが、それに比べたら昔は種類も数も圧倒的に少なかった。にもかかわらずそう呼ばれたのは、それだけ各メーカーが日進月歩で技術力を磨き、他社に一歩抜きん出ようという意気込みに満ちた時代だったからではないかと思う。
そんな中、独自のポジションを築いていたのがコクサイのM16だった。他社製品の多くがフルオートでいかに効率よくBB弾をバラまくかというコンセプトだったのに対し、コクサイだけはセミオートにこだわっていたからだ。当時、サバゲーで使えるセミオートライフルはほとんどなく、しかもリアルな形状のM16となればコクサイが唯一だった。ホップアップのなかった時代、コクサイM16の真っすぐな弾道はスナイパーの動きを大きく変えたとも言われているほどだ。
ベースとなっているのは以前紹介したスーパーウエポンのM16A1だ。シンプルで頑丈なセミオートユニットはファンが多く、ショップや個人カスタムとして様々なエアガンに移植され、いまだに現存している物も少なくないようだ。
今回紹介した製品はリキッドチャージのみの初期型だが、通常のボックスマガジン仕様になったり、外部ソースが使えるようになったりと進化を続け、最終的には1994年に発売されたM16A2 クライムバスターという伝説のスナイパーライフルにまで発展した。そのすべてのルーツはこの製品にあったのである。
いま見ても全体的なバランスが良く、M16らしいデザイン。実は日本ではじめてM16のトイガン(モデルガン)を発売したのはコクサイ(国際産業)だ。1970年代初頭から脈々と受け継がれる歴史を感じずにはいられない。
スーパーウエポンのエアガン用バレルがあった場所にBB弾のチューブラーマガジンが設置されている。再装填に時間がかかるため、ここは評判の悪かった部分だ。
アウターバレル上の真鍮パイプがチューブラーマガジン。インナーバレルは本来の場所にあり、これでやっと銃身軸がリアルになった。
プラの成形色や丸みをおびたラインなどM16らしいリアルなレシーバー。発射機構がハンマー式なのでトリガープルにはダブルアクションのような重さがあり、ストロークも長い。
チャージングハンドルは完全なダミー。差し込んで接着されているだけだ。
ストック内部がガスタンクとなっているためコンパートメントもダミー。この初期型はリキッドチャージのみなので、1チャージ200発の発射が可能、過剰なパワーはまったく出ない。
スーパーウエポンそのままのモデルガン用初期型マガジン。
後に改良されたBB弾を装填する通常のエアガン用マガジン。ボトムの給弾口からリザーブタンクへ約100発のBB弾を装填、マガジンフォロアーを下げるとタンクから前面に18発のBB弾が流れ込む仕組み。最終弾を撃ち終えるとフォロアーがノズルの前進を止めてトリガーが引けなくなる。
ボックスマガジン給弾化された後期型。L型のボルトフォアードアシストノブやチャージングハンドル、テイクダウン&ピボットピンは外れやすく、ゲーム中に紛失するユーザーも多くいた。
シンプルな初期型のパッケージ。発砲スチロールの下箱はおそらくスーパーウエポンと共通で、紙の上箱のみ新たにデザインされたようだ。
DATA
発売年 | 1986年12月 (M16A1) 1987年 (XM177E2) 1988年 (後期型・ボックスマガジン化) 1994年 (M16A2 クライムバスター / マシンピストル) |
発売時価格 | ¥19,000 (M16A1初期型) ¥16,000 (XM177E2初期型) ¥19,800 (M16A1後期型) ¥16,800 (XM177E2後期型) ¥29,800 (M16A2 クライムバスター) ¥27,800 (M16A2 マシンピストル) |
全長 | 実測 970mm |
重量 | 実測 2,210g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 50発 (初期型M16A1) 18発+100発 (後期型M16A1) |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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