ファルコントーイ H&K MP5K
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
数あるエアコッキングガンの中でも、ファルコントーイのMP5Kはかなりの変わりダネである。
通常時、ボルトは後退しており、したがってエジョクションポートも開いている。最初にバーチカルフォアグリップを引いてコッキングするわけだが、面白いのは、コッキングによってピストンを後退させると同時にボルトが「前進する」という事だ。前進したボルトがマガジン最上部のカートリッジをチャンバーに送り込み、フォアグリップを前に押し戻せば発射準備が完了。トリガーを引くとピストンがリリース、BB弾が発射され、同時にボルトがスプリングの力によって勢い良く後退、疑似ブローバックで空ケースをエジェクトする。これで発射サイクルが1回転し、最初の状態に戻るというわけだ。
かなり複雑なメカニズムだが、この動作を連続して行うと、まるでセミオートブローバックで連射しているように見えるところがミソなのだ。本体内部に合計6本のスプリングが配置され、それぞれが違う方向へ働く事で実現した機構だという。かつて、モデルガンのブローバック作動を手動で再現した、MGCのタニオアクションにも通じると感じるのは筆者だけだろうか。現代の最新型エアガンと比べるとかなり牧歌的なトイガンではあるが、撃っていて楽しいのは間違いない。
旧型のMP5Kなのでセレクター表記がアルファベットだが、セミのE、フルのFともに発射可能。
フォアグリップの作動ストロークをかせぐため、マガジンより前の部分がかなり間延びして見える。
ドラムタイプのリアサイトは実際に回転するが、ピープ穴の大きさはほとんど変わらない。
インナーバレル先端はマズル部の奥に引っ込んでいる。この面になぜかシボ加工が施されているのが面白い。
チャージングハンドルはダミー。
最初の状態。フォアグリップが前方にあり、この段階ではエジョクションポートが開いている。
フォアグリップを手前に引くとボルトが前進、カートリッジをチャンバーへと送り込む。
トリガーを引きBB弾が発射されると、内蔵さんれたスプリングによってボルトが後退、空ケースをエジェクトし、最初の状態に戻る。このメカニズムを使用したバリエーションとしてMP5SD3も同年発売されている。
マガジンはプラ製でシングルカアラムの12連。ジャムはほとんどなく快調に連射できた。発売当時は同社製の6mmつづみ弾を使用していたが、6mmBB弾も使用できる。
この個体には欠品しているが、パッケージには布製のスリングがセットされていた。
DATA
発売年 | 1984年初頭 (MP5K) 1984年冬 (MP5SD3) |
発売時価格 | ¥7,200 (MP5K) ¥9,800 (MP5SD3) |
全長 | 実測 372mm |
重量 | 実測 1,240g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmつづみ弾、6mmBB弾 |
装弾数 | 12発 (MP5K付属プラマガジン) 15発 (MP5SD3付属ダイキャストマガジン) |
平均初速 | 46.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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