チヨダ マークスマン・ガバメント ターミネーターモデル

チヨダ マークスマン ガバメント ターミネーターモデル

写真&解説 YAS

解説

1984年公開の映画『ターミネーター』はトイガン業界にも大きな影響を与えた。
シュワルツネッガー演じる未来からの暗殺ロボット、ターミネーターが使用する銃器はたちまち注目を集め、特に劇中で印象深く登場したレーザーサイト付きのAMTハードボーラーはトイガンファン垂涎の一丁となったのだ。

ステンレスシルバーに輝く6インチロングスライドに搭載された大きなチューブ型レーザーサイト。
これにいち早く着目したのがチヨダだった。チヨダはマルゼンが販売していたマークスマン ガバメントの製造販売権を買い取り、チップアップの単発式を6mmBB弾専用の8連発へと改良していた。
それをベースにベンチレーテッドリブ装備のロングスライド化、スクエアトリガーガード化、そして150連の装弾数を誇る大型スコープマガジンを装備したターミネーターモデルを1985年末に発売した。

マルゼンがマークスマン ガバメントを手放し、カート式のハンドガンシリーズを続々と展開する一方で、チヨダはケースレス・多弾数にこだわり続けたというのが興味深い。
時代はサバゲーブーム真っただ中。ユーザーレベルでもケースレスや多弾数カスタムが隆盛を極めていた頃で、チヨダのターミネーターシリーズは人気モデルとなり、翌年にはシルバーのハードボーラーステンレスも発売。その後もコマンド20などの派生モデルや、マイナーアップデートを繰り返すことになる。

しかしながら独特な操作のプッシュコッキング方式は、同年12月に発売となったマルイのルガーP08をはじめとする各社の安価なケースレス式コッキングガンの普及拡大とともに、次第に市場から姿を消していった。

サイドビュー左
サイドビュー右
1979年発売のマルゼン マークスマンガバメントは単発だったが、チヨダ製造のマークスマン ガバメントではスライド上部にBB弾を装填する仕組みになり、装弾数は7+1発に増加した。さらにその初期モデルがリニューアルされ、スライドとバレルが延長、ベンチレーテッドリブの追加、スクウェアトリガーガードとなり、150連のスコープマガジンが搭載されたのが、今回紹介するターミネーターモデルだ。

マズル
スライドとバレルが延長されたが、マズル周りはマルゼンのマークスマンガバメントの面影を残す。やけにダミーのリコイルスプリングガイドが出っ張っている。スライド上部にはベンチレーテッドリブが設けられたのはこのターミネーターモデルから。

スコープ型マガジン
スコープ型マガジンは中心部に内径3mm程のアルミパイプが通っており、この小さな穴からターゲットを狙う。取説には両目を開けてエイムせよとあるが、サイト調整ができず、このマガジンのせいで弾道も目視しづらい。

スコープマガジン
スコープマガジンの対物側キャップを取り外してBB弾を流し込む。装弾数は約150発で、自由落下式によりチャンバーに弾が送られる。

グリップ
グリップはマガジンが入らない文字通りのグリップ。内部には錘が入っている。実銃で言うところのマガジンキャッチがクロスボルト式のセフティに、サムセフティがスライドストップとなっている。
トリガープルは約4.2kgと重く粘り、シアが切れるとバインッと激しい音を立ててピストンが前進し衝撃も大きい。それでも当時は命中精度の高さを誇っていた。
実際の命中精度は経年劣化もあるかもしれないが、5mで20cmにまとまるかどうかといったところだ。

トリガーを引きながら
コッキング方法は独特で、トリガーを引きながらロックされたスライド後部を押し込むと、スライドストップが外れ、写真の位置までスライドが後退する。

スライド
次にスライドを引っ張って最後まで後退させたら、スライドをもとの位置まで押し込めばスライドストップが掛かりコッキングが完了するのだが、手順が多いうえに、メインスプリングがかなり強めでスライドの動きも渋い。現代のエアコッキングに比べると雲泥の差だ。

コッキング操作の動画

ハードボーラーステンレスモデル

ハードボーラーステンレスモデル
ブラックモデルから遅れること半年、ハードボーラーステンレスモデルという製品名でシルバーモデルも登場。実銃とはディティールに違いはあるものの、ターミネーターの使ったあのAMTハードボーラーモデル!! と多くのファンは歓喜したものだ。

シボ加工
ハードボーラーステンレスのスライド側面はシボ加工が施されており、ブラックモデルとは異なる仕上げとなっている。また今回紹介した初期モデルではブラック、ステンレス共に刻印は無く、後期モデルには刻印がある。

チャンバーへと続くBB弾の通る穴
スコープ型マガジンを取り外すとスライド上部中央にチャンバーへと続くBB弾の給弾口がある。

ターミネーターブラックモデルと、ハードボーラーステンレスモデル
ターミネーターブラックモデルと、ハードボーラーステンレスモデルの構造的な違いはない。今回紹介したステンレスモデルはスコープ型マガジンが紛失していたため、ブラックモデルのマガジンを取り付けて撮影した。このマガジン、当時は単体パーツとしても発売されていた。

パッケージ
パッケージはシックなブラック。のちにターミネーターのシュワちゃんのイラストが描かれた派手なパッケージデザインも登場する。

取扱説明書
取扱説明書には写真入りで弾のスコープマガジンの装填方法や、特殊なプッシュロック式のコッキング方法が解説されている。 マニュアル.PDF (1.3MB)

チラシ
1985年末当時のチラシが同梱されていた。製造は千代田製作所、販売はシュドーが担当していた。

マークスマンガバメントの8連発モデル
マークスマンガバメントの8連発モデル。これがベースとなってターミネーターモデルが作られた。

DATA


発売年 1985年11月末 (ブラック)
1986年夏 (ステンレス)
発売時価格 ¥4,200 (初期型ブラック)
¥4,800 (初期型ブロンズ)
¥5,500 (ターミネーター ブラックモデル)
¥6,400 (ターミネーター ハードボーラー ステンレスモデル)
全長 実測 270mm
重量 実測 531g
バレル長 カタログ値 102mm
発射方式 プッシュ式エアコッキング
使用弾 6mmBB弾
装弾数 約150発
平均初速 約48m/s

撮影協力:FIRST 中古侍、ミリタリーグッズ.com

ミリタリーグッズ.COM

2022/03/26



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