ストーリー No.29
タイトル:レクス・タリオニス
投稿者:サイ・カナメ
ストーリー:
ー2019年8月15日
前回の依頼からちょうど3ヶ月にもなるが、あれから仕事の依頼が無い。
そもそも、この国では「殺し屋」の存在は認知度がかなり低い。仮にプロによる殺人事件があった場合でも暴力団などの仕業だと報道されるのがほとんどだからだ。
ー2019年9月2日
私に仕事の依頼をしたいと「客」からコンタクトがあった。
仲介人も無くどうやって私へ連絡する情報を知り得たか気になるところであるが、とりあえず依頼内容を聞くことにした。
ー2019年9月10日
私が指定した場所、時刻に「彼女」は予定より20分早く来ていた。
私はいつもどおり12時間前から指定場所を監視していたがこれといった怪しさは無いが、彼女の瞳の奥からは隠しきれていない殺意の感情が度々漏れていた。よほどターゲットに恨みがあるのだろう。
ー2019年9月11日
依頼内容は指定日にある政治家の「射殺」である。殺害の指定日はよくあることだが、わざわざ「射殺」を条件としたのは珍しい、普通なら関係者が疑われないように事故や自殺に見せかけるのが多いのだが、彼女に「射殺」にしたい理由があるようだが私には関係無いことだ。
そして、何の因果かターゲットの政治家は過去の依頼者だ。まさか自分が狙われる立場になるとは思ってないだろうに。
ー2019年9月15日
今回のご要望に答えるため銃を選定した。
「ワルサーPPK/S .32ACP弾」
シルバースライドにブラックフレームの小型拳銃でコンシールドキャリーに最適だ。さらに発射音を減音できるサプレッサーが装着することもできる。フレームとシルバーが反転したモデルもスペアとして用意した。
この国の危機管理意識は低い、容易にターゲットに接近できるだろう。民衆も基本他人には我関せずなので今回の仕事は比較的簡単に遂行できそうだ。
ー2019年9月20日
念の為に彼女の素性を調べることにする。通常は契約上お互いに素性は詮索しないのだが今回はなんだか胸騒ぎがする。
ー2019年10月1日
いつも利用している情報屋に彼女の素性を調べてもらったが、まさかの学歴以降の情報がまるでわからないという結果になった。情報屋がわからないとはますます怪しいが、だからと言ってこちらから契約を反故にすることはできない。
ー2019年10月21日
ついに実行を明日に備えた。
街頭演説中に反対派の民衆群の一人に偽装してターゲット射殺する。パニックになるだろうが我先と逃げ出す群衆に紛れればそのまま逃走できるだろう。
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政治家射殺犯が現場で同じく射殺された事件の証拠資料より抜粋。
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