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ストーリー No.24
タイトル：God, save Me.
投稿者：大兎
ストーリー：
汚れた壁を背に
小さな空を見上げた。
月の無い夜だが星は殆ど見えない。
大きく息を吸い込み
路地裏の空気で胸を満たす。
今日何度目かの溜息をつく。
割に合わない仕事だ。
流れ辿り着いたこの街で、
望んで始めた事じゃない。
かといって特別やりたい仕事がある訳でもなく。
ただ流れに身を任せていたら
そういう役割になっていただけだ。
やれやれ。と…
視線を落とし、首を振る。
いつか自分にも審判の日が来る。
暗がりの中
握ったままの銃を確認する。
別に可愛がる間柄でもないが
こいつが今動かなくなったら
多分俺は死ぬ。
動作を確認すると、
背中とベルトの間に捩じ込む。
シャツ越しに伝わる信頼の感触。
左の腰には予備の弾倉が1つ。
右の足首にも1つ隠している。
まだやれる。
遠くにサイレンが聴こえる。
大きく息を吸い込む
饐えた空気が肺を満たすと
また深い溜息をついた。
全く碌でもない夜だ。
上着の肩を軽く払い
背筋を伸ばして重い足を上げる。
暗い路地を抜けて大通りに出ると
週末で賑わう夜の街。
老若男女、喜怒哀楽。
行き交う人々。
雑踏に紛れ込む。
千鳥足で歩く陽気な男達を交わし
顔を上げた目の前
窓ガラスに映った男の姿。
押さえた左脇腹は薄らと濡れ
指の隙間が赤く滲む。
引き攣った顔に
脂汗が顎まで伝う自分の姿。
情けない姿に思わず口元が歪む。
本当に…
割に合わない仕事だ。
小さく呟き
もつれそうになる脚に力を込めて
再び人波にその身を溶かした。
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2019/09/29
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