[殺し屋っぽい] Gun & Story コンクール

ストーリー No.22

タイトル:サステナビリティ

投稿者:GISHIO27

ストーリー:

私の父が初めて撃たせてくれたハンドガン、 それはグロック17、私はまだ12歳だった。ポリマー製フレームで扱いやすく、非常に高い安全性を確保していることが理由と言っていた。

当時のとある映画の中で「グロック は金属探知機に反応しない銃」という台詞があり知名度を大きく上けたが、これを間に受けた素人連中は空港で自分の仕事道具を没収されたとか、されなかったとか…

後に聞いた話だが、私が生まれるまでの父は45口径の圧倒的なストッピングパワーを信頼していたそうだ。仕事柄、大口径による高い火力は仕事の信頼にも繋がることから、プロ意識から言えば当然のことである。

しかし、家族を持ち、守り養うべきものが出来た時に"過度な殺傷力"はいらないと仕事のスタンスを変えたそうだ。

 

「"強すぎる力"は仕事を無くす。」初めて手にしたグロック17 を撃ち終えた私に、父が寂しそうに言った。

昨今、身の回りに我々の仕事は数多くあるだろうか?

おそらく探せば見つかる程度で、それほど多くはないだろう。仕事の需要が無くなれば、担い手も少なくなり、技術を使う場面も少なくなる。結果的に後継者不足を招いてしまうことに繋がる。

我々の仕事は一度、途絶えてしまうと、復活すること自体が難しい。ある意味で職人技である。

防弾素材の技術も上がり9mmの貫通力不足を指摘する声も多い。けれども、本当に貫通力は必要なのだろうか?"魚のいない海で漁はできない"とは言い得て妙だと思う。

 

「"強すぎる力"は仕事を無くす。」今もグロック を手にするたびに父の言葉が思い出される。

今日も私は9mmのグロック で仕事に向かう。この業界の持続性を保つために、そして大切な家族を養うために。

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2019/09/29

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