ストーリー No.20
タイトル:父の仕事
投稿者:ユウト
ストーリー:
父が交通事故で亡くなった。父の職業はトラックの運転手で何週間も仕事で家を留守にするのが当たり前であった。母は私が小さい頃に病気で亡くなっており、男手一つで私を育ててくれた唯一の家族だった。家は一軒家で仕事から父が帰ってきたときは笑顔で迎える。それが当たり前だった。ただ、小さい頃いつも疑問に思っていたことがある。父はタバコを吸わない。なのにいつも帰宅するときは煙臭かったのだ。父にその理由を尋ねると「仕事仲間にタバコをいっぱい吸う人がいてね」と答えた(今思えば変な話だが)。そんな父が亡くなって一週間が過ぎた。
その日私は、父の遺品の整理をした。父の部屋は物が少なく、布団や机、パソコンがあった。衣類はそのまま床に置いてあり、物が少ない割には散らかっているようにも見える。ややため息をしながらも遺品の整理を行う。そんな中一つのあるものに目が止まった。それは机の上に名刺入れがあった。一応中身の確認をしなければと思い、中を開け、中身を机の上に並べる。中身は父の名刺だけだった。「名刺交換した時のもらった名刺はどうしたのだろう?」と疑問を持ったがおそらくもらった名刺は会社にでも置いているのだろうと思い、そのまま名刺入れに戻そうとした時、一枚の名刺に目が止まる。その名刺には父の名前、電話番号しか書いていない。「なんだこれ?」明らかに他の名刺とは違うそれに私はもう一つ違和感を覚えた。父の名前の下に電話番号が書いてある。しかしその番号は父のものではなかった。この番号はなんなのだろう。私はその疑問を解決するため、その電話番号に連絡をすることにした。スマホに番号を入力、そして受話器ボタンをクリック。耳に当てしばらく待つ。数秒待ったところで電話が繋がった。電話の向こうにいる相手の正体を聞こうとしたその時、「ご要望承りました」相手からその一言が発せられ、そのまま一方的に電話を切られた。「え、」相手の対応に困惑しつつ、もう一度電話をかける。しかしその番号にかけても電話は繋がらなくなっていた。「なんだったんだ」疑問が深まる中、一通のメールがきた。そこにはどこかの住所と3、1529という番号しか書かれていない。後日私はその住所の場所に向かった。そこは貸し倉庫らしく3の番号は倉庫の番号で残りの番号は倉庫の南京錠の暗証番号だった。倉庫に入り、中を見渡すそこにはダンボールが一つ置いてあるだけだった。中を開けると中には携帯と拳銃(調べたらhk45)が入っていた。そしてタイミングを見計らったかのようにダンボールの中に入っていた携帯が鳴った。そして恐る恐る電話に出る「はじめまして」声の主は昨日、電話に出た相手だ。そして私はダンボールの中身と名刺、父との関係について質問した。声の主は意外にも素直に質問に答えた。そして私はその日、父の本当の職業を知った。
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