[殺し屋っぽい] Gun & Story コンクール

ストーリー No.13

タイトル:寿、限り無し

投稿者:千葉―ト・デ・ニーロ

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ストーリー:

「そういえば、お前武田のこと覚えてる?」

ここは博多一の歓楽街、中州のとあるバー、同期の坂本と一緒にいる。同期といっても部署が違い、普段あまり接点のない坂本が

「中州に飲みに行こうぜおごるから」と言われ、いそいそと付いて来たらおねーちゃんがいる店ではなくこんな裏路地の寂しいバー、しかも急に武田の話とは…

「あぁ、覚えてるよ、忘れるもんか。新人研修の時一緒で帰りにあの事件に出くわしたんだよな」

もう7年も前になるのか…あの日3人で若者が集う街天神のクラブに行った時のことだ、その頃丁度脱法ハーブとか合法ドラッグだとか言ったものが流行っていて、そのクラブはこの辺界隈のドラッグの総元締めみたいなことが噂になっていた。成程クラブ内でも堂々と売りかいされているようだ。ナンパが目的で来た二人と違い俺はこういう騒がしい場所が苦手で隅の方で酒を飲んでいると、その場に似つかわしくない地味な小柄な男が入ってきたのが目に留まった、間違って入ってきたわけでも酔っぱらっているわけでもないのはしっかりとした足取りからわかる。なぜかその男が気になり目で追っていると、男はクラブが見渡せる二階のロフトになっているVIPルームへ上がっていった。ソファーにふんぞり返っているやくざ者らしきどなり声で「なんだてめぇは…」

と、同時にパパンパン…パパンパン…パパン、パン爆竹のような乾いた音が3回響くと男は向きを変へ去っていった。大音量で音楽が鳴るクラブ内では何が起こったのか皆すぐに気づかず、少ししてVIPルームにいた3人が撃たれて倒れていることに誰かが気が付きクラブ内は騒然となったがもうすでに男の姿はない。丁度男が去って行く時に武田のすぐ脇を通り、ちらりとだが顔を見たとかで警察の事情聴取を受けていたが、ほかの客たちは皆ラリッていて誰も男の顔をはっきりと覚えている者がいなかった。その武田はその事件の後すぐに熊本の支社へ配属が決まりあれ以来あっていなかった…

「で、武田がどうかしたのか?」

「あいつ実家がこっちだからちょくちょく帰ってきてるらしいんだけど、2週間前ばったりあってさ、軽く世間話をしていたら急に真面目な顔になって、7年前の事件のこと覚えてるかって聞くんだよ。こっちは忘れかけてたから、あぁなんかそんな事件合ったねって言ったら、『あの時の殺し屋を見つけたんだ』って言うんだよ、なんでも高砂の裏路地にある【ムゲンコトブキ?】とか何とかいうラーメン屋のおやじがそうだって言うからさぁ何の冗談かと思っていたら…」

「?ラーメン屋のおやじ?なんだそりゃ」

「武田、3日前から行方不明らしいんだ…今度の連休に又こっちに帰るからその時そのラーメン屋に行ってみるって言ってたんだけど、どうも気になってさ、ネットとかで検索したんだけど【ムゲンコトブキ】なんてラーメン屋ないんだよ」

「関係ないんじゃない?自殺するような奴には見えないし、仕事のストレスとかでどっか旅に出たとか…」

その日はそこで別れたが、どうにも気になって俺もその【ムゲンコトブキ】とやらを検索してみた。

確かにネットでも見つからず、やはり何かの冗談だったのかと忘れかけていたある日…いつも通らない一通が多い狭い路地に、その店を発見した…

「あ!…【ムゲンコトブキ・無限寿」じゃなくて【ジュゲム・寿限無】じゃんか!

あいつ寿限無って読めなかったんだな…」

営業中の札が札がかかっていたので恐る恐る、俺は引き戸に手をかけた…

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2019/09/16

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