[殺し屋っぽい] Gun & Story コンクール

ストーリー No.04

タイトル:雨の音が聴こえる……。

投稿者:Tany

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ストーリー:

雨の音が聴こえる……。
雨がすべてを包み込む……。

昔から雨が好きだった。
遠くから聴こえる雷鳴が響き渡り、街のすべてを水浸しにする雨が好きだった。

雨が降りしきる街は、チンピラも、金持ちも、商売女も、牧師も、殺し屋も、人間のすべてが悪態をついて、天気に罵声を浴びせながら急ぎ足で雨から逃げ回る姿を見ているのが愉快だと思っていた……。

ただ、あの男を除いては……。 

あの男はドブネズミのようにずぶ濡れになっても、殴られても、刺されても、撃たれも、何度となく死を目前にしても、流れる血すら気にもせずに雨の中を平然と歩いていた……。

男が歩くと、死体が増えた
そこら辺にいる街のチンピラ達、化粧の匂いが何ブロックも先から判るような娼婦達、高級車に乗ったマフィア達、鍛えられた元軍人ども……。

雨は全ての死体に降りそそぎ、あるものは血流し、あるものは本来曲がらない方向に体が曲がり、あるものは寝ているかのように安らかな顔をしたまま、雨の中動かなくなっていた……。

男は自分に向かって来るヤツラの全てを、ライフルや、ショットガン、拳銃や、刃物や、素手や、ボールペンなど、身の回りにある全てを使い、向かい来るヤツラを死体に変えて行った……。

まるで、雨が降るのが当たり前のように、降り掛かる全てを受け入れて、全てを死に変えて行った……。

銃声が轟き、何度も刺される音が聞こえ、人が殴られるある生々しい音がした。

罵声と呻き声が響き渡り、全てが雨の中に消えて行った……。

雨がすべてを包み込む前に、この手にある銃が、あの男に最後を与える為の弾丸を撃ち出せるか考えた……。

あの男は荒々しい嵐のように死を撒き散らし、雨が全てを包むように全てを殺して行く……。

あと少しで、あの男が俺の前に現れる……。

雨が好きだった。
全ての音を包み込む雨の中、遠くから聴こえる足音を、雷鳴のように聞きながら、銃を握りしめる……。

雨の音が聴こえる……。


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2019/09/03

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