ACRO ARMOUR WILEY X part.5

ACRO ARMOUR WILEY X part.5

レポート:石井健夫

<ワイリーエックス×超高硬度レンズ・アクロライト>
度付きアイウェアのタフネスが別次元の進化!

「眼に対する脅威」には様々なものが存在する。そして実戦にせよサバイバルゲームのようなスポーツにせよ、戦場=バトルフィールドではその危険性も倍増する。そんな状況下で使用されるアイウェアには銃弾や爆発物の破片あるいはBB弾のような小物体が高速で眼を襲う「高速度衝撃/High Speed Impact」と、鈍器や落下物、殴打、転倒といった「重圧度衝撃/High Mass Impact」の両方から眼球を保護する充分な強度・性能・デザインに加え、常時装用していても苦にならないフィット感や快適さも重要で、さらに贅沢を言うならばファッション性と格好良さが加われば完璧だ。

そうした欲張りな要求条件をハイレベルに満たすブランド「ワイリーエックス」からの新提案が、新次元の強度・耐久性を備えた次世代型度付きアイウェア・システム「ACRO ARMOUR(アクロアーマー)」である。

戦士からのメッセージ
元フランス外人部隊衛生兵 野田 力(のだ りき)氏

野田力
前線の兵士にとって視力は重要だ。目に負傷し視力を失えば、 任務の遂行は困難となる。失敗するかもしれない。治癒しなければ、その後の人生にも大きな悪影響を残してしまう。
防ぎ得る負傷から目を守るため、アイプロテクションの装用は必須だ。任務完遂に必要な要素のひとつと言える。実際、今では多くの兵士や自衛官がアイプロテクションを着用している。実戦に於いて爆発物の破片から目を守った事例も多い。かく言う私自身もワイリーエックスのユーザーで、知り合いの自衛官・警察官・消防官・海上保安官・フランス外人部隊の日本人隊員にも勧めていて、多くの人が使用している。

アイプロテクション
しかし「目が悪くてメガネを使ってるからアイプロテクションが着けられない」と言われることが時々ある。確かにメガネの上にアイプロテクションを着けることは非現実的だ。私が勧めてきた中で、そのような人達はアイプロテクションの導入を諦めていた。だが、「普通の視力矯正用メガネ」では爆発物の破片等から目を守ることは困難である。
そんな人達に今回の「アクロアーマー」のリリースは朗報だと思う。これまでアイプロテクションに度を入れるのは値段が張り、一般的ではなかった。しかし、アクロアーマーの発売により、大幅に求めやすい価格となった。これからは、メガネをかけた人達にもワイリーエックスを堂々と勧められる。
任務完遂のためにも、アイプロテクションでの妥協はするべきではない。

元フランス外人部隊
野田 力(のだ りき)
元フランス外人部隊。2004年10月入隊、2011年4月除隊、6年半勤務。衛生兵。パラシュート連隊にある「水陸両用中隊」出身。
派遣: コートジボワール(2006)、ジブチ(2007)、ガボン(2008)、アフガニスタン (2010)
帰国後は看護師免許を取得し現在は医療機関勤務。
Twitter: https://twitter.com/NODA_Liki
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCrd5zOEsW6CvgeDWdoKzjJg
著書: https://www.kadokawa.co.jp/product/321803000346/

WX SHADOW ALTERNATIVE -RIM-
野田氏が愛用し、筆者も今回「アクロアーマー」制作のベースとして選んだフレームはWX SHADOW ALTERNATIVE -RIM-(シャドウ オルタナティヴ リム)。2012年の設計開始時点から常に「日本人の顔形にピッタリと沿う」事を目的に開発され、7年間で延べ2,000例の日本人顔形DATAを収集して完成したモデルだ。

ハイレベルな眼球保護性能に加え、日本の気候を考慮し通気性を重視している点も見逃せない。またRX RIMの採用により「アクロアーマー」のレンズ要求仕様である「6ベースカーブ」に対応している点も重要だ。

●WX SHADOW ALTERNATIVE -RIM-(シャドウ オルタナティヴ リム/品番:
WXJ-CCSHA03DALT)商品ページ
https://wileyx.jp/climate-control/wx-shadow/

アクロライト160HM
①国内レンズメーカーが開発した「中心厚3.0mm以上」、「屈折率1.60」の超強化型耐衝撃性レンズを採用。

②「ANZI Z87.1規格」における度付きレンズ対応設計耐衝撃性フレームの条件である「Z87-2+」を満たすフルリム・フレーム。

③レンズのフィッティング加工やコーティングについても強度・耐久性確保を最優先し最適化されたメニューに従う。
上記①〜③の条件を全てを満たして初めて「度付きアイウェア・システム=ACRO ARMOUR(アクロアーマー)」は成立する。
レンズの隅にオプションで刻印できる「アクロアーマー・オリジナル・ロゴ(別途2,200円〜)」は、このアイウェアがハイレベルな要求条件をパーフェクトに満たして制作された事実の証明となる。また第三者(=サバイバルゲーム・フィールドのスタッフや他のゲーム参加者、訓練の安全管理者)との目視による相互安全確認が必要な場合等にも有効だ。


アクロアーマーには強度・耐久性に影響が少ないモノだけを厳選したコーティング・メニューも用意されており、写真のブルーミラーの他、ローズミラー(※筆者が今回施工して貰ったのはコレ♪)、シルバーミラー、ゴールドミラーの4色が設定されている。

レンズカラー
レンズカラーは周囲の景色のコントラストを高める事でターゲット認知能力を向上させ、ダットサイトの赤点をよりクッキリ見せる効果もあるレッドブラウン系。アウトドアでの使用が主だが建物に突入しての射撃も考慮し可視光カット率は50%(※通常のWXスモークレンズは85%)の中間的な明るさを選択した。

またWX SHADOW ALTERNATIVE -RIM-(シャドウ オルタナティヴ リム)には柔軟な「FACIAL CAVITY™ GASKET(フェイシャル・キャビティ・ガスケット)」が採用され、風や砂埃、花粉等の 微粒子が眼に入るのを防いでくれる共に「重圧度衝撃=High Mass Impact」に対しては衝撃緩和パッドとしても機能する。取り外しも可能で洗浄や消毒、交換が可能だ。

FACIAL-CAVITY GASKE
「FACIAL CAVITY™ GASKET(フェイシャル・キャビティ・ガスケット)」仕様のモデルをワイリーエックスでは「クリメイト・コントロール・シリーズ」と位置付けており、「RX RIM」採用モデルである「WX SHADOW  ALTERNATIVE -RIM-」、「WX BOSS –RIM–」、「WX ENZO -RIM-」等が「アクロアーマー対応フレーム」だ。RX RIMには本来装着されている「8ベースカーブ」レンズを、より度付き対応範囲の広い「6ベースカーブ」に変更できる他、レンズと眼球との距離を遠ざける事で防護効果をより高める効果もある。

●WX BOSS –RIM–(ボス リム/品番:WXJ-CCBOS03D)商品ページ
https://wileyx.jp/climate-control/wx-boss/

●WX ENZO -RIM-(エンツォ リム/品番:WXJ-CCENZ03D-2)商品ページ
https://wileyx.jp/climate-control/wx-enzo/

フレームのテンプル内側
フレームのテンプル内側にはモデル名を示すホワイトプリントの他、「ANZI Z87.1」規格が定めるハイレベルな耐衝撃性能を証明する「WX Z87-2+」の刻印。この仕様のフレームである事も「アクロアーマー」たる重要条件だ。

T-Peg™ストラップ
テンプル中間にある穴=T-Peg™接続ポートに付属のT-Peg™ストラップを接続する事でタクティカル・ゴーグル同等の機密性および頭部への確実な固定を実現する「T-Peg™ドッキング・システム」により、激しい運動時でも確実なフィッティングが得られる。

WXシャドウ オルタナティヴ リム×アクロアーマー
今回の「WXシャドウ オルタナティヴ リム×アクロアーマー」の付属品。FACIAL CAVITY™ GASKET(フェイシャル・キャビティ・ガスケット)付きの本体、T-Peg™ストラップ、リーシュコード、WXクリーニングクロス、2020年に消毒や洗浄にも対応する防水仕様にリニューアルした収納ケース、鼻高調整用のシリコンエスケープパッド(黒)、ステッカー、保証書、ノーマルレンズ収納袋を兼ねたアクロライト・レンズの仕様書。

ちなみに筆者の今回のオーダーは、「通常料金」+「カラーレンズ」+「ミラーコート」+「ロゴ刻印」等、たくさんのオプションを付けてしまったが、フレーム代込み「総額4万円以内」で収まった(※2022年6月現在)。

以前なら度付き耐衝撃レンズといえば「左右で4〜5万、フレーム込みだと6〜7万」にもなろうかという贅沢品だったものだが、アクロアーマーは同じ仕様がナント半額以下(!)なのだ。冒頭の野田 力さんのコメントにもあるように、「優れたコストパフォ―マンス」もアクロアーマーの特徴である。

超強化型耐衝撃性レンズ
アクロアーマーに使用される超強化型耐衝撃性レンズ「アクロライト160HM」に対し、0.20g BB弾を85〜95m/s(=0.72〜0.90J)で発射する電動ガンで至近距離からBB弾を撃ち込むテスト。ちなみにレンズ表面に残った跡はBB弾に塗布されたスリップ剤(ワックスの一種)が付着しているだけであり、クリーニング・クロスで拭き取れば綺麗に落ちてしまう。

柔軟な素材
従来からある度付き耐衝撃性レンズは、柔軟な素材を用いることで、通常の度付きレンズに比べて衝撃に強く、BB弾の衝撃を緩和・吸収する仕組みになっている。超至近距離から撃ち込んだケースでは、一見割れずに「少し痕が残っている」程度に見えるが、レンズ表面の反射光を取り除くとレンズ裏面のコーティング層に大きな爪痕が残ることが多い。

割れ難い柔軟な素材
割れ難い柔軟な素材が被弾するとレンズ表面が一見無傷に見えても、裏面にヒビや破片ができることが多い。これはレンズが被弾すると衝撃を吸収するために瞬間的に変形するが、その負荷が裏面のコーティングを破壊するという理屈だ。

これに対しアクロアーマーに使用される「アクロライト160HM」は超高硬度によって保護するため、BB弾の破片やスリップ剤の跡が付くだけで済む。また、そんな超高硬度レンズを活かすのが柔軟さ=耐衝撃性を持つ「ANSI Z87-2+耐衝撃フレーム」なのであり、もちろん適切なレンズ加工によって取り付けられる事も重要な条件だ。超高硬度レンズが受ける衝撃を最適な加工によって取り付けられたフレームにも伝達し、吸収・拡散させる。その全てが揃う事で、安全性は更に向上し、「アクロアーマー」として完成するのだ。


500gの鉄槍
500gの鉄槍(てっそう)による耐久試験。先端は球状になっている。これを鉄パイプ製の「銃身」を通して2mの高さから落とす。ちなみにインパクト時のパワーを計算すると「7.5ジュール」。レンガを一撃で割ってしまう威力がある。

一撃で貫通
一般的なメガネ用プラスチックレンズ(CR-39)は一撃で貫通! 格安チェーン店で購入できる数千円〜1万円程度の眼鏡では「イザと言う時こうなる可能性がある…」と思うべきだろう。

アクロライト160HM
アクロアーマーに使用される「アクロライト160HM」での鉄槍落下実験。打撃点に凹みが生じたがレンズ裏面(眼球側)にはダメージなし。衝撃波で破片が剥離する事もなかった。

5kgの鉄アレイ
5kgの鉄アレイを60cmの高さから落下させた打撃実験。鈍器や落下物、殴打、転倒といった「重圧度衝撃/High Mass Impact」を想定している。

レンズそのものにダメージはない
打撃時に舞い上がった埃と指紋で汚れてはいるが、レンズそのものにダメージはない。もっとも、このレンズが適したフレームに正しい方法で装着されていなければ顔面・眼球に対する充分な保護効果は期待できない。

ピッケルハンマーによる連続打撃実験
先端が鋭く尖ったピッケルハンマーによる連続打撃実験。岩石の採掘、あるいは車のフロントガラスを割るために用いる道具なので、メガネレンズなどはひとたまりも無いハズなのだが…。

レンズそのものは破壊されなかった
サスガに打撃点には深い傷が刻まれたが、レンズそのものは破壊されなかった。動画ではアルミ板の床にただ置いてあるだけのレンズと、角をテープで固定したレンズ、両方での打撃実験が行われている。

ともあれ、筆者が2012年に初めて制作して以来10年、これまで幾度となく紹介してきた「度付き耐衝撃性レンズ」とはまるで次元の違う強度と耐久性がこの「アクロライト160HM」にはある事、そしてそのレンズの性能を余すところなく発揮させる最適化プログラムに従って制作された次世代型度付きアイウェア・システムが「ACRO ARMOUR(アクロアーマー)」である事はお解り頂けたと思う。

WX OVATION(オベーション)
ワイリーエックスにはあまりミリタリーぽくない「日常に溶け込むデザイン」のラインナップとして「ACTIVE 6(アクティブ・シックス)」シリーズ、さらに通常のメガネに軍用スペックの眼球保護機能をフィードバックした「WORK SIGHT(ワークサイト)」シリーズがあり、これらもアクロアーマー対応フレームとなっている。

そこで今回はもう一つ「普段使いのメガネ」としてWX OVATION(オベーション)のお洒落な半透明グレー「マットスレイト」カラーのフレームに、対象物が驚くほどクッキリ見える特殊レンズ「ネオコントラスト」仕様の「アクロライト160HM」を、遠くの標的もフロントサイトも手元もはっきり見えるよう累進(=境目のない遠近両用)で…という贅沢なアイウェアをテストモニター用として特別に製作して頂いた。

●WX OVATION(オベーション)商品ページ https://wileyx.jp/active/wx-ovation/

●WORK SIGHT(ワークサイト)商品ページ https://wileyx.jp/worksight/

「ANZI Z87.1」規格
このモデルにもフレームにモデル名を示すホワイトプリントの他、「ANZI Z87.1」規格が定めるハイレベルな耐衝撃性能を証明する「WX Z87-2+」のマーク。着脱自在のサイドシールドを装着する事で横方向からの眼球保護もバッチリOK。そして付属のエスケープ・パッド(クリア)が鼻高調整に役立った。

WXオベーション×アクロアーマー
「WXオベーション×アクロアーマー」の付属品も紹介しておこう。サイドシールド付きの本体、リーシュコード、WXクリーニングクロス、2020年に消毒や洗浄にも対応する防水仕様にリニューアルした収納ケース、サイドシールド用の収納袋、鼻高調整用のシリコンエスケープパッド(クリア)、ステッカー、保証書、ノーマルレンズ収納袋を兼ねたアクロライト・レンズの仕様書。

以前なら「10万円超!」…というか、そもそも度付き耐衝撃レンズには「累進(=遠近両用)+ネオコントラスト・レンズ」というメニューは存在しなかったものがアクロアーマーでは可能となり、実際に作るとなるとフレーム込みで「5万円をやや越える程度(※2022年6月現在)」だという。やはりアクロアーマーは「だいたい以前の半額♪」なのだ。

ところでレンズを累進(=遠近両用)にすると中高年世代は日常生活がとてもラクに快適になるのだが、同時にサバイバルゲームや射撃競技にも大変便利な事が今回判った。近いうちにまたご報告の機会があるかも知れない。

記事協力・資料提供

れんず屋
電話:03-3358-8888
受付時間 11:00~18:00 (日曜・月曜定休)
https://www.lensya.com

参考リンク

アクロアーマー
Website: https://asii.jp/ACROARMOUR/
Twitter: https://twitter.com/AcroArmour

ワイリーエックス・ジャパン
https://wileyx.jp

ワイリーエックス関連の過去記事

Part1:ワイリーエックス アイウェアレビュー

Part2:度付きレンズ制作編 Part2:度付きレンズ制作編

Part3:愛用者の声 Part3:愛用者の声

Part4:最新モデル(オルタナティヴ)紹介 Part4:最新モデル(オルタナティヴ)紹介

2022/06/09


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