CO2ガスガンの可能性

CO2ガスガンの可能性

昨年1月にCO2ガスガンの現状を公開したところ、多くの反響がありました。今回はユーザーアンケート結果や関係者への聞いたことも交えて、CO2ガスガンについて考えてみました。

2020年10月に、JASG (日本エアースポーツガン振興協同組合) がCO2ガスガンの認可、推進を行う方向転換を行ったことで、現在3つあるトイガン業界団体のうち、STGAとJASGの2団体がCO2パワーソースを推進するという状況になりました。それでも一番古い歴史を持つASGKはCO2反対の立場を取っており、業界内ではエアガンのパワーソースにCO2を使用することの是非は依然として問われている状況です。

昨年秋にハイパー道楽のツイッターでアンケートを行った結果が以下となります。

アンケート1
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5,113票という多くの方にご回答いただいた結果、65%が「業界を挙げて推進して欲しい」という結果となりました。

また、様々なご意見も合わせていただきました。
「業界全体がしっかりルール作りをしたうえでないと使えない」という意見もありました。
法令、製造、輸入、安全な運用など、すべてにクリアになって欲しいというのが多くの方の共通意見だと思います。

また 「業界最大手の東京マルイにもCO2ガスガンを出してほしい」という意見も多く見られました。
そこで、東京マルイの広報にお聞きしたところ、
「CO2に関しては、弊社は現時点のASGK規約を順守しているというスタンスになります。」
とのことでした。つまりASGKの規約上、CO2製品の製造販売は認められていないという事になります。

それでは業界団体であるASGK (日本遊戯銃協同組合)はなぜCO2を推進していないのか?、ということを組合に問い合わせたところ、「現時点では答えられない」という返答でした。多くのユーザーが気になっている事案についてASGKから明確な回答を得られなかったのは残念です。

そこで、非公式ながらASGK関係者へのヒアリングをしたところ、安全性の問題が挙げられました。
CO2化したことでリコイルアップによる耐久性・破損問題が発生しやすくなり、その結果、金属製のスライドやフレーム化を助長してしまう懸念などにより、現状では推進していないというご意見を伺えました。

また、海外製品には国内製品とでマガジンやブローバックユニットなど、構造的に互換性があるものが多く、市場にそれらが混在したときに発生しうる安全性の担保も懸念事項だということでした。

ただ、非公式ながら、昨今の代替フロンガスの高騰なども影響して、今後については前向きにCO2パワーソースを検証していきたいというお話も伺えました。

CO2ガスガンの危険性

現状では、例えば、マルイ製のガスガンに、互換性のある他社製ガスガンのCO2マガジン使用して初速オーバーしたとしても、それはメーカーが推奨していない使い方だから使用者の問題であり、メーカーや販売店は関知しない、という微妙な状況です。

しかしながら、互換性のあるフロンガス用とCO2用のガスガン両方がユーザーの手元にあれば、意図せずとも、マガジンの混用は十分にあり得る話です。

この点については業界3団体間で協議して、マガジン互換性の問題、CO2マガジンのガス吐出圧などの上限を設けるなど、早急にトイガン業界全体での安全対策が求められるでしょう。

代替フロンガスの流通状況

代替フロンガスとして現在市場に出回っているのはHFC134aと、HFC152aとなります。
トイガン関連の流通・問屋さん数社にお話を伺ったところ、これらガスを製造する工場は限られており、新規に参入することはできなくなっているそうです。また既存の製造工場でも生産量の制限を国から言われており、今後、減ることはあっても増えることはないとのことでした。

東京マルイ製のガスはすでに昨年値上げされ、400g缶が2000円、250g缶が1500円となりました。
それ以外のブランド製ガスも現状ではしばらくは十分な流通量は確保されているとのことですが、やはり値上げは避けられないといった状況だそうです。

大手ショップさんにお話を伺っても仕入れられる数は限定的で、欲しい量が回ってこない、入荷してもすぐに無くなったり買い占められてしまう、といった話も聞かれました。

東京マルイが2017年に発売したノンフロンガンパワーはマルイが独自に開発・販売を始めた環境影響度の低いガスです。成分はHFO1234ze+LPGで、従来のガスガンにそのまま使用できますが、作動圧が約10%減、可燃性ガス、300gで1980円とHFC134aに比べて高価ということもあり、まだまだ普及しているとは言えません。
ただ、今後、代替フロンガスが入手しにくくなったり、価格が逆転するようであれば、こちらのノンフロンガンパワーに移行せざるを得ない状況になるかもしれません。
結局のところ、代替フロンガスの削減は価格の上昇となって、そのツケは我々ユーザーが支払うという形になっています。なんとも歯がゆい気持ちですね。

ICO

CO2パワーソースは万能ではない

CO2は代替フロンに比べて、冷えに強かったり気温に対する圧力変化が少ないのはメリットではあるのですが、リキッドチャージできないのがデメリットです。
つまり継ぎ足して使用できる従来のフロンガスに対して、カートリッジ式のCO2は残量を気にしていないと肝心なところでガス切れとなりやすいという事ですね。
なお、あえて説明しておくと、高圧液化ガスのCO2カートリッジから従来のマガジンにリキッドチャージするのは高圧ガス保安法違反となります。


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一方でCO2にすることで、メリットのあるタイプのガスガンもあります。
ガスリボルバーや、ボルトアクションライフル、ポンプアクションショットガンなどはオートマチックガスガンよりも連射しないので、ガス切れに気を遣うタイミングが減りますし、リキッドチャージ式よりも冷えや連射に強いため、命中精度も高くなります。すでに海外製品ではみられるようになっています。
パワーソースの選択肢が増えれば、より幅広いモデルでエアガンが楽しめるのではと考えます。

ただ、CO2は万能ではありません。前述のようにメリットもあればデメリットもあります。

よく「CO2パワーソースはフロンガスに置き換わるものだ」と誤解している人がいますが、そうではありません。あくまで次世代のリキッドチャージガスとCO2の2本柱で行くものだと思います。ですので、CO2推進と同時に次世代リキッドチャージガスの模索や普及も必要だと考えます。

結局のところ、次世代のパワーソース問題はまだ解決していません。
長引かせるほど状況は悪くなり、ユーザーに経済的負担が強いられます。そして業界全体での取り決めが無ければ混用による危険性もますます高くなります。

「業界をあげてCO2を推進して欲しい」
多くのトイガンファンの思いが早く叶うことを望んでいます。

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[参考] 日本のトイガン業界団体と主な加盟メーカー&ショップ (順不同)
ASGK (日本遊戯銃協同組合) 1986年発足
 東京マルイ
 ウエスタン・アームズ
 タナカ
 クラウンモデル
 KTW
 ヨシトモ (TOP JAPAN)
 ハートフォード
 アップル (CAW)
 青島文化教材社
 ケイエム企画

※日本遊戯銃協同組合の前身である「エアソフトガン協議会(ASGK)」は1981年6月1日発足。自主規制要領の制定は1981年7月3日。

JASG (日本エアースポーツガン振興協同組合) 1999年発足
 マルゼン
 ケーエスシー
 サンプロジェクト
 日本技巧
 ライラクス
 バトンTrading

STGA (全日本トイガン安全協会) 2007年発足
 マルシン工業
 タニオ・コバ
 エスツーエス
 セキトー
 モケイパドック
 七洋交産
 ハッチ

2021/01/17


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