レビュー: 金子一也
アメリカのLWRC社(Land Warfare Resources Corporation)が開発したM6A2は、M4カービンの扱いやすさをそのままに、連射性、耐久性を高めたアサルトライフルである。
M16から採用され続けているガス直噴式の作動システムは、ボルトキャリアに高熱、高圧の発射ガスが直接吹き付けられるため、ボルトとエキストラクターへの負担が大きく、また汚れも激しいため、作動不良の原因となっているのだが、LWRCのM6シリーズはこの問題をショートストロークガスピストン方式に変えることで解決した。
発射ガスを銃身上部に設けられたシリンダーに取り入れ、その圧力でガスピストンを押し下げ、ボルトを作動させるこのシステムは、ボルトまわりに発射ガスが進入しないため、クリーニング無しでの3000発を超える射撃を可能とし、銃そのものの寿命を延ばしているが、シリンダーとピストンの重量に加え、それらの作動に耐えるために太いバレルが必要なこともあって、全体の重量は増加している。
軽量に造れるが耐久性に問題が残るガス直噴式と、壊れにくく長期の連射が可能だが重量のあるガスピストン式のどちらが優れているかは、その銃を使用する状況によって回答が異なるため、一概に結論を出せるものではないが、銃のクリーニングもままならない過酷な戦闘時においては、ガスピストン方式の優位性は間違いないところだろう。
CLASSIC ARMY LWRC M6A2 電動ガンスペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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今回レビューをお届けするCLASSIC ARMY製 LWRC M6A2は、いわゆるCQBサイズの10インチメタルアウターバレルと樹脂製ハンドガードを持つベーシックなタイプを再現。
2万円を切る価格設定ではあるが、同社製アッパークラスの電動ガンと変わらないメタルレシーバーが採用され、金属製アウターバレルと相まって一切の軋みやガタ付きを感じさせない剛性の高さを実現している。
そこに内蔵されるギヤボックスも金属製のしっかりした物で、流速やハイサイクルといった様々なチューンに対応出来る強度を持っており、仕様を見た限りでは何故こんなに低価格で売れるのか理解に苦しむほどの豪華な製品となっている。
レシーバー表面にはきめの細かいつや消しブラックの塗装が施され、その形状は細部に至るまで実銃を正確に再現している。
CLASSIC ARMYではLWRC社との正式ライセンス契約を交わしているため、レシーバーの刻印もプリントではあるものの、実銃とまったく同じロゴや表記がマーキングされている。
左側面に6.8mmとあるのは、アッパーレシーバーの交換で5.56mmと6.8mmとの異なる弾丸を使用出来る実銃のセールスポイントを物語っており、6mmBB弾しか撃てない電動ガンには関係無いものの、マニア心をくすぐるうれしい演出と言えよう。
樹脂製のハンドガードは通常のM4A1カービンと異なるスリムタイプが装着されており、構えやすさを生み出すとともに全体の印象を引き締めている。
オーソドックスな3角形のフロントサイトポストは金属製のもの。あちこちにぶつけることが多いこの部分が頑丈に作られているのは、ゲーマーとして有り難い仕様だ。
LMTタイプのリアサイトも金属製のガッチリしたもので、言うまでも無くウインデージとエレベーションの調節が可能。
そのリアサイトを外したトップレールは20mm幅なので、各種光学機器を搭載してのシステムアップも楽しめる。
エジェクションポートへの異物の進入を防ぐダストカバーもスチール製なのだが、通常見られるスプリング式のラッチ部分に薄い磁石が設けられているのに驚かされた。
この磁石がスチール製のダミーボルトに吸い付くことでダストカバーが閉じるというアイディアは、本来の機能を保ちながらコストダウンを図れる有効な方法と言えるだろう。
荒いテクスチャーが施されたタンゴダウンタイプのエルゴノミックグリップはしっくりと掌に馴染み、スリムな形状は手の小さい人でも違和感無く握れるデザインとなっている。
バットストックはスタンダードな形状のブッシュマスタータイプで、4段階の長さ調整が可能。
末端に設けられたスリングスイベルも金属製のガッチリしたものが取り付けられており、ラフな使用にも充分耐える強度を確保。
金属製のストックパイプとのフィッティングも良好で、ガタつかず、それでいてスムーズに伸縮出来るあたりは、安物っぽさを感じさせないためのメーカーの拘りなのかもしれない。
メタルレシーバーに収められているメカボックスはいわゆるVer.2互換で市販のチューニングパーツがほぼすべて使用出来るが、よくある低価格電動ガンとは違って、最初から金属製のスプリングガイドとチェンバーが搭載されており、メタル軸受けまでも標準装備という贅沢な仕様。
今や世界最大のエアガンメーカーとなったCLASSIC ARMYの本気度と底力を見せ付けられたような想いだ。
メカボックスからの配線は前出しとなっており、バッテリーはハンドガードの中に収納する形になる。
スリムな樹脂製ハンドガードだが、ミニ9.6vサイズ互換のET1製リポバッテリー7.4v 2400mAh[R]が収まるので、サバゲーで使うにあたっても充分な発射弾数が確保出来るだろう。
リポバッテリーも2400mAhともなるとかなりのサイクルレートとなり、メカボックスへの負担が心配になって来るが、Gunsmithバトンによる調整とチューニングが施されているため、セミ、フルオートともに鋭いレスポンスの射撃が安心して楽しめる。
実射性能についても、弾道、命中精度共非常に安定している。
10メートルからであれば握り拳大のターゲットにアイアンサイトで楽々集弾させることが出来、30メートルの距離でもA4サイズ(210mm×297mm)の標的に雨あられとBB弾を撃ち込むことが可能だ。
アウターバレル先端まで延びた真鍮製インナーバレルの恩恵もあるだろうが、製品が本来持っている素性の良さを最大限に引き出すバトンチューンの成果であることは間違いないだろう。
ガスピストン方式を採用した新鋭のアサルトライフルをフルメタルで、しかも正式ライセンスの取得でリアルに再現したCLASSIC ARMY LWRC M6A2。
2万円を切る低価格にしてこれだけ贅沢な仕様を持った電動ガンは他に類を見ないと断言してしまっても良いだろう。
ビギナーの入門用として、またはベテランのカスタムベースとして、これ以上無いほどにお買い得な商品だ。
Gunsmithバトンアキバ店にて現物の試射が可能なので、実際のクオリティが気になった方は足を運ばれてみてはいかがだろうか。