ICS MX5PRO A5 with Tactical Flash Light Handgard

ICS MX5PRO A5 with Tactical Flash Light Handguard

レビュー: 金子一也

特殊部隊御用達の高性能SMG

ガンマニアなら知らぬ者はいないであろう代表的サブマシンガンである、ドイツH&K社のMP5シリーズ。

クローズドボルトとローラーロッキングシステムを採用した先進的な設計で高い命中精度を誇り、世界各国の警察や特殊部隊に多く採用されて来た名銃である。

しかし1997年にロサンゼルスで起きた銀行強盗事件の際、防弾装備に身を固めた犯人に拳銃弾がまったく通用せず44分間にも渡る銃撃戦に発展し、警察側に大きな被害が生じたことから、より強力な弾丸を使用するアサルトライフルの採用へと時代は移って行く。

半ば活躍の場を失っていた拳銃弾を撃ち出すタイプのサブマシンガンだが、屋内での戦いにおいて標的を壁ごと貫通してしまうライフル弾の過剰な威力が問題となったため、最近はMP5シリーズが現場に復帰し始めているという話しも聞かれる。SMGファンとしては頼もしくも嬉しい限りだ。

ICS 電動ガン MX5PRO A5 スペック & 弾速データ
全長 542~688mm
重量 3,300g
銃身長 229mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 230発
定価 45,980円
発売日 -
最高 92.75m/s
平均 90.71m/s
最低 89.77m/s
ジュール 0.823J
※ICS バイオBB弾、ホップアップ適正、XCORTECH X3200にて10発で測定。

スチールレプレス&溶接によるリアル感


今回レビューをお届けするICS MX5PRO A5 with Tactical Flash Light Handguardは、ICS社の数ある電動ガンの中でもアッパークラスに位置する高級製品である。

ICS MX5PRO A5

MX5というのは、MP5シリーズの製品につけられた同社独自の名称で、おそらくは権利関係の問題からあえてこうしているのだろう。

外箱はMX5PROシリーズ共通の、製品の写真を使ってきちんとデザインされたシックな雰囲気のもので、中にはMX5本体に加えて多弾マガジンが2本と、ハンドガードにセットするためのタクティカルライトが入った白い箱が収められている。

銃を掴み出してみると、MP5(MX5)ってこんなに重かったっけ? と思わせるほどズッシリとした重量感に驚かされる。樹脂製フレームの東京マルイ製MP5に慣れ切っているため、このように感じたのだろう。

見た目の印象は馴染み深いMP5のそれであるが、つや消し塗装を施された金属製のアッパーレシーバーが、なんとスチールプレスパーツの溶接で造られているとのこと。溶接部分のうねうねとした盛り上がりが、それっぽいモールドではない本物の溶接跡なのだ。

塗装前のアッパーレシーバー

従来製品のモナカ構造のレシーバーは、長期の使用によってマガジン挿入部分が左右に開いてしまうという難点があったのだが、その部分もスチールプレスの一体構造となっているため、どれだけラフに扱おうとも開いてしまうようなことは絶対に無い。

チャージングハンドル周りも頑丈に作られているため、コッキング状態で上方の切り欠きにハンドルをひっかけ、マガジンチェンジの後にひっぱたいてチャキーン!とやるあのアクションが遠慮なく楽しめるのはうれしいところだ。

ちなみに実銃のMP5はボルトの構造が繊細なので、ボルトが前進した状態でフルロードのマガジンを挿入するのは避ける必要があり、そのためにあのアクションが必要となっているらしい。

そのチャージングハンドルの前に設けられたスゥイベルリングも頑強なスチール製のもので、どんなスリングを取り付けても安心して運用できるだろう。

フロント、リアの両サイト共に実銃の形状を良く再現してあり、リアサイトはロータリー式の切り替えに加えて、上下左右の調整も可能となっている。

マズルアッパー周りで唯一残念なのは、マズル部分が逆ネジ仕様の取り外し可能なタイプになっていないところだろうか。もはやあらゆるエアガンの定番となった観のある部分だけに少々残念である。

なお、頑強な造りのストックは2段階の長さ調節が可能。バットプレートがJタイプに見られる肉厚なものでなく、薄手のコンパクトタイプになっているのはうれしいポイントだ。


電子制御による3バーストモードを搭載

ロアーレシーバーに目を移せばこちらも見慣れた印象で、形状、質感ともにリアルな樹脂製のものだが、セレクターまわりに注目すると3点バーストモードの表示がしっかり刻まれている。A5タイプの電動ガンでフル、バースト、セミオートの3つのモードを再現した製品は、このMX5PROが世界初ではないだろうか。

3点バーストはメカボックス内

その3点バーストはメカボックス内に納められた電子回路によってコントロールされており、トリガーの前に設けられた小さい穴の中に見える可変ボリュームを回すことでタイミングを調整できるという、他に類を見ない構造のもの。ちょっといじってみたところ4バーストも可能だったので、好みに応じて変えてみるのも良いだろう。

セレクターを動かした際のクリック感がやや薄いのが気になるものの、きちんと制御された3点バースト射撃が可能な電動ガンは種類が少ないため(現行製品では東京マルイの89式くらいか?)3発のBB弾が連なって飛んで行く様がなんとも楽しく、他のモードで撃つことを忘れてしまいそうになる。

ただ電子制御によるためなのか、トリガーをゆっくり引くとギヤが中途半端に動いて、BB弾が発射されないといった症状が見受けられた。これはどのモードにしても同様なので、スイッチ部分の構造から来るクセではないかと考えられる。

とは言えトリガープルは軽く、極めてスムーズなので、射撃の際は一気に引き切ってしまえば良い話だ。希少な3モード射撃を存分に楽しんでしまおう。

ライトハンドガード

このMX5PROで初めて採用されたライトハンドガードも見慣れた形状ではあるが、ICSによる独自デザインが盛り込まれたオリジナルのものだ。

付属のタクティカルライトはR5 CREE LEDを採用しているそうだが、実際に点灯してみると強烈な明るさの白色光を放ち、真っ暗な状態で30メートル先のターゲットをはっきりと照らし出すことができる。メーカー公称値200ルーメンという数値に偽りは無いだろう。

ハンドガードの左右2箇所に設けられたスイッチは、左が通常のオンオフスイッチ、右が押している時だけ点灯するプレッシャースイッチとなっており、状況に応じて使い分けられる実用的な機能を備えている。

また、ハンドガードから取り外して使えるようにと、プッシュスイッチ式のテールキャップが付属しているのは実に気が利いている。ハンドガードとライトの脱着は単純なねじ込み式なので、他の銃を使う時にはライト単体で使うと良いだろう。

安定の実射性能

その完成度に定評のあるICS製品だが、MX5PROもその例に漏れず安定した動作と命中精度を備えている。

チャージングハンドルを引くことでエジェクションポートのカバーが開き、ホップ調整レバーにアクセスすることができるのだが、従来の同社製品(PROが付かないMX5シリーズ)では、マルイ製品に倣ったむき出しのレバータイプから改良されているあたり、開発における力の入れ様が伺えるではないか。

また、同社製M4シリーズと共通の分割式メカボックス(メーカーサイトによればSplit Gearbox)は確実な作動と良好なメンテナンス製を両立しており、フィールドで何らかのトラブルに見舞われた時でも素早い対処が可能だ。

ハンドガード

テストには7.4v2000mAhのET1製リポバッテリー(ミニタイプ互換)を使ったのだが、ハンドガード内のスペースに収める際に若干のコツを要した。低容量のバッテリーを使えば良い話ではあるが、どうせならより多い弾数を撃てた方が楽しいというものだろう。 そしてその実射性能は、アイアンサイトで狙った30メートル先の等身大マンターゲットに楽々全弾命中させられる安定感で、バーストやフルオートで撃っても弾道に大きな乱れは見られない。フルスチールのレシーバーが生み出す剛性の高さも、その命中精度に一役買っているのだろう。ストックを伸ばしてガッチリと構えても、本体のどこからも軋みやガタを感じることは一切無い。

初速はGunsmithバトンチューナー陣により、平均90m/sと比較的高めに調整されているが、これも元々の性能が高いからこそ実現できる結果なのだろう。

ICSというメーカーはオリジナルアレンジを盛り込んだ独特のデザインの電動ガンを積極的にリリースする一方で、このMX5PROのようにスチールプレスレシーバーを溶接で製作するといった手間のかかるリアル路線も追求するという、硬軟両面に優れた意欲的なエアガンメーカーと言える。

既に充分な性能と品質を持ったMP5(MX5)シリーズをラインナップしていながら、さらなる改良を施した新規製品を開発するあたり、次世代シリーズを開発した東京マルイさんに通ずる企業理念を感じてしまう。

台湾のメーカーであるICSが、その技術の粋を集めて送り出したMX5PRO A5。 アキバ店には現物が展示されているので、その高い品質を是非実際に確かめていただきたい。




2012/11/15
本レビューはGunsmithバトンによるレビュー広告です

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