BATON airsoft BM-45 NL CO2GBB
レビュー: 金子一也 (Gunsmith BATON 広報)
JASG認定 CO2ガスガン、BM-45 NL CO2GBB
業界随一と言っても過言ではないペースで、矢継ぎ早にオリジナル製品をリリースするBATON airsoftから、JASG認定CO2ガスガンの新製品、BM-45 NL CO2GBBが、2023年8月中旬に発売される運びとなった。
当記事執筆時点ではGunsmith BATONネットショップで予約受付中となっているが、8月中旬予定の発売日以降は、これまで同様全国の各種エアーガン取扱店舗での購入が可能となる予定だ。
尚、本製品もこれまでのCO2GBBシリーズ同様、JASG自主規約に基づく認定検査に合格した安全なエアースポーツガンであり、購入後三ヶ月以内は、修理工賃・パーツ代に加え、修理品の受け渡しにかかる送料もメーカー((株)バトンTrading)が負担する万全のサポートが受けられる。
※サポートには商品添付の保証書が必須となり、購入後3ヶ月以上経過した場合でも、無期限で有料のサポートを受けることが可能だ。
米軍最後の45口径拳銃
出典:https://www.gunsweek.com/en/pistols/articles/colt-m45a1-cqbp-marsoc-pistol
M45A1 CQBP(Close Quarters Battle Pistol)は、2012年に米海兵隊が採用したCOLT社製の45口径オートマチックハンドガンである。2012年といえば、原型となるCOLT M1911が米軍に採用されてから100年が過ぎた年であり、その基本設計の優秀さを物語ると同時に、先陣を切って戦場に乗り込む海兵隊の思想が良く分かる事実と言えるだろう。
外観的には今風にカスタマイズしたガバメントといった趣だが、その中身にはCOLT社の最新技術がふんだんに盛り込まれている。贅沢な仕様の内部パーツに加え、45口径の強烈なリコイルを低減させる特殊なシステムは、競技用のレースガンに匹敵する撃ちやすさと高い命中精度を実現していたそうだ。
出展:https://rifleshooter.com/2015/06/colt-m45a1-review-usmc-pistol-review/
2017年1月にSIG SAUER M17/M18が米軍制式拳銃として採用され、全軍で新型拳銃への更新が進む中、最後まで45口径にこだわり、COLT M45A1を使い続けて来た米海兵隊だったが、M18への代替がこの2023年6月を持って完了し、すべてのM45A1が退役となっている。
ちなみにM17/M18は9mm弾を使用する拳銃だが、ホローポイント弾が使えない軍用銃としてはストッピングパワーに欠けるのではないかと思い調べたところ、いわゆるダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言にアメリカは調印していないそうで、現在ホローポイント弾の採用に向けた準備を進めているとのことだ。
出典:https://www.riflegear.com/p-10290-colt-custom-shop-cqb-5-45acp-pistol-black.aspx
海兵隊に納入されたM45A1はすべてにデザートタンカラーのコーティングが施されていたが、ネット上で探すと黒いM45A1の姿が確認出来る。これは、Colt Custom Shop CQB 5" .45ACP Pistol Blackという名称で少量生産された製品で、今では入手困難な希少品となっているようだ。
出展:https://www.1911addicts.com/threads/sold-colt-combat-unit-rail-gun-ccu.158005/
また、M45A1のベースとなったColt Combat Unit Rail Gun CCUという銃も存在しており、こちらにはマグウェルが装着されている。
度重なる改良を経て辿り着いたBM-45シリーズ最新バージョン
始まりは、2019年2月に発売したM45A1 CO2GBBだった。BATON airsoftブランド初のCO2ガスガンとして独自開発し、通販と店頭販売のみという条件でリリースした同製品は、その強烈なリコイルと、強化樹脂製のスライドとフレームを備えた完全な適法品として、爆発的な大ヒット商品となった。
そして同年12月、有限会社タニオ・コバ社長の小林太三氏との出会いを経て、TANIO・KOBA CO2バルブの搭載とJTSA認証取得を果たし、BM-45 CO2GBBとしてリニューアル発売。これが実質的なファーストロットとなる。
翌2020年8月には、銃口内部に11mm正ネジを刻んだショートリコイルキャンセルアウターバレルを採用したセカンドロットを発売。続く2021年11月には、JASG 日本エアースポーツガン振興協同組合に正式加盟した上で、金属製スライドストップブラケットの装備にともなう大幅リニューアルを果たしたサードロットを発売と、ユーザーの要望に応える形で、BM-45 CO2GBBは度重なる改良を行って来た。
そして2023年8月、同製品の完成形態とも言える、BM-45 NL CO2GBBが、BATON airsoft新製品として登場する。カラーバリエーションは従来どおりBK(ブラック)とFDE(フラットダークアース)の2種類だ。
実質的には三度目のリニューアルとなるシリーズ最新作、BM-45 NL CO2GBB(以下、45NL)のディティールを、今回も銃口周りから詳しくご紹介して行こう。
※画像は量産手前のサンプルなので、製品版では外観が一部変更される場合があります。
実銃の魅力をCO2ガスガンとして再構築
ラウンドトップスライドの先端にバレルブッシングとプラグを備えた、1911系ならではの端正なマズルフェイスに、45NLで新たに採用されたクロームメッキ仕上げのアウターバレルが彩りを添える。
バレルブッシングの内側には樹脂製のリングが新採用され、アウターバレルのブレを抑えることで命中精度の向上とスライドのスムーズな動作を実現している。
アウターバレルはサードロットと同じショートリコイルキャンセル仕様で、銃口部内側が11mm正ネジになっており、各種マズルアダプターの装着が可能。
スライド前方側面に設けられたコッキングセレーションは、グラブを着けた手でも確実な操作を可能とする実用的なデザインとなっている。
エジェクションポートから覗くチャンバー部分の表面も、アウターバレルと同じクロームメッキ仕上げで、実銃M45A1のブラックモデルと同じ表情が楽しめるようになった。
尚、チャンバー内には最新のBNホップアップパッキンを採用している。
Novak LoMount Carryを模した前後サイトにはこれまで同様ホワイトドットが入っており、素早いサイティングをサポートしてくれる。
さすがにトリチウムは使われていないが、ある程度の明るさがある環境ならば充分な狙いやすさと言えるだろう。
スライド後方側面のコッキングセレーションも、先にご覧いただいた前方側面と同じデザインで、CO2仕様のためやや重めのコッキングを容易にしている。M1911A1ではスライドに対して垂直に刻まれていたセレーションがこのように斜めのカットになったのも、時代の要求に合わせた進化のひとつだろう。
また、Type-NLマガジンの採用に伴い、プランジャースプリングの強化とスライドストップの改良も行っているが、従来型のType-Nマガジンも問題なく使用出来る。
ダストカバー底面部分が大きく下に張り出したM45A1独特のアンダーレールはピカティニー規格となっており、各種ウェポンライトの装着が可能。ホルスターの選択肢が限られるため少々やっかいではあるが、この張り出し部分にサポートハンドの親指がちょうど良く乗るので、連射時のリコイルコントロールに貢献している。
実銃が何故このようなデザインになっているのか、その意図について調べてみたが、具体的な情報は得られなかった。
尚、レール部分の下面に金型から抜いた際のバリが目立つ場合は、良く切れるカッターで削ぎ落とせばほとんど目立たなくなるので、お試しいただきたい。
M45A1フレーム独自の、トリガーガード前面上方と、グリップ側の付け根部分の2箇所にカットが入ったデザインも実銃通りに再現。特にグリップ側付け根部分のカットは、グリッピングの感触を格段に向上させている。
BKモデルのトリガーは前作サードロットから採用の3ホールタイプを踏襲。FDEモデルは穴の無いソリッドタイプとなっている。
グリップセーフティも実銃同様、パームスゥエル(手のひらに当たる部分の出っ張り)の付いたビーバーテイルタイプで、ホルスターからの抜きやすさと握りやすさの両立に貢献。
ダブルホール(エッグホール)タイプのハンマーと、左右両側からの操作が可能なアンビタイプのサムセーフティも忠実に再現し、実銃同様の扱いやすさを実現している。
樹脂製のグリップパネルはG10削り出し風の模様をプリントしたモノトーンタイプ。FDEモデルのグリップパネルには、ダークアースを基調とした同じパターンのプリントが施されている。
尚、グリップパネルのサイズ自体は実銃に倣っているが、CO2カートリッジを避けるためのフレーム下部の膨らみがあるため、実物グリップを取り付けるためには、グリップ側を加工するか、スペーサーを自作する必要があるので注意されたい。
また、Type-NLマガジンの採用に伴い、BN-SILENT HAWKで新規製作したNIGHT HAWKタイプマグウェル一体型のハンマースプリングハウジングを装備。実銃M45A1には無い部分だが、マグウェルを着けることで損をする要素は何一つ無いはずだ。
最強の1911系CO2マガジン、Type-NLを採用
BM-45シリーズ初採用となったType-NLマガジンは、BN-SILENT HAWKの生産時に併せて新設計したCO2マガジンで、それまでのType-Nマガジンの装弾数が最大14発だったのに対し、ダブルカラム化によって最大27発という火力の獲得に成功。また、マガジンの全長を伸ばすと同時にアウトプットバルブ下部の気化室を拡大し、連射時の初速安定化も狙っている。
そのアウトプットバルブは言うまでもなく、特許取得済の TANIO・KOBA CO2 バルブ( TANIO・KOBA CO2 バルブ : 実用新案 第 3206631 号 )を採用しており、PUFF DINO製CO2 12gカートリッジ1本あたり、100発前後の射撃が可能という燃費の良さを誇っている。
※マガジンにBB弾をフル装填すると27発入りますが、銃本体のシリンダーASSYを保護するため、フル装填で運用する場合は、スライドをホールドオープンさせた状態でマガジンを挿入してください。
スライドを閉じた状態でマガジンを挿入する場合は、必ず1~2発少ない25~26発程度で運用してください。
迫力のブローバック動作と安定の実射性能
今回のレビューも量産手前のサンプルを使用しているため、実射性能についてはあくまで参考データになるが、お馴染みBATON Range内ロングレンジ設置の30m先のEタイプシルエットターゲットに対し、適正ホップを出してからのスタンディング射撃で、ワンマガジン26発を全弾叩き込むことが出来た。サンプルでの結果ではあるが、BN-SILENT HAWK以降すべてのCO2GBB製品が採用しているBNホップパッキンが、弾道の安定性に大きく貢献していることは間違いないだろう。
また、CO2GBB特有の強烈なリコイルとスライドスピードの速さも無論健在で、かなり無茶な速射を行っても難なくついてくる動きの良さは、すべての1911ファンが驚き、満足することだろう。
BATON初のCO2ガスガン、BM45A1 CO2GBBを2019年2月に発売してから、およそ4年半。三度に渡る改良によってついに到達した最終形態、BATON airsoft BM-45 NL CO2GBB。
いわゆるシングルバガバの到達点とも言える完成度の高さを、是非ともお確かめいただきたい。
スペック
全長 | 225mm |
重量 | 約700g(マガジン除く) |
銃身長 | 112mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 27+1発 |
価格 | 23,800円(税別) |
発売日 | 2023年8月中旬 |
動力源 | CO2カートリッジ式ガス |
初速 | 最高:75.82m/s 平均:74.85m/s 最低:73.88m/s ジュール:0.56J ※BATON airsoft アクリビスバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温30度、[ ACETECH ] AC5000 弾速計にて測定 |
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