東京マルイ ガスガン 89式5.56mm小銃〈折曲銃床型〉
東京マルイからガスブローバックの89式5.56mm小銃〈折曲銃床型〉が2019年10月末に発売されました!
ガスブローバックならではの実銃と見紛うリアルな構造と操作感でミリタリーファンのみならず、現役の自衛官にも人気のアイテムです。これから春にかけてガスガンの作動が高まる時期です! 早速レビューしてみましょう。
89式小銃は平成元年(1989年)から30年も自衛隊の制式小銃として日本の防衛を担ってきました。平成30年で調達が終了し、2019年12月には、89式小銃の後継となる新小銃が発表されたのはご存知かと思います。しかし、まだまだ89式小銃は第一線で活躍することは間違いありません。
89式小銃〈折曲銃床型〉は89式小銃、唯一のバリエーションになります。空挺用や89式装甲戦闘車の銃眼からの射撃用、搭乗する普通科隊員用、戦車の車載用に調達されています。
それでは東京マルイのガスガン、89式小銃〈折曲銃床型〉を見てみましょう。
89式小銃にアルミ製の頑丈な折り畳みストックが装着された他は〈固定銃床型〉とほぼ共通となっています。もちろんストックは折り畳み可能で、20連のショートマガジンが標準装備されているところが〈折曲銃床型〉の特徴です。主要パーツは〈固定銃床型〉と同様、メタル製で剛性、質感も高く、美しく仕上がっています。
パッケージは〈固定銃床型〉と同じく布引きの豪華な仕様です。〈固定銃床型〉のパッケージはODでしたが、〈折曲銃床型〉は黒になっていまず。他は仕様、サイズを含め共通のようです。パッケージサイズは横1,000 x 縦310 x 厚110mmです。
アッパー、ロアレシーバーとも亜鉛ダイキャスト製で剛性も高いだけでなく、重量感、色合いも含めリアルに仕上がってします。ガスブローバックですので、操作も実銃と同じなのもファンには堪りません。
〈折曲銃床型〉は〈固定銃床型〉のバリエーションですが、実はロアフレームの後部の形状が異なります。そのため、マルイではロアフレームを新規で製作しています。そもそも〈固定銃床型〉と〈折曲銃床型〉でフレームが異なる時点でバリエーションでコストを抑えるというメリットが減ってしまいます。当初は〈折曲銃床型〉を考えていなかったのか、こういうところがいかにも日本の防衛産業といったところでしょう。
セレクターは「ア・レ・3・タ」仕様で、機械的な3点射も機能します。ハンマーが起きている時のみ安全に入る仕様も実銃同様です。操作は89式の電動ガンより滑らかで歯切れよく、最初からアンビ仕様になっています。ただレバーの向きと選択しているモードが異なるため、慣れないと操作しにくいと思います。
ボルトはフルストロークで後退します。エジェクションポート内にみえるロッキングラグがリアルですよね。
機関部にゴミが入らないよう、ダストカバーも実銃同様可動します。
アッパーの刻印は現行仕様の「89R」となっています。ボルトリリースレバーもライブです。ボルトのリリースはM4と違い押すのではなく、押し下げます。もともとこのボタンはボルトをホールドするためのものであって、リリース用の設計ではないため、このような形状になっているそうです。
トリガーガードと一体型の樹脂製グリップも忠実に再現しています。グリップ内は収納スペースになっています。グリップの後ろの穴からドライバーやレンチで押してオープンします。
固定銃床型との違いはこの折曲銃床です。樹脂パーツは寒冷地での頰付けを考慮しています。またアンビセレクターと干渉しないよう半円形の窪みがある現行仕様です。スリングスイベルはバット部とストック根元の二か所にあります。ストック基部下のボタンを押してロック解除したらストックを折り畳めます。
折り畳んだ状態でロックはありませんが、テンションかかっており、ブラブラすることはありません。
ストックを折り畳めばコンパクトになり、より取り回しやすくなります。装甲車やヘリ、輸送機に搭乗する際は便利です。また狭い船内で臨検などを行う海自の特別警備隊(Special Boarding Unit=SBU)も〈折曲銃床型〉を採用しています。
フラッシュハイダー、アウターバレルはアルミ製です。ハイダーは付属のバレルナットレンチを使用してバレルナットを緩めてからハイダーを取り外します。アウターはM14の逆ネジです。
レシーバートップにある薬莢受けを固定する突起はレシーバーと一体でグラつくことはありません。ここにマルイ純正オプションパーツの専用マウントベースが装着でき、ダットサイトやスコープを搭載できます。ただスコープの場合はリアサイトと干渉することがあるので、マウントリングは高めのものを選んだ方がよいでしょう。
フロントサイトはガスレギュレーターと一体の両サイドガード付きで、フロントサイトピンは付属のツールで上下の調整が可能です。
89式小銃独特のリアサイトが再現されています。左右のダイヤルで上下左右調整できます。高さは1〜5段階で調節できます。それ以上回すとサイトがコトンと落ち収納されます。また調整ダイヤルを逆回しにしてもサイトを収納できます。
スチールプレスと樹脂を組み合わせたハンドガードは〈固定銃床型〉と共通です。
ハンドガードの前部にあるロックピンを抜くとハンドガードが外せます。ロックピンは引く抜けないようになっています。ハンドガードを外したアウターバレルの付け根に可変ホップアップの調整ダイヤルがあります。
スチールプレスされたハンドガードに樹脂製のガードをリベット留めした実銃同様のリアル仕様になっています。
〈固定銃床型〉と同じく、着脱可能なバイポッドを標準装備しています。高さ調節はできませんが、右側にあるロックレバーで、バイポッドは取り外せます。
銃身に直接挟み込むバイポッドなので、どうしても銃身にキズが付いてしまいます。
もちろんバイポッドは折り畳み可能で、畳んだ状態では脚の突起がちょうどハンドガードの穴に収まります。
マガジンは20連のショートマガジンが標準装備です。残弾確認孔のモールドは左面にのみあります。ガスは底部から注入します。装弾数はリアルカウントの20発で重量は335gです。
もちろん固定銃床型の30連マガジンや同社のM4 MWS系ガスブロ用マガジンも使用可能です。
30連マガジンを装着してみました。
主要メカは実銃同様の手順で通常分解が可能です。もちろん工具などは必要ありません。分解手順は東京マルイ ガスガン 89式5.56mm小銃〈固定銃床型〉のレビューを参照してください。
ボルトキャリア形状もリアルに作られています。ボルトストップが掛かる時の衝撃を柔らげるZ-SYSTEMが搭載されます。ボルトキャリアの重量は245gでした。
ロアレシーバーはガスガン風にアレンジされていますが、とてもリアルにできています。3バーストユニットも着脱できます。
実射テスト
テストはいつもと同じく、距離30mでA3、40mでマンターゲットを狙い、使用弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2g弾と0.25g弾を使用しました。
テスト時の気温は18.2度で、かつ風の強い日のテストとなりました。0.2g弾ではさすがに風に影響を受けて弾道が左右にばらけましたが、0.25g弾では安定した低進弾道で40m先のマンターゲットを十分狙っていける性能があります。フルストロークのガスブローバックライフルで、この気温の中、素晴らしい性能だと言えます。
ただ、マガジン容量が小さいので気化効率が悪いためか、撃つごとにリコイルが弱くなり、初速も落ちてきてホップが弱まる傾向がみられました。特にフルオート時は顕著にその傾向がみられます。
しかしながら、マガジンの装弾数が20発ということもあり、途中で止まることはなく、ホールドオープンするまで撃ち切ることは可能でした。ゲームなどで安定して撃ちたい場合は30連タイプのマガジンを使用するのも良いかもしれませんね。
初速は後日、室内、気温約24度で計測しましたが、それでも初弾の77m/sから10発目で70m/sとやはり測定するごとに下がっていきました。
今までの東京マルイ製品のクオリティの高さを考慮すると時期がガスガン向きではないというだけで、外気温が高くなる夏の季節であればもっと動作が安定するでしょう。
総評
外観のリアルな完成度、剛性、質感、操作感とこの東京マルイ89式5.56mm小銃〈折曲銃床型〉はさすが東京マルイ製品といえる素晴らしい仕上がりです。ただ、〈固定銃床型〉と比較するとマガジンサイズが異なるなので、実射性能はやや不利と言えます。
構造や分解手順はガスブローバックだけあって、リアルに再現しているので、モデルガン的な楽しみ方もできます。意味もなくカチャカチャと分解したくなるのもこの89式の魅力と言えるでしょう(笑)。
価格は〈固定銃床型〉と同じく64,800円(税抜)なので、個人的にはストックが折り畳める〈折曲銃床型〉にお得感があります。空挺団などのスペシャリストが使う折曲銃床型は、それだけで気分が盛り上がりますよね。
スペック・弾速データ
全長 | 670/916mm(ストック展開時) |
重量 | 3,900g (空マガジン含む) |
銃身長 | 250mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 20+1発 |
定価 | 64,800円(税別) |
発売日 | 2019年10月30日 |
最高 | 77.93m/s |
平均 | 74.76m/s |
最低 | 70.34m/s |
ジュール | 0.559J |
撮影協力 東京マルイ、ビレッジ2
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