SYSTEMA 電動ガン PTW TW5K MOVEオリジナル コンプリート
インドア専用メインウエポンが欲しくなった。2017年7月にオープンしたインドアフィールド、AIRSOFT ZONE DELTAで遊んでいた時のこと。
チームメイトとデルタのインドアで戦っているとどーもヒットの取られ方がハンパない。
で、セフティに戻って仲間のメインウエポンをチラチラと横目で伺うと、MP5クルツを使っている。しかも一人ではなく、数人のメンバーがテーブルサイドに備え付けられたガンラックにフォールディングストックを伸ばして立てかけている。
「クルツ、短くて扱いやすそうだね。マルイの?」
「いえ、隊長。これ、トレポンですよ!」
( ぐっ! トレポン!? そういや、トレポンでMP5出てたなぁ...)
「やっぱり、それ、MOVEのコンプリート?」
「ですね。VFCのGBBのガワで組まれてます。撃ってみます?」
取り回しの良いコンパクトボディ、小気味よい電子トリガーレスポンス。
その先は言わずもがなだ。翌日直ぐに錦糸町のMOVEに電話して島岡店長に思いのたけを言ってのける。
「んー、どんなのかイメージ知りたいんだけど...」という店長に。
「あ、じゃ、これ、メールしますんで、これと同じので!!」
「了解。出来たら連絡するよ。」
ということでしばらく経ってついにトレポンのMP5クルツが完成した。
以前、東京マルイのクルツベースのカスタムガンがかなり扱いやすくて気に入ってしばらく使っていたものの、スタンダード電動ガン特有の剛性の低さとトリガーレスポンスなどもあって、ずいぶん前からから使わなくなってしまった。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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レシーバーはVFCのガスブロを流用しているのでスチールプレス製のリアルな作り。
システマ純正のTW5は固定ストックのMP5A4なのだが、その外装を換装している。
インドアでトレーサーを装着する想定で、マズルはM14逆ネジ仕様のものを組み込み。
通常のマズルはこのようなネジの無い仕様。これもカッコいい!! また、マズル部分が飛び出ないでフロントサイトとツライチになる仕様も希望次第で可能。
いずれのマズルでもMADBULLのGEMTECH RAPTOR-II サプレッサーをマズルラグに装着できる。装着方法はページ下部の動画を参照のこと。
コッキングノブは引くことができ、実銃のようにカシャーンとリリースしても破損することはない。ただしハンドルを引いてもボルトは連動しない。
フロントサイトベースは亜鉛ダイキャスト製だが、サイトプレートはスチール製。
ハンドガード右側面にはアルミ製サイドマウントレールを装着してもらった。
このサイドレールにはインドアなどのローライトコンディションで便利なウエポンライトを装着。写真はSUREFIREのM300B(200ルーメン)をGear Sectorのオフセットマウントで搭載している。またリモートスイッチはバーティカルグリップにシリコンテープで固定。自己融着なのでビニールテープのようにベタつくこともない。
レシーバートップにはVFC製のロープロファイルマウントベースを装着。重量は59gと軽量なアルミ製。なお、マルイのクルツとはレシーバー形状が異なるので、マルイ用のマウントレールは装着できない。
レシーバーのマウント部。HK MP5Kの刻印あり。
最近お気に入りのHOLOSUNのドットサイトHS403A。小型軽量でレンズのクリアさはAimpointを凌ぐほど。このサイトの詳細はこちらのページでレビューしている。
リアサイトはMP5シリーズでお馴染みのドラムタイプ。サイトラインが低いのでストックがあると狙いにくい。リアサイトベースは亜鉛ダイキャスト、ドラムはスチール製。
セレクターレバーは左右から操作できるアンビ式。3点バースト射撃も可能。
トリガーストリークは短く、マイクロスイッチ式なのでセミオートでも素早い連射が可能。
ちなみにセーフポジションからさらにセレクター回すと分解ポジションとなる。この状態だとレバーが取り外せる状態なので普段は回し過ぎに注意しよう。
グリップフレームは硬質感のある樹脂製。グリップ内部に薄型モーターを内蔵する。
マルイのMP5Kとのグリップの厚み比較。マルイの32.5mmに対してトレポンは27.4mm。このグリップの薄さが持った時に圧倒的なリアリティとハンドリングの良さを生み出す。
PTW共通のチャンバー底部の六角ネジで可変ホップアップを調整する。ハンドガードを取り外して調整するマルイのPDWよりは狂いもなく、面倒ではないが、マガジンを都度着脱する必要がある。
より安定した射撃をしたいので、ストックレスのMP5KにM4ストックチューブを装着。レシーバーエンドを加工してミルスペックチューブを装着している。
ストックはコンパクトなMAGPUL MOE SL-Kをチョイス。このストックのレビューはこちら。
通常のMOVEコンプリートのMP5Kはレシーバー上部にバッテリーをセットするが、今回はストックチューブ内にリポバッテリーをセットできるよう加工してもらった。バッテリーはPTWのM4カービンと同じ11.1v 800mAhのリポバッテリーを使用する。バッテリーコネクタはミニT字。
レシーバーエンドの構造。この部分でT字コネクターで接続・延長されている。コネクタが不意に外れないようにタイラップ留めしている。
2本のピンを抜いて、樹脂製のエンドキャップを取り外すと独自の構造で、分銅のようなパーツでシリンダーを後ろから押し込んで固定している。
シリンダーアッシーと、チャンバー&バレルを抜き出す。アッパーレシーバーはスチールプレス製の一体構造だと判る。
インナーバレルは通常115mmが装着されるが、今回はより安定した命中精度を求めて、153mmのインナーバレルを組み込んでもらった。
153mmのバレルにはマズル部に段付き加工が施されている。
インドア専用ウエポンなので、最終的に初速を83m/s前後に調整してもらった。
ギアボックスの収まるグリップフレーム部はTW5純正を使用する。トレポンのTW5のギアボックスはM4シリーズとは異なり遊星ギアを使用しない。一般的なへベル、スパー、セクターの3ギア構成だ。もちろん電子制御トリガーなのでトリガーレスポンスの良さはM4シリーズ同様。
スチールプレス製のマガジン。装弾数は40発と少ないが、インドアならばこれで十分。筆者の場合は予備マグ3本で運用している。マガジン背面にフォロアーに連動して飛び出る突起があり、これが残弾0で本体側のスイッチを押してユニットが自動停止する仕組み。
MOVEではバリバリ撃ちたい人向けに、マルイの400連ドラムマガジンをカスタムした「T'sワークス製 TW5用400連マガジン」も販売している。価格は35,000円。装弾数が一気に10倍となり、これを滑らかな3点バーストで撃つと実に気持ちが良い。
本体、マガジン、マウント類、11.1v 900mAhリポバッテリーがセットされての重量は2,885g。これにホロサンのドットサイトとM300スカウトライトを装着すると3,155gとなる。ボディがコンパクトなので、かなりズシリと重量感を感じる。
クルツは狭いところでも扱いやすい。ドアをクリアする際にも銃をおろすことなく、水平に構えたまま通過できる。
サイトラインが低いのでストック装備の場合は光学機器のほうが狙いやすい。しかし短い分、近距離では間違えてバリケを撃ったりしないように注意。
実射テスト
実際にビレッジ2のシューティングレンジでの実射テストを行った。
距離は40m、弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gと0.25gでテスト。
初速はインドアの0.8Jレギュレーションに適合するよう82~83m/sで調整してもらっている。
トレポンならではのトリガーの切れの良さで引き金を引いてから弾が発射されるまで時間が短い。そして電子制御によりセクターギアが定位置で停止するので、いつでも同じタイミングで弾が発射されるのが非常に心地よいだけでなく、偏差射撃する際もタイミングを掴みやすい。
とくにインドア戦やCQBにおいて、バリケの隙間に突如現れた敵に瞬時にBB弾を送り込むには、ハンドリングの良さとロックタイムの短さがとても重要な要素となる。
フルオートの回転数は1404rpmで秒間23.4発という準ハイサイクル。3点バースト射撃では3発が塊となって飛んでいく印象だ。
インドアを想定して0.2g弾での集弾性は概ねマンターゲット上半身にヒット。M4系PTWほどではないにせよ、ハンドガン並にインナーバレルが短いクルツとしては十分な性能だ。0.25g弾ではさらに一回りグルーピングが小さくなる。
もっとも、インドアゲームではこれほど遠距離を撃つことはあまりないのだが。
MADBULLのGEMTECH RAPTOR-II サプレッサーを装着すると音が低くなって超絶カッコいいのだが、命中精度が大きく低下した。内部の緩衝材か、排気干渉などが影響しているかもしれないので、この辺はまた別の機会に検証してみたい。
スチールプレス製レシーバーとプラ製のグリップフレーム部、レシーバーエンドキャップから延長されたストック部で、わずかに嵌合が甘く感じる部分がある。この点においてはM4系PTWと比べると剛性は低いと言わざるを得ないが、総プラ製のマルイPDWと比べると、ギシギシすることもなく、剛性は格段に高い。
スピードとセミオートを多用するインドアゲームやCQBでは電子トリガーはもはや必須機能と言ってよいだろう。
射撃音も引き締まった音で、撃っていてとても楽しい電動ガンだ。
とくに3点バーストは特筆すべき撃ち心地。そしてバースト中でも指切りすればしっかりと途中でユニットが停止する。メカニカル3点バーストと同じように機能するのは嬉しい。
弾が無くなれば自動停止するメカユニットは無駄な空撃ちをせずに、マガジンチェンジを促してくれる。
リアルな溶接痕、頑丈なスチールプレスレシーバーで素早いマグチェンジも何ら不安はない。
TW5Kはハイスピードなゲーム展開のインドアゲームでは心強い相棒となるはずだ。
ただ、価格ははっきり言ってお高い。せめてもう少し安くなると嬉しいが、外装着せ替え済みの超ハイエンドなカスタムガンと考えると致し方ないところか。
MOVEでは希望に応じて、クルツのみならず、A5、SDなどのバリエーションやカスタムに応じてくれる。
撮影協力 MOVE、ビレッジ2
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