NBORDE HK416D アーリーモデル トレポン用 カスタムレシーバー
2016年12月にNBORDEより発売となったトレポン用カスタムレシーバー、HK416D アーリーモデルをレビューしよう。
NBORDEといえば、2015年12月にトレポン用の高精度なM4A1カービン カスタムレシーバーを発売して話題となった。今回そのカスタムレシーバーの第2弾となる、HK416コンバージョンキットが発売となった。
キット内容はアッパー、ロアレシーバーに加え、HK416独自のレールハンドガード、アルミ製アウターバレル、ガスブロック、ピストンロッド、バレルナット、エジェクションポートカバーなどが付属する。
レシーバーは無刻印となっていて、ショップにて好みのレーザー刻印を入れてもらう。
今回は東京都墨田区、錦糸町にあるMOVEにて組んでもらったHK416をレビューする。
NBORDEは設計から製造に至るまで一貫して国産にこだわっており、同時5軸制御マシニングセンタによる超高精度な仕上がりとなっている。そして膜厚管理された硬質アルマイト仕上げにより、非常にリアルでタフな表面仕上げとなっている。
今回MOVEで入れてもらった刻印は最初期のAF刻印。左からメーカーのHKマーク、無煙火薬(ニトロ)プルーフマーク、製造年記号、ウルム射撃試験場プルーフマークとなっている。
製造年記号のAは0を意味し、A~Kまでが0~9を指す(Jを除く)。つまりAFは05となり、2005年製造であることを意味する。BFならば15、つまり2015年製造となる。
DEVGRUやDELTAなどの米特殊部隊に納入されたHK416の多くは2005~2007年頃のモデルなのだそう。
もちろんレーザー刻印は後入れなのでユーザーの希望に応じて様々な時期のものに対応してくれる。
膜厚まで徹底管理されたMil規格Hard Anodizingを採用。米特殊部隊に多く採用されている、初期型レシーバーを再現しているのでチャージングハンドルのロック凹みは右側にはないのが特徴。
ただ、注文時の希望に応じて後期型のレシーバーにも対応してくれるということだ。
なお、セレクターキャップと、エジェクションポートのダミーボルトはMOVEオリジナルのカスタムメニュー。電動ガン用のダミーボルトキャリアを切り出して作られている。
マガジンハウジング右面には製造国の刻印が入る。ドイツ工業規格書体そっくりのマーキングとなっている。ドイツのH&K社で製造され、米国法人のH&K Defenseが輸入販売を行う。HK416DのDはDefenseの頭文字を取ったもの。
もちろんマガジンハウジング前面にも警告文の刻印が入る。また、ピボットピン周りの直線と曲線が組み合わさった微妙な形状も正確に再現されている。なお、マガジンハウジングの形状から、PMAGはマグキャッチが掛からず、使用できないので注意が必要。※PTSのトレポン用マグで確認。
ロアレシーバーのグリップ部分はきれいなラウンド形状となっている。なおグリップにはMOVEオリジナルパーツのタンゴダウンタイプグリップが装着されている。実物採寸されたグリップなので寸法は実物と全く同一なのだそう。マルイの電動ガンとは異なり、細身で握り心地は抜群。
いくつか手持ちのパーツを搭載してみた。ストックはMAGPULのCTR、オプティクスはAimpoint ML2をWilcoxのコンプ用マウントで搭載、ナイツタイプのフリップアップ フロント&リアサイト、タンゴダウンのショートフォアグリップ。構えてみると判るが重量バランスが良く、マルイの電動ガンより重さを感じない。
レシーバートップにはレールガイドナンバーがレーザー刻印で入る。
アッパーとロアの接合面も高強度、高精度な作り。剛性は非常に高く、持った瞬間に従来のトイガンとは異なる次元の一本芯の通ったような高い剛性を感じることができる。
マグウェル形状。ちなみにこのキットにはトリガーガードやチャージングハンドルが同梱されていない。本レビューの個体にはPTWのベースパーツが装着されている。この辺りのHK416専用パーツもぜひ販売してほしいところ。
付属するクアッドレールは台湾のVFCとの共同制作によるもの。
NBORDE独自の設計データによってVFCでマシニング加工したパーツを国内で溶接、手作業によるエッジ処理を行ったうえで、アルマイト仕上げを行っている。
こちらも実銃同様にトップレールのみにナンバー刻印が入る。
ハンドガードを取り外すとショートストロークガスピストンのユニットが現れる。この付属のピストンロッドアッシーはVFC製だ。
キット付属のガスブロックは実物から型取りして実銃同様にロストワックス製法により製造される。実物と見分けがつかないほどの出来栄えなのだそう。
10.4インチ長のアルミ製アウターバレルも付属する。これはHK416を使用するデルタ隊員らの要望により2007年に配給されたAHバレルと呼ばれる軽量化バレルを再現している。
アウターバレルのマズルアダプターはM14逆ネジと、1/2-28tpiに対応する2種が付属。
コンパクトなのでサプレッサーを装着しても取り回ししやすい。
参考までにバッテリーとアルミ製STANAGマガジン+マグプルを装着しての実測重量は3,070g。
マルイのHK416より少しだけ軽い。
こちらはMOVEに展示してあったカスタム例。EOTECHのホロサイトにAN/PEQ-15、AACのサプレッサーにウインドウブレーカーなど、いかにもDEVGRUあたりが使用していそうな雰囲気。
こちらは米海兵隊が使用するM27 IARのカスタム例。16.5インチバレルにMOVEオリジナルのHKバトルグリップ。
HK416のアッパーをコルトのロアに、コルトのアッパーを416のロアに、こんな風に簡単にアッパーとロアレシーバーを組み替えられるのもトレポンの魅力。もちろん何の問題もなく作動する。初期のアッパーのみ換装されたARはしばしばミリフォトなどでも見かける。
米国にて民間用MR556A1を実銃採寸
NBORDEのHK416レシーバーは米国での実銃採寸により設計されている。
採寸ベースとなったのは民間用のMR556 A1。BFなので2015年モデルだ。
パーツ単位に分解。
レシーバーを採寸。
レシーバーの型取り。
型取りしたものを国内でスキャニングして複雑な曲線や微妙なRも忠実にトレース。
もちろんデータ化の際には時代考証補正、民間と軍用レシーバーで異なる部分を補正している。
実銃のHK416D
米国のラスベガスで毎年1月に開催されているショットショーのH&Kブースにて展示されていた実銃のHK416Dを紹介しよう。
10.4インチモデル
B&Tのサプレッサー、マグプルのグリップ、ストック、EOTECHのホロサイトとマグニファイアなど、ヨダレ物の仕様。
レシーバー刻印はAF。シリアルは88-002414。
プルーフマークのスタグホーンのデザインはMOVEの刻印よりも太目な印象。横幅も少し長いかも。
ニトロプルーフマークは鷲の意匠なのだけど、潰れて良く見えないのは実銃も同様。
マガジンハウジング周り。ピボットピン、テイクダウンピン、マグキャッチ、セレクターなどはM4A1カービン同様のパーツが使用されている。いかにも初期型といった構成だ。
初期型なのでチャージングハンドルのロック凹みはこちら側にはない。セレクターも片側のみ。エジェクションポートカバーは珍しく樹脂製パーツが装着されている。この時期のものはM4の金属製カバーが付いていることが多い。
こちらは14.5インチバレルの別個体。刻印はこれもAF。シリアルは88-001704。
やはりチャーハンの凹みは無し。セレクターも片側のみ。ポートカバーは金属製。
実銃のHK416DとNBORDEのレシーバーを比較してみて、気になった点を述べておこう。
まず、最も気になるのはロアレシーバーのピン。トリガーピン、ハンマーピン、フルオートシアピンの質感がNBORDEの真っ黒に対して、実銃はパーカライズドグレー。またフルオートシアピンのエッジの面取り処理はもっと大きく取られ、他に比べて尖がっているようにも見える。この点はコルトレシーバーの時にも開発者に伝えているが、なかなか再現されない部分。
また、矢印のハンドガードの両端は大きく面取りされ、ガスブロックのR部分も大き目の面取り加工が見られる。角の面取り加工は実銃は丹念に処理されていることが多い。
最強の出来栄えのHK416D
こうやって実銃とディティールを見比べてみてもNBORDEのHK416レシーバーは非の打ち所がないほどに忠実に再現されている。これまでHK416は大柄で重くてあまり好きではなかったのだが、このNBORDEの416レシーバーを組み込んだトレポンを手にすると、製作者の意思というか、情熱がグイグイと伝わってくる。こういう気持ちになる製品というのはエアガンの世界みならず、他ジャンルの製品でも稀で、本当に良いものだけが持つオーラというのは本当にあるんだなとつくづく実感した。
本キットの価格は248,000円(税別)、これにPTWのバリューキットを含めると40万コースとなり、トイガンとしてはかなり高価ではあるが、それに見合った品質であることは確かだ。
NBORDE 公式サイト
MOVE トレポンのページ
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