ARES 電動ガン KEL-TEC RDB
レポート:戸井源太郎
香港のARESからアメリカの銃器メーカーKEL-TEC(ケルテック)のブルパップライフル、RDBの電動ガンが登場です。今回、発売前にサンプル品をお借りすることができたので、早速レビューしていきたいと思います。
アメリカの銃器メーカー、KEL-TECは個性的なスタイルのモデルが多く人気があります。日本ではバレルの下に2本のチューブラーマガジンを備える多段数ポンプアクション・ショットガン「KSG」を作っているところ、といえば、ご存じの方も多いでしょう。
このRDBは「Rifle Downward-ejection Bullpup」の略です。ブルパップ式とはボルトなど機関部をストック内に収め、トリガーをマガジンより前の位置に配置することで、長いバレルを維持したまま、全長を短くできる利点があります。
またエジェクションポートの位置を下向きにすることで、左右どちらの手でも扱えるアンビ仕様になり、空薬莢を真下に排出できるというメリットもあります。
KEL-TEC RDBは軍に採用実績はありませんが、アメリカの民間シューターの間では、ロングバレルでコンパクトということから人気があります。
ARESではKEL-TEC社のライセンスを取得しているEMGとのコラボを実現し、レシーバーはメタル製、ハンドガード、グリップ、ストックは樹脂製と、RDBのブルパップのスタイルを忠実に再現しています。
ストックにあたる部分に電動ガンのメカが搭載されています。グリップと一体型のロアフレームは樹脂製で左側にはライセンス取得により「KEL-TEC」の刻印も入っています。
セレクターはアンビ仕様です。そして一番の特徴はトリガーに電子スイッチ"EFCS (Electric Fire Control System)"が搭載されていることです。
ブルパップ式は実銃も既存の電動ガンもトリガーからマガジン後方の機関部まで金属のバーを介して操作しているのですが、電動ガンではこれが抵抗になりトリガーが結構重かったのです。10発もセミで速射すると指がつってきますが、RDBではトリガーが軽くバリバリ速射可能です。
モーターはストック部分のメカボックスに搭載されているため、グリップの中は何もありません。モーターがない分、スリムで握りやすいです。
マガジンキャッチはマガジンの前方にレバーがあります。左右どちらからでも操作ができます。
実銃ではマガジン後方の下面から排莢しますが、ストック兼レシーバーの中にはメカボックスが収納されているため、モールドのみのダミーです。
マガジン挿入口からチェンバーを見ると、ホップアップダイヤルが奥まったところにあります。指での操作は狭くてできません。レンチやドライバーなど細い棒で操作します。これはもう少し便利な方法にしてほしかったですね。
フラッシュハイダーはM4と同様に下面に穴がないバードケージです。ただハイダーを固定する六角レンチやOリングがないため、緩みやすいです。14mm正ネジ仕様になっていました。
トップには金属製のマウントレイルを装備しています。コッキングハンドルはダミーですが、可動し、ロックすることができます。
ハンドガードは樹脂製で下面にレイルを装備しています。
バッテリーはフォアグリップ内に収納します。矢印のピンを抜いて、ハンドガードを前へ引き抜きます。
バッテリーとの接続はTコネクターとなっているため、別途、変換コネクターかTコネクター用のバッテリーを用意する必要があります。バッテリーは2200mAhの大容量リポバッテリーも収納可能です。
ストック後端、バットプレートはラバー製のカバーが装着されています。ブルパップの銃はメカが後部に集中しているため、リアヘビーですが、バットプレートのおかげで、肩からズレにくく、しっかり構えられます。ここにも「KEL-TEC」のロゴが入っています。
マガジンはPマグタイプが付属します。サイドに弾丸のアイコンに6mm口径と装弾数130発の表記があります。マガジンはプラ製で重量は128gと非常に軽量です。またM4用のスタンダード電動ガン用マガジンと共用も可能です。
実射
今回はお借りしたサンプル品ということもあり、ホップアップが掛からず適正な弾道を得られませんでした。そのため、今回はインプレッションのみお伝えします。
射撃してみて、弾道自体は悪くありません。ターゲットに届かずとも同じ弾道を描きます。左右へのバラつきもほとんどありませんでした。初速も非常に安定しており、ホップアップさえ機能すれば、飛距離、精度ともかなり期待できそうです。
何より電子スイッチにより、トリガーが軽いのがよいです。セミの速射も余裕で可能でした。電子スイッチはブルパップ式にこそ、真価を発揮するアイテムでしょう。
総評
RDBのメーカーであるKEL-TEC社の正式ライセンスを取得したリアルな電動ガン、そのスタイルはSF映画に出てきそうな先進的なブルパップ式ライフルで、多くの人の目を惹きます。目を惹くだけでなく、ピカティニーレイル標準装備、アンビ仕様と現代のタクティカルシューティングにも対応する実用的なレイアウトです。
電動ガンの製作は定評のある香港メーカーのARES製で外観の仕上がりもよく、剛性もあります。今回は精密な実射テストは行えませんでしたが、実射性能についても十分なクオリティを有していそうです。
またブルパップ式のライフルは多くはリアヘビーで構えていても肩からズリ落ちがちでしたが、このARESのRDBは重量バランスもよく、しっかり構えられます。
ライセンス取得モデルで電子スイッチ搭載していることを考えれば、価格も妥当なところだと思います。
スペック
全長 | 695mm |
重量 | 3,040g |
装弾数 | 130発 |
価格 | 48,000(税別) |
発売日 | 2021年4月頃を予定 |
動力源 | 電動ガン、リポバッテリー2200mAh 7.4Vを使用 |
初速 | 最高:88.89m/s 平均:88.45m/s 最低:88.08m/s ジュール:0.782J 連射サイクル:921rpm (15.35発/秒) |
協力:キンワ、ビレッジ2
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