ヨネザワ S&W M61 エスコート
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
S&W M61 エスコートは、.22ロングライフル弾を使用する5連発の護身用小型オートマチックピストルだ。この銃を一躍有名にしたのは、なんといっても1976年のアメリカ映画「タクシードライバー」だろう。ロバートデニーロ演じる主人公、トラビスの腕に装着したレールの上を滑りながら袖から飛び出す拳銃が、銀色に輝くS&W M61 エスコートだったのだ。
実銃のエスコートは少々変わったデザインで、通常のオートマチックピストルとはバレルとリコイルスプリングの位置関係が上下逆さまになっている。そのため前から見ると、銃口がかなり下にあるような印象を受けるはずだ。
しかし、ヨネザワのエスコートではそこまで再現されておらず、普通の銃と同じデザインになってしまっている。少々残念だが、この珍銃をトイガンとしてモデルアップしたということ自体に価値があるわけで、そこまでリアルさにこだわるのはヤボというものかもしれない。
エアガンとしての形式はスライド固定のガスガンだが、実射性能についてもパワーや命中精度などを期待するユーザーはいないだろう。昨今、こうした「存在するだけで楽しいエアガン」が少なくなってしまったような気もするが、そんな状況を寂しいと感じるのは筆者だけだろうか。
ポケットオートとしてはかなりズングリしていて独特なフォルムのS&W M61エスコート。量産型のトイガンとしては、ヨネザワの製品が唯一のモデルアップとなっている。
本シリーズは低価格なのも魅力で、写真のブラックモデルで1,980円、シルバーモデルのS&W M61 エスコートカスタム(\2,500)、またATM380 バックアップカスタム(\2,500)も同時期に発売された。
インナーバレルはプラ製で、アウターバレルから若干飛び出している。バレル後退式のガスガンなので、トリガーを引くと奥に引っ込む。
エジェクションポートが右側面にあるため、シンプルなトップビュー。フロント、リアサイト共に一体成形だが、特にフロントは別パーツに見えるほどの良い出できばえ。
フレームは左右分割のモナカ構造。価格から言ってもここは仕方のないところだ。
小さな面にもかかわらずしっかりと刻印が入っている。S&Wのロゴマークなど、今なら権利問題でここまで再現出来ないだろう。グリップ左のセフティレバーも機能する。
マガジンはワリバシタイプ。フォロアーを下まで引くとロックされ、本体に挿入すると同時に解除される仕組み。
グリップ後部に内蔵されたプラ製のガスタンク。M61エスコート特有のふくらんだグリップ形状により、ポケットピストルとしてはかなり大きくデザイン出来たと推測できる。
DATA
発売年 | 1988年秋 |
発売時価格 | ¥1,980 (スタンダード [ブラック] ) ¥2,500 (エスコート カスタム [シルバー] ) |
全長 | 実測 127mm |
重量 | 実測 123g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | スライド固定式リキッドチャージガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 33.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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