ヨネザワ ブローニング H.P.D.A.
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
本エアガンのブランド(発売元)はヨネザワだが、製造はKHC(啓平社)が行っており、後にKHC名義でも同じ製品が発売されている。
ブローニングハイパワーといえば、ガバメントに並び、日本のガンファンが大好きなオートマチックピストルだ。エアガンとしては、これまで旧JACとタナカワークスがモデルアップしており、タナカの製品は現行の人気モデルだ。
しかし、同じハイパワーでも、このH.P.D.A.(ハイパワーダブルアクションの略)は特殊なバリエーションだといえるだろう。実銃は、1984年の米軍サイドアームトライアルにエントリーされたモデルで、ベレッタM92Fに敗れ去ったコンペティターのひとつだった。
もともとがシングルアクションだったブローニングハイパワーを、いうなれば無理やりダブルアクションに仕立て直したワケだから、ベレッタにかなうはずがなかったのだ。
そんな不遇の銃をラインナップに加えたのは、それまで定番モデルばかりをモデルアップしてきたヨネザワにとって、少々イレギュラーな選択だったといえるだろう。
全体的な雰囲気はなかなかのもので、独特な形状のトリガーガードや、デコッキングレバー、ハンマー、ラップアラウンドグリップなど、このモデル特有のディティールをうまく再現している。
また、スライド、レシーバーともにHW樹脂製のためズッシリと重く、パッケージにもWEIGHT/550gと表記している(ただし実測値は524g)ことからも、重量感は重要なセールスポイントだったようだ。
発射機構はごく普通のプル式エアコッキングで、特別に命中精度が高いというワケではない。だが、こうした中級レベルの製品というのは、今となっては貴重な存在だ。
言い方は悪いが端正なブローニングハイパワーをグシャリと押しつぶしてしまったかのような、特徴的な外観がうまく再現されている。刻印はプリントだが、後のKHCブランド版では打刻に変更された。
金属製のアウターバレル。ライフリングの再現がおおげさだが、ビギナー向けの製品にはこれくらいの方が説得力がある。
リアサイトは実銃に比べてかなり低い。実射ではほぼ狙点通りに着弾するので、弾道がかなり上向きなのかもしれない。
ラップアラウンドグリップは1本のネジで固定されている。薄く手にフィットし、握り心地は上々だ。
大型のデコッキングレバー。エアコッキングなので単にセフティとしての役目のみ。特徴的な形状のハンマーがうまく再現されている。
チャンバーカバーはスチールプレス製で、もっともリアルな部分。スライドにMADE IN JAPANの刻印があるが、KHCの製品は台湾製の物も多く、それらと区別する意図が感じられる。
スライド、フレームともに一体成形で、パーティングラインまで丁寧に消してある。高級モデルにもひけをとらない仕上げだ。
マガジンは薄く短く、フルサイズとは呼べない。外観の再現性はイイ線いってるだけに、ここはかなり惜しい部分。ボトムプレートは金属製で取り出しやすく、ウエイトも兼ねる。
なかなか高級感のあるパッケージ。WEIGHT/550gと表記してあるが、残念ながら実際にはもう少し軽い。
若干見にくいが、必要なことはすべて書いてあるマニュアル。マニュアル.PDF (820KB)
ヨネザワは本製品を最後にトイガン販売から撤退、1994年には経営不振によりセガグループに買収され、1932年から続く老舗玩具卸メーカーとしての幕を閉じた。
DATA
発売年 | 1992年12月 |
発売時価格 | ¥5,800 |
全長 | 実測 196mm |
重量 | 実測 524g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 13発 |
平均初速 | 58.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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