ヨネザワ ブローニング ハイパワー
写真&解説 YAS
解説
米澤玩具といえば黎明期のエアガンブームを、安価なエントリー向け製品で支えた台東区の玩具メーカーだ。
今回紹介するライトスポーツピストル 1800シリーズは10歳以上対象の1800円という価格で人気を博した。弾は7mmつづみ弾を使用し、圧縮エアではなく、ストライカー式の発射方式となっている。
本シリーズはモデルが豊富で、当時人気のワルサーP38、S&W M59、コルト ウッズマン、スタームルガー、オートマグなどをラインアップ、のちにこのシリーズにはVP-70やKG-9、イングラム、さらには西部警察などのドラマコラボモデルも加わり、低価格エントリーモデルの一大勢力となっていく。
射撃性能はというと、初速が20m/sほどしかなく、内径8.6mmほどのプラ製バレルから放たれる7mmつづみ弾はどこへ飛んで行っても不思議ではないほどに散らばる。経年劣化を考慮してみても銀玉鉄砲のほうが連射力も飛びも上といった印象だ。
とはいえ、80年代初期、ヨネザワが築いた本シリーズはほぼフルスケールの迫力あるボディ、マガジンの弾込め、スライドを引いて撃つ、というアクションはその後の第一次エアガン、サバゲーブームに繋がる多くのエントリー層を獲得したという功績は非常に大きい。後に多くの玩具メーカーがエアガン事業に参入して発売することになる低価格コッキングガンにも多大な影響を与えた。
しかしながら、ヨネザワは1994年に経営不振によりセガグループに買収され、1932年から続く老舗玩具卸メーカーとしての幕を閉じた。
ヨネザワの1800円シリーズ。表面は艶やかな黒の樹脂製。さすがにその価格もあって、いたるところにネジが露出していたり、スライド後部が大きかったりと、フォルムはあまりリアルとは言えない。スライド左面にはBROWNINGとカナディアンモデルの製造メーカージョン・イングリス社のホワイトレターが入る。
マズルは1982年当時のエアガンとしてはうまく表現されているが、モナカ式フレームと一体になっている。
スライドを引くと、マズル側はフレーム側そのまま残り、その後部が後退する仕組み。初めて操作したとき、コンペンセイターが付いているのかと思った。
リアサイトはカナディアン・モデルの固定式。狙いにくいほどではない。ハンマーはスライドと一体になっている。
樹脂製のトリガープルは約1kg。シアが切れるまでギシギシと音を立てるがシアの切れは良い。トリガーの上には回転式のセフティーがある。つまみを90度捻って"S"に合わせればトリガーがロックされる。
マガジンはケースレスのスティックタイプ、いわゆる割り箸マガジンだ。本来のマグキャッチやスライドストップ、サムセフティなどはすべて固定されたダミーで、マガジンバンパーを引っ張って取り出す。
マガジン装弾数は6発。弾はオレンジ色のヨネザワ製 L27の7mmつづみ弾を使用する。弾頭の口径は実測で6.8mm、10発の重量を測定したところ、0.206~0.212gの範囲だった。
パッケージはシリーズ共通の黒と赤のデザイン。
取扱説明書は10歳以上対象とあって、わかりやすく丁寧だ。付属のライトスポーツピストル 1800シリーズのカタログはウッズマン、オートマグナムをはじめ、初期のモデル6機種がラインアップ。1984年にはサイレンサー付きとなってマイナーチェンジしている。
ちなみに記載されるスペックはエアガンのものではなく、実銃の諸元になっているのが現在の感覚からすると戸惑いを感じる。マニュアル.PDF (1.2MB)
DATA
発売年 | 1982年 |
発売時価格 | ¥1,800 |
全長 | 実測 218mm |
重量 | 実測 194g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ストライカー式コッキング |
使用弾 | 7mmつづみ弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 21.3m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン