WA S&W シグマ 40F
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
古いエアガンを懐かしみつつ、その時代背景やエピソードなどを語らせていただくビンテージエアガンレビューだが、今回紹介するウェスタンアームズのS&Wシグマも発売は1997年、リニューアル版の本モデルでももう20年近くもの月日が経過している。ポリマーフレームオートも少しずつビンテージの仲間入りをしているかと思うと、いやはや、なかなか感慨深いものがある。
実銃がグロックのデッドコピーで、訴訟問題に発展したいわく付きの銃であるということは、もはや周知の事実だろう。だからというワケではなだろうが、本銃も発売当初はS&Wの名前を冠せず、刻印もウェスタンアームズのオリジナルだった。この個体は、2002年に正式ライセンスを結びS&Wの刻印やロゴが入った後期型だ。
たしかに実銃ではあまりパッとしなかった感のあるシグマだが、実はエアガンとしてはなかなかの秀作であり、知る人ぞ知る名銃なのである。
本銃のハンマーは前後に直線作動をする細長い立方体で、実銃でいうストライカーに近い動きをする。これにより、実銃のトリガーフィーリングがうまく再現されているといわれており、ボクはシグマの実銃を撃ったことはないのだが、なるほど、円運動ではない独特の引き味なのは間違いない。
リコイルスプリングもガスブローバックとしては若干強めの感があり、スライドの動きはシャキッとしていて、トイガン特有の「フニャッ」とした感じがないのもいい。
また、古い個体にしてはマガジンのガス漏れもなく、12月の気温でもキビキビとブローバックするのには正直、驚いたほどだ。
エアガンというのは、実銃の人気がないモデルはなかなかヒットにつながらないものだが、本銃のように撃って楽しい隠れた名品を発掘できるのも、ビンテージエアガンレビューの面白いところなのである。
ボクようなオールドガン好きの感覚からすると、なんというか、ノッペリとしていてどこを見ればいいのか困惑(あくまでも個人的見解)してしまうようなデザイン。良くいえばシンプル、ということになるのだろうが、拳銃を道具としてとらえるならば無駄のない物がいちばんなのだ。
フロントビューはグロックにそっくり!? 上部のエッジが若干斜めに落ちているあたりがかろうじて独特といえなくもないが…。
大きく見やすいリアサイト。エッジもしっかりと立っていて、エアガンとしての実射性能にもかなり役立つ。
初期型ではスライドがHW素材だったが、このリニューアル版では高耐久樹脂製となっている。スライド各面やチャンバーの平滑性に製造技術の高さを感じる。40S&Wの刻印もリアルだ。旧型同様に可変ホップアップバレルを搭載するほか、新規にボアアップシリンダーを採用しリコイル性能が向上した。スライドにはCAUTION Incapable of firing with magazine removedとあり、"マガジンが入ってないと弾が発射できません"と実銃とは反対の意味の刻印がある。
唯一、グロックとの違いをアピールしているトリガー。ここは好みの分かれるところだろう。
フレーム下部のバーコードにはWAの文字が。現代ポリマーオートピストルらしさを感じさせる部分だ。
アウターバレルには上品なクロームメッキがほどこされ、ティルトダウン時に斜め上を向く角度がリアル。
各部エッジの処理といい、メッキといい、全体的に仕上げの良いマガジン。生ガスを吹きにくいN.L.S.(ノンリキッドシステム)内蔵で、ガス漏れ対策が施された新型バルブのRタイプマガジンを採用している。
本体にもパッケージにも堂々とS&Wのロゴマークが入っている。正式ライセンスの証しだ。
このブラックモデルとスライドがシルバーの2トーンモデルも同価格で発売された。
DATA
発売年 | 1997年8月15日 2002年3月16日 (S&W社公認版) |
発売時価格 | ¥17,000 ¥17,500 (S&W社公認版) |
全長 | 実測 198mm |
重量 | 実測 676g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 25+1発 |
平均初速 | 76.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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