WA デザートイーグル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
思うにWAのエアガンというモノは、なぜか他社と競作になってしまう。以前紹介したイングラムM11もそうだったし、せっかく素晴らしい製品を開発しても、後から他のメーカーに追従されて、結局は後出しジャンケンのような形で駆逐されてしまうのだ。考えてみればどうにも同情を禁じ得ない、というのはボクだけではないだろう。
なにせ日本初(ということは世界初?)のデザートイーグルのガスブローバックガンである。それまでマグナブローバックで培ってきたノウハウがあるとはいえ、ここまで巨大なスライドを動かすというのは技術的にも決して簡単ではなかったはずだ。
ましてやそれがフルストロークだったのだからなおさらだ。この時点ではある意味ガスブローバックの完成形といっても過言ではなかったはずで、よもや、他メーカーがすぐ後ろに迫って来るなどとは思いもよらなかったに違いない。
しかし、その興奮も冷めやらぬうち、後を追うように東京マルイからデザートイーグルが発売されたのである。まさに青天のヘキレキ、WAはもちろん、エアガン業界全体に激震が走ったといっても過言ではない。
※WAは6月15日発売、マルイは7月7日発売。
しかも44マグナムのWAに対し、マルイの方は.50AEという最大口径の機種をモデルアップ、さらにハードキックと称する強い反動がウリだった。ガンファンにとって、これは大きなセールスポイントだ。
ところが、マルイのスライドはフルストロークではなかった。WAにくらべ、なんと約20mmも後退量が足りなかったのである。
だが結局、エアガン市場ではマルイの方が大ヒットとなり、現在も改良型が販売されている。いっぽう、WAのデザートイーグルはその後しばらくしてカタログ落ちし、ひっそりと消えてしまった。
今回、あらためてWAのデザートイーグルをよく見てみたが、なかなかどうして、これは実によくできたエアガンだと思う。バレル上のリブなど、.50AEに比べるとスッキリとした形状で、フロントビューの三角形シルエットもこれぞデザートイーグルというバランスの良さだ。
肝心の実射性能も決して悪くはなく、マガジンにガス漏れさえなければ、フルストロークスライドの反動だって迫力じゅうぶんではないか。
実は当時、ボクはWAのデザートイーグルを持っていて、結局、マルイの方にはどうも食指が動かなかった。今回のレビューにはそのひいき目が少々入ってしまったような気もするが…。まあ、そこはオールドガンファンの独りごとだと思ってご勘弁いただきたい。
WAがマグナブローバックシリーズの第三弾としてモデルアップしたのが世界最大級のマグナムハンドガン、デザートイーグル。
今回紹介する個体はシルバーモデルで、メッキかと思いきやなんと塗装仕上げ。マルイも後にバリエーションとしてシルバーモデルが追加されたが、そちらは当然ながらクロームメッキ仕上げだった。
アウターバレルにはポリゴナルライフリングが再現されている。トイガンでこれを表現するのは難しいはずだが、なかなか説得力のある形状だ。またこのステンレスシルバーモデルから可変ホップアップ機能を搭載しており、付属のレンチをマズルから差し込み回転させることでホップの掛かりを調整する。
アリミゾでしっかりと固定された金属製のリアサイト。ハンマーのそっけない形状もうまく再現されている。
WAデザートイーグル最大のウリはこのフルストローク。実銃の場合、エジェクションポート後端がグリップラインまで後退しなければ、カートリッジが装填できないワケだ。
ロータリーロッキングのボルトヘッドと、チャンバー入り口のロッキングリセス。もちろんこれらはダミーだが、WAのこだわりを感じずにはいられない部分。
こだわりといえばここにも。ガスピストンがリアルに再現されている。
結果的にアダとなってしまった.44の刻印。.50AEをモデルアップすればよかった、と関係者たちは地団駄を踏んだに違いない。
マガジンはスチールプレス製のメッキ仕上げ。ブラックモデルでは当初8発だった装弾数がステンレスシルバーモデルでは15発となった。これはマルイ製が装弾数15発だったので改良したのだろう。
マグナブローバックの元祖、ベレッタM92Fのデザインを受け継ぐパッケージ。
DATA
発売年 | 1995年6月15日 (ブラック) 1995年9月5日 (ステンレスシルバー) |
発売時価格 | ¥19,000 (ブラック のちに¥19,800) ¥19,800 (ステンレスシルバー) |
全長 | 実測 273mm |
重量 | 実測 1.120g |
バレル長 | 136mm カタログ値 |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 15発 |
平均初速 | 69.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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