タナカ コルト パイソン357
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
タナカ製パイソンのガスガンといえば、現在ではペガサスシステムを指すことになるが、実はその前作として、ペガサスではないもうひとつのケースレス方式ガスガンが存在していた。ガスタンクがグリップ内に収納されており、そこは通常のガスリボルバーと同じだ。ユニークなのは給弾方式で、なんと、エジェクターシュラウドがチューブマガジンになっているのだ。
BB弾はスプリングの力でシューター側に向かって押し出され、ヨーク内のルートを通り、シリンダーに6つ並んだチャンバーのうち、いちばん下の位置に装填される。したがって、この時点では発射位置にある最上部のチャンバーは空である。つまり、最初は空撃ちかシリンダーの空回しを3回やらなければ、BB弾がバレルと同軸線上に上がってこないわけだ。なんとも不思議なメカニズムだが、ケースレスでガスリボルバーを具現化しようとしたとき、確かにこれはひとつの方法だったのかもしれない。
この特殊なシステムのため、シリンダーはスイングアウトできない。しかし、シングル、ダブルアクションともにトリガーの動きに連動してしっかりとシリンダーは回転し、そういった意味ではまごう事なき「リボルバー」だといえる。同じケースレスリボルバーでもマルゼンのS&W M29のような、シリンダーまで一体成形の単なる固定式ガスガンとは全くの別物だったのだ。
このパイソンを見ていると、ケースレス方式で撃って遊べるリボルバーを作りたい、というタナカの思いを強く感じずにはいられない。1999年末に発売されたペガサスシステムのルーツは、もうすでにここからはじまっていたのである。
ノーマルモデルはABSの黒い地肌仕上げだが、今回紹介したのはニッケルメッキ仕上げのシルバーモデルで、黒いラバー調(硬質プラスチック製)のオプショングリップが装着されている。
マズルはバレル交換のため別部品のプラグになっており、コイン等で回せるよう溝が入っている。
標準のバレル長はが6インチで、4インチ(¥2,500)と、8インチ(¥2,800)の交換バレルが別売りのオプションだった。
交換バレルの仕組み。シリンダーがスイングアウト出来ないため、エジェクターロッドがアウターバレルと一体成形されているのが分かる。
エジェクターシュラウドがチューブマガジンになっており、スプリングの力で後方にBB弾が給弾される仕組み。
シリンダー下部とフレームとの間に突起が見えるだろうか。ここからシリンダーにBB弾が装填され、右に3回転するとバレルの位置まで運ばれ順次発射されるわけだ。
コルト創立150周年記念メダリオン入りのファイティンググリップ付き。オプションで木製グリップも発売されていた。
ペガサスシステムが開発される前だったため、ガスタンクはグリップ内に収納されている。また外部ソース化するキットも発売された。
ステンレスモデルの名の通り、メッキとヘアライン仕上げによってステンレス製の質感がリアルに再現されている。
DATA
発売年 | 1987年秋 (ブラック) 1988年新春 (シルバー) 1988年春 (メタルフィニッシュ) |
発売時価格 | ¥7,800 (ブラック) ¥9,200 (シルバー) ¥9,500 (メタルフィニッシュ 6") ¥9,200 (メタルフィニッシュ 4") |
全長 | 実測 295mm |
重量 | 実測 471g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 24発 |
平均初速 | 73.2m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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