タナカ S&W M4505 / M1006
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
S&Wオートマチックピストルの種類の多さは、銃業界でもトップクラスだ。サードジェネレーション以降、モデルナンバーが4ケタになってからというもの、すべての製品を熟知しているガンディーラーはアメリカでもそう多くないと聞く。M4505は.45口径モデルで、末尾の5はスチールフレームを意味し、4はアルミフレーム、6はステンレスモデルを意味する。
1989年、各社に先駆けていち早くガスブローバックハンドガンのM1911-A1ガバメントを発売したタナカワークスは、その後ベレッタ M1934、コルト 380オート、ルガーP08を次々とモデルアップ。そして1991年秋、当時各社がモデルアップしていた人気のS&Wオートマチックをガスブローバックモデルとしてリリースした。
内部機構は、以前紹介したタナカ コルトガバメント M1911-A1と基本的には同じだ。いわゆるアフターシュートのガスブローバックだが、初期の製品に比べ、かなり改良されているように感じる。
今回、取材した個体は程度も良く、ガスを注入しての実射テストも可能だった。連日の猛暑のおかげもあったはずだが、ブローバックのキレはなかなかのもので、スライドストップも確実にかかった。
くわえて、ダブルアクショントリガーの動きもスムース、デコッキング機能もしっかりと再現されている。マグナブローバック以前の製品としては、ガスブローバックの完成系と言っても過言ではないだろう。
実銃では、いまやポリマーオートに押され気味ではあるが、地方の法執行機関などでは、いまだ現役のサードジェネレーションS&Wオート。エアガンの世界でも、最新のブローバック機構でリメイクすればふたたび脚光をあびるような気もするのだが…。
金属フレーム(実銃であれば)のオートに魅力を感じてしまう、ボクのようなオールドガンファンとしては、つい、そんな妄想をしてしまうのだ。
M4505。直線的な実銃のイメージがとても良く再現されている。ヒケが少ないため平面性が高く、角のエッジもキリッと立っているのはさすがだ。写真の5インチバレルとショートの4.25インチモデルも発売された。
背面に膨らみのないストレートグリップに樹脂製のワンピースグリップが握り易い。またトリガーガードはフィンガーレストの突起が無いラウンドタイプ。
M1006。10mm口径、ステンレス、ショートスライド、デホーンドハンマーという、M4505とは似て非なるキャラクターが見事に表現されている。1992年夏にはフレームシルバーモデルのM1076も発売された。
各モデル5インチと4.25インチモデルが発売された。写真のM1006 "4.25はM4505 "5より20mmほど短いだけだが、かなりコンパクトに感じる。メーカー純正のキャリーオートが注目されはじめた頃のモデルだ。
インナーバレルは真鍮製で内径6.15mmと当時のハンドガンとしては高精度。アウターバレルにはクラウンが再現されており、ひかえめなライフリングと相まってかなりリアル。
S&Wサードジェネレーションオートのバレルはブッシングレス。当時のガンファンには新鮮な形状だった。
リアサイトはノバックタイプ。エアガンとしては調整可能なタイプが欲しかったところだが、キャリーガンの雰囲気を味わうには必須のパーツ。
45AUTO刻印の入ったメタル製チャンバーカバーがリアルなスライドトップ。だがスライドを引いてもエジェクションポートは開かない。
4.25インチモデルに標準装備のデホンードハンマー。ダブルアクションオンリーではないので、少しトリガーを引いてハンマーを手で起こせばコッキングできる。
マガジンはスチールプレス製で実にリアル。パテントの関係かマガジン側に放出バルブがなく、本体側のノズルがマガジン内に入って連結されるため、上部はポッカリと穴が空いている。
DATA
発売年 | 1991年11月末 (M4505) 1992年春 (M1006) 1992年夏 (M1076) |
発売時価格 | ¥14,800 (M4505 "5) ¥13,200 (M4505 "4.25) ¥16,500 (M1006 "5) ¥14,500 (M1006 "4.25) ¥15,800 (M1076 "5) ¥13,800 (M1076 "4.25) |
全長 | 実測 215mm (M4505 "5) / 195mm(M1006 "4.25) |
重量 | 実測 723g (M4505 "5) / 702g(M1006 "4.25) |
バレル長 | 100mm (M4505 "5) |
発射方式 | ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 13発 ("5) / 9発 ("4.25) |
平均初速 | 63.5m/s(M4505) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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