タカトク SSスーパーX
写真&解説 YAS
解説
タカトクはカート式エアソフトガン SSシリーズのヒットを受け、1980年にSSスーパーXをラインアップに加える。Xはローマ数字で10を意味し、SS9000の上位モデルとして位置付けられる。
7mm弾仕様のカート式、装弾数5発のロータリーマガジン、ボルトアクション方式のエアコッキングガンだ。
レシーバーサイズこそSS9000と同じだが、全長は1mオーバー、重量も2kgと、それまでフラッグシップだったSS9000を大きく上回る。チークピースやバットプレートの調整が可能なサムホールストック、より長く太くなったアウターバレル。アジャスタブルなマイクロサイトなど、本格的な精密射撃競技ライフルを意識した作りだ。
1981年には日本遊戯銃協同組合の前身であるエアソフトガン協議会(ASGK)が発足、製造メーカーの自主規約が定められると、SSシリーズはその後、改造防止策や弾の形状変更などのマイナーチェンジが行われ、製品名もSSスーパー9、SSスーパー7、SSスーパー5と変更された。その先駆けとなったのが、このSSスーパーXと言えるだろう。
SS9000と比べるとかなり大型化したSSスーパーX。本格的な競技用エアソフトガンという位置づけだが、すでに木製ストックなどSS9000のカスタムパーツが発売されており、SSスーパーXの優位性はあまりなかった。この数年後には第一次サバイバルゲームブームが到来し、コンパクト&軽量、低価格でカスタムベースとして優れていたSS9000のほうが名実ともに圧倒的人気を誇っていた。
フロントサイトは上下調整が可能。インナーバレルはアルミ製のようにみえる。19.2mm径の太い金属製アウターバレルが採用されている。
マイクロサイトは樹脂製ながらダイヤルで上下左右の調整可能な本格的なターゲットシューティング用だ。セフティレバーはレシーバー右にある。スコープは別売で2500円、スコープ付きパッケージも発売された。
レシーバーとシリンダーはSS9000と共通だが、コッキングハンドルはSSスーパーX専用で一回り大きい。
シリンダーは改造防止策として分解できないようにネジ頭が削られている。
トリガーは金属製でトリガープルは1.02kgほどととても軽快。トリガーガードはSS9000とは異なり金属製でストック側に固定されている。SSシリーズ共通の茶色の樹脂製ストックだが、サムホールタイプで本格的な精密競技射撃用ライフルをイメージさせる。
レシーバーをストックに固定するネジはSS9000と共通。マガジンはSSスーパーX専用で装弾数は5発。
ストックはハンドガード部が太くなっており、大人の手でもかなりボリューミー。
ストック側面のネジを緩めてチークピースの高さ調整を、バットプレートのスペーサーを着脱して長さ調整ができる。バットプレートもレスト射撃に適した形状だ。
SSスーパーX、SS9000、SSオートマグ共通のカートリッジで、樹脂製のてるてる坊主型7mm弾の重量は0.18g。1983年のマイナーチェンジではつづみ型の7mm弾に変更された。
マガジンは装弾数5発のロータリー式。
SS9000と並べてみるとそのサイズの違いは歴然。
実射はサイトを調整しつつ、5mで15cm程度にはまとまる。インナーバレルの精度が良いのか当時の7mm弾としてはかなり真っ直ぐ飛ぶほうだ。発売から40年経過していても初速は66m/s程度あり、5m先のA4用紙を楽々貫通するだけのパワーがあった。
パッケージはブラック基調のシックなデザイン。側面には18歳未満への販売、使用はできない旨、記載がある。パッケージはレシーバーとストック、シリンダー、リアサイトが分解された状態で収まっており、最初に組み立てを行う。この一連の作業に緊張感があってテンションが上がる。
レシーバーとシリンダーを取り外したところ。シンプルな構造で大容量のシリンダー。パワーアップが容易でカスタムベースとして人気を誇った。
取説の表紙。1979年、タカトクはタカトクトイスに社名変更。しかしながらTMガンとして一時代を築いたタカトクトイスは製造担当のマツシロとともに1984年に倒産、SSシリーズはユニックス製造、マルコシ販売のUXスーパーシリーズとして引き継がれ6mmBB弾化、ケースレス化もされた。
マニュアル.PDF(11MB)
当時の製品チラシ。
DATA
発売年 | 1980年 |
発売時価格 | ¥17,500 ¥20,000 (スコープ付き) |
全長 | 実測 1,097mm |
重量 | 実測 1,958g |
バレル長 | 約490mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 7mmつづみ弾 |
装弾数 | 5発+1発 |
平均初速 | 65.79m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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