サンプロジェクト レミントン XP-100
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
メーカーがエアガンを製品化する際、モデルアップする実銃の機種選定というのは大切な要素だ。それ次第で売れ行きがかなり決まってしまう可能性もあり、各メーカーはまずそこで頭を悩ますわけだ。その点、今回紹介するサンプロジェクトのXP-100は、斬新でありながらも良く考えられた機種選定だったのではないだろうか。
発売当初はトリガープルが重いなどと言われたが、実射性能そのものは高く、後にバレルを延長する形でM700へと発展して行った。最初から大型のM700を製品化するよりもまずは小型のXP-100で性能をプルーフし、さらにM700には実銃用のシンセティックストックを使用して小ロットでのコストを抑える。エアガンメーカーとしては新規参入だったサンプロジェクトにとって、最初にXP-100をモデルアップするというやり方は堅実だったと言えるだろう。
ちなみに実銃のレミントンXP-100はM700を短縮化したハンドガンである、というような話を散見するが、正確に言うとそれは間違いだ。XP-100はM660というライフルをプラットフォームとしてデザインされており、M700とは直接関係ない。おそらく、サンプロジェクトのXP-100が後にM700へと発展していったために、そういった説がまことしやかに流れたのではないかと思われる。XP-100のボルトハンドルやトリガーガードなどはM660と同じ形状のため、大型化するのならM660にするという選択肢もあったはずだが、それでは売れなかったはずだ。M700に発展させたというサンプロジェクトの機種選定も、やはり結果的には間違っていなかったのである。
ボルトアクションライフルをベースにしているため、ハンドガンというにはかなり大型のデザイン。アメリカでは今なお現役のハンティング用ハンドガンで、ケネディ大統領の暗殺に使われた銃は本当はXP-100だったという説もある。
サンプロジェクトが製品化したXP-100は、その後木製ストックモデルを装備したXP-100Rなどのバリエーションも登場し、内部メカも年代によってどんどん改良されていった。
インナーバレルそのまま、口径6mmのアウターバレル。実在する口径なら223レミントンか6mmBRあたりのカートリッジを使うということになる。
前方から給弾するタイプのチューブラーマガジン。同じボルトアクションでもボックスマガジンを使用するマルゼンのAPSシリーズなどと大きく異なる部分。装弾数は24発だ。
ウネウネとした立体的造形のストックがよく再現されている。トリガーガードはレミントンM660と同じデザインでM700とはまったく違うことが分かる。
前方に向けて折れ曲がったボルトハンドルもレミントンM660と同じデザイン。
シリンダーが後退した位置でもエジェクションポートが開かないため異物の混入はほぼない。ストロークは約70mm。
レシーバー左側面にはレミントンのロゴとXP-100の刻印が。後に改良されたM700では刻印もMODEL700に変更されている。
別売のマウントベース(¥1,800)は20mmと10mmの2階建て。マウントリングを選ばずに装着出来るという親切なデザインだ。また別売のハンドガンスコープ(¥3,500)も販売された。
サンプロジェクトの商品名としては「Remingthon Model XP-100 Hunting Hunter」だが、ハンティングハンターという意味がよく分からない。そもそも英語としておかしな言葉だと思うのだが…。
マニュアルにある、安全装置をかけても衝撃で暴発する可能性があり過信しないで下さい、という文言がなかなか現実的だ。
manual.pdf
(4.2MB)
DATA
発売年 | 1992年春 1993年末 (XP-100R レピーター) |
発売時価格 | ¥12,000 ¥14,800 (バーミント スペシャル) ¥29,800 (XP-100R レピーター) |
全長 | 実測 536mm |
重量 | 実測 1,240g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 24発 |
平均初速 | 87.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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