新日本模型 AMI H・ボーラー Ⅲ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
いうまでもないことだが、ハードボーラーとターミネーターは切っても切れない関係だ。1984年の第1作目で、現代にタイムスリップしたターミネーターがレーザーサイト付きのハードボーラーをアラモガンショップで奪うシーン、あれが強烈な印象に残っているというガンファンも多いはずだ。
当時、ガバメントのカスタムといえばロングスライドがその最高峰とされており、溶接ではなく、最初からキャスティングで成形された7インチのロングスライドをそなえたカスタムはハードボーラーが最初だった。メーカーはオートマグで有名だったAMTで、オールステンレス製の1911クローンとしてもパイオニアだったといえる。
1995年のMGC製造部門廃業後、製造を引き継いだ新日本模型(旧MGC)は、WAとライセンス契約をおこない、マグナブローバックを搭載したいくつかのモデルを販売した。
このハードボーラーはエアガンとしては初のモデルアップで、なによりセンセーショナルだったのは、映画のプロップを彷彿とさせるレーザーサイトが付属したバージョンも販売されたことだ。細かいディティールにこだわれば粗がなくもないが、雰囲気は十分、これがあるとないとではハードボーラーの存在意義にかかわるといっても過言ではないだろう。後にWAや東京マルイからもハードボーラーが発売されたが、レーザーサイトまで製品化したのは新日本模型だけだった。
1911系のカスタムガンとしてはほぼ最長ともいえる7インチのスライド、現在のレーザーサイトとはまったく違うまるでスコープのようなレーザーサイト、そしてグリップ以外は全身くまなく銀色というこの出で立ちこそがハードボーラーの真骨頂なのだ。
アルミ製のアウターバレルにはダミーのライフリングが刻まれており、かなりピッチがキツめではあるがちゃんと斜めになっている。
ハードボーラーの特徴でもあるスライドトップの薄いリブと、控えめなデザインのフルアジャスタブルリアサイトもしっかりと再現。
スライド、マウントグリップ共にAMIの刻印が。実銃のメーカーはAMTだが、それに引っかけつつも本トイガンの製造メーカーであるAMIと入れるあたりが実に秀逸なセンス。
レーザーサイトはアルミの削り出し。映画プロップの雰囲気をかなりうまく再現している。
単3乾電池2本を使用して後部のスイッチで点灯するはずだが、取材した個体は故障しておりレーザーは発光しなかった。
ダイキャスト製マウントグリップの裏側を見るとトリガー部分にスイッチ取り付け用の溝があり、シューターワン用エースポイントを流用したことがわかる。
マガジンはWAのマグナ1911系の物と共用で、装弾数は15発。
パッケージにはシュワちゃんの勇姿がイラストで描かれており、ターミネーターDVDのロゴも入っていることから、正式にライセンス契約されていたようだ。
DATA
発売年 | 1998年夏 (AMI H・ボーラー) 1998年10月中旬 (AMI H・ボーラー II / III) |
発売時価格 | ¥20,000 (AMI H・ボーラー フレームシルバー) ¥25,000 (AMI H・ボーラー II オールシルバー) ¥23,500 (AMI H・ボーラー II フレームシルバー) ¥29,000 (AMI H・ボーラー III オールシルバー レーザーサイト付) ¥27,000 (AMI H・ボーラー III フレームシルバー レーザーサイト付) |
全長 | 実測 272mm |
重量 | 実測 1,182g ※レーザーサイト含む |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 15発+1 |
平均初速 | 64.5m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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