マルゼン S&W モデル No.59 カスタム
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
マルゼンのM59については、最近、カート式エアコッキングガンのレポートを公開したばかりだ。今回紹介するのはそれよりもっと以前の製品で、M59のエアガンとしては国内最古のモデルである。
インナーバレルが約25mmほどと極端に短く、銃の先端部分からティップアップしてチャンバーに装填するというデザインは、同社製マークスマンガバメントから踏襲されたものだ。さらにそのルーツは、米国マークスマン社製のC02ガスガンにまでさかのぼる。
実銃のCO2ガスガンならともかく、プッシュ式のエアコッキングガンの場合、ここまでバレルが短いとほとんどパワーが出ない。付属の6mmつづみ弾を使うと初速自体は100m/sにせまるものの、飛距離はなんと4m以下、新聞紙も貫通できないほど非力だ。
それでも外観の再現性はなかなかのもので、特に左側の雰囲気はまぎれもなくM59そのもの。若干オーバースケールではあるが、当時のガンファンはこの程度でも「リアルだ!」とココロを踊らせていたものだ。
逆にガッカリさせられるのが右側面で、ご覧の通り、エジェクションポートに相当する部分がない。ほんのちょっとヘコませてモールドするだけでもっとリアルになったと思うのだが、強度的な問題でもあったのだろうか。
そのくせ、なぜかエキストラクターの再現だけはあり、実にチグハグなルックスであることは否めない。おそらく、前作マークスマンガバメントの発射機構はそのままに、外観だけはもっとリアルなものを目指した結果、こうした製品が出来上がったのだと思う。
なお、本エアガンはのちにチヨダが販売を受け継ぎ、多弾数マガジンに改良されるなどいくつかのアップデートを経て、90年代頃まで販売され続けた。
全体的にふたまわりほどオーバーサイズだが、M59の雰囲気はじゅうぶんに再現されていると言っていいだろう。特に、半ツヤ消しのスライドとツヤありフレームのコントラスト、グロス仕上げのグリップなど、質感は秀逸だ。
だが右側面はいただけない。エキストラクターの再現はあるのに、なぜかスライドはのっぺらぼうで、エジェクションポートが見当たらない。
マズルには深々としたライフリングの再現が。この奥に真鍮製のインナーバレルがある。
インナーバレルの長さはたった25mmほどしかない。そのぶんシリンダーは長いものの、これではまったくパワーが出ない。
スライドを押し込むプッシュコッキング式のため、ハンマーの再現はない。リアサイトは左右のアジャスタブルが可能。
スライド上のセフティレバーはダミーで、スライドストップを下げると10mmほどスライドが後退、さらに手動でスライドを引き、元の位置まで押し込むとコッキングが完了する。実銃のマガジンキャッチに相当する部分はセフティ。
マガジンはないが、ボトムプレートはダミーの別パーツが入れられている。
ソフトビニール製の6mmつづみ弾。当時すでにBB弾は存在したが、まだまだつづみ弾の方が一般的だった。重量は0.118g。
スライドを引いた状態でフロント部分を起こすとチャンバーが現れ、1発だけ装填する仕組み。
S&Wロゴ入りのスフトケースが付属するという、かなり豪華なパッケージ。モデル名がNo.59となっているのは、マルゼン独自の解釈だと思われる。
当時のマニュアルは変則的なサイズの紙を使用していることが多かった。解説に「14連発の凄いフルオート拳銃」とあるのはご愛嬌。とにかく情報の少ない時代だったのである。マニュアルPDF (20.7MB)
DATA
発売年 | 1981年初 |
発売時価格 | ¥6,500 |
全長 | 実測 213mm |
重量 | 実測 533g |
バレル長 | 約25mm |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 1発 |
平均初速 | 98.6m/s (つづみ弾) 62.8m/s (BB弾0.2g) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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