マルゼン KG9 フルオート ブローバック
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
マルゼン製品を代表するマスターピースのひとつ、KG9。そのバリエーション中、最終モデルとなったのが今回紹介するガスブローバックモデルだ。マルゼンのガスブローバックは作動時のリコイルが強く、他社製品とはあきらかに一線を画す大迫力がウリだった。
ルーツとなったエアコッキングガンと同じく、バレルジャケットと一体のレシーバーはスチール製で、グリップフレームは3代目のフルオートガスガンから採用されたグラスファイバー製。強度的には申し分のないデザインだ。
エアの供給はマガジンへのリキッドチャージと外部ソースから選べ、ひとたびトリガーを引けば太いボルトが激しくブローバックをくり返し、凄まじいリコイルを生み出す。特筆すべきは「ガガガガッ!」という発射音で、これぞマシンガン サウンド、といったところだ。
電動ガンばかりを撃っていると、ついギアノイズに慣れてしまうものだが、本来、あれは銃の発射音には含まれない「異音」である。その点、このKG9は命中精度こそあまり良くないが、ガスの圧力によって弾丸を発射するという、射撃そのものの醍醐味を味わえるところに存在意義があるのだ。
残念なのは、すでにメーカーが製造を中止してしまったことだ。理由は定かではないが、マルゼンの顔役ともいえるKG9だけに、カタログから消えるのは寂しい限りだ。
1作目のエアコッキングから基本的にほぼ同じデザインをつらぬいたマルゼンKG9。本文中にもある通り、3作目からグリップフレームがガラス繊維入りのプラスチック製となり、細かいことだが各ピン類がステンレス製に変更、より精悍さが増した。
クーリングホールの開いたバレルジャケットはいかにも「マシンガン」という雰囲気で、KG9の大きな魅力のひとつとなっている。フロントサイトは亜鉛合金製でなかなかにシャープな出来ばえ。
バレルジャケットはスチールパイプではなく、シートメタルを丸めて下側でスポット溶接されている。実銃とは違う製法だが、必要以上の強度を出さないためにも懸命なデザインだといえる。
2作目と3作目ではダミーだったボルトも、4作目のガスブローバックでようやくリアルな構造へと返り咲いた。発射は実銃通りオープンボルトポジションからで、ストロークは約45mm。プレシュートのブローバックユニットはタニオ・コバの設計によるもの。
上がガスブローバックで、下はBV式フルオート。本作ではマガジンキャッチレバーが若干短くなり、トリガーガード内に新たにセフティが追加されている。
1作目からずっと流用され続けて来たスチールプレス製のマガジン。装弾数は40発。上部を見ると放出バルブやガスルートパッキンが見えるため、ガスブローバック用であることが容易に区別できる。
コンパクトでシンプルなパッケージ。ほとんどハンドガンサイズの箱だが、KG9はこの中にしっかり収まるサイズなのだ。
DATA
発売年 | 1997年8月 |
発売時価格 | ¥17,800 |
全長 | 実測 345mm |
重量 | 実測 1,628g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 40発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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