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マルシン ワルサーP38
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ワルサーP38のエアガンといえばマルゼン、というイメージがあるが、モデルガンの世界では長らくマルシンの看板商品だった。もちろん、マルゼンというメーカーが誕生するずっと以前の話だ。
上野アメ横の中田商店はミリタリーグッズの販売で有名なお店だが、開業当初はモデルガンメーカーだったというのをご存じだろうか。ラインナップの中にワルサーP38の金属製モデルガンがあり、その製造をマルシンが受け継いだ。それがプラグファイアーBLKのプラ製モデルガンへと発展し、最終的にはこのエアガンへと進化していったわけだ。
発射機構自体はライブカートのプル式エアコッキングだが、前述の通り元々はモデルガンなので、全体的なフォルムはマルシン製モデルガンとほぼ区別できないほど良く似ている。
こういった製品は設計するのも簡単だろうと思ってしまいがちだがさにあらず。改造防止の観点からバレルやスライドなど主要パーツの互換性をなくす必要があり、実は設計もなかなか大変なのである。
モデルガン全盛時代の名残が感じられる名作ではあったが、残念ながら実射性能では他のエアガンメーカーが作る新規製造モデルには遠くおよばず、マルシン製ワルサーP38のひとつの形として、古いガンファンの記憶に残る佳作となった。
ルーツをたどると日本のモデルガン創成期まで行き着くマルシンのワルサーP38。全体的にバランスのとれたフォルム、ベークライトを模した赤褐色のグリップなど、当時としては突出したディティールだった。
マズル部分には6条のライフリングが再現されている。かなり大げさで決してリアルとはいえないが、モデルガンメーカーらしいこだわりの部分。
エアコッキングという機構上、スライド後端だけはどうしても実銃通りというわけにはいかないが、他がリアルなだけに若干目立つ。
セフティレバーはダミー。よく見るとハンマーがかなり薄いが、新規設計のエアガンとは違ってシリンダー容量が限られているため、少しでもスペースを広く取ろうとした結果だと思われる。
スライド側面に露出したエキストラクターはダミーで、エア吐出口横に実際のエキストラクターが配置されている。
フレームのパーティングラインが消されている。これは手作業なので普通のメーカーはあまりやらない。
マガジンはモデルガンと共用で、カートリッジも後のガスオペレーションガバメントやUZIなどと共用。
エジェクションポートから見えるカートリッジ。ここからスライドを押し込んでチャンバーに装填する。
グリップカラーの異なるミリタリータイプとコマーシャルタイプの2種が同時発売された。またデラックスはフレームがシルバーとなる。上箱の写真はコマーシャルタイプだが、商品はミリタリータイプだ。
今の感覚とはだいぶ違うが、モデルガン同様に分解が可能で、パーツも1個から買えた。
マニュアル.PDF (1.5MB)
DATA
発売年 | 1985年3月 |
発売時価格 | ¥5,300 (スタンダード) ¥5,800 (デラックス) |
全長 | 実測 250mm |
重量 | 実測 392g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 8発 |
平均初速 | 27.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
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