マルシン ピストル・カービンディバイス & ベレッタ M92F
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
思うにトイガンメーカーというものは、ある特定のハンドガンがヒットすると、ついそれをカービン化したくなるものなのだろうか。古くは金属製モデルガンのワルサーP38アンクルカービン、エアガンの時代に入ってからはMGCのベレッタM93Rカービンにグロック18カービン、そしてこのマルシン ベレッタM92Fピストル・カービンディバイスのように、である。
今回紹介するキットは、あくまでもハンドガンをカービン化するためのデバイス(装置)単体で、実際に完成させるには別途M92Fが必要だ。マルシンは最初にベレッタM92Fのエアガンを発売したメーカーであり、エアコッキングガン、ガスガンともに当時は相当な数が売れたヒット作だった。
カービン化することで得られるメリットは、なんと言ってもロングバレルによる実射性能の安定化だろう。特にこの頃のマルシン製エアガンはパワーが弱かったため、初速アップに期待したユーザーは少なくなかったはずだ。
いっぽうで、実銃が存在しないオリジナルデザインのため、好みが分かれてしまうというデメリットもあった。それでも前述のMGC製M93Rカービンやグロックカービンなどは、さすがMGCと言うべきかかなり洗練されていたが、マルシンの場合、これは実に微妙かつ独特なデザインセンスだったと言わざるを得ない。
しかし、クーリングホールの空いたスチール製バレルジャケットはまるでベルグマン短機関銃のようで、見れば見るほど味わいのあるデザインではないか。こうした遊び心のある製品が市場に受け入れられていたというところに、当時のエアガン業界の懐の深さを感じずにはいられない。
世の中にピストルカービンは数あれど、ここまで独創的なデザインを具現化したのはマルシンだけではないだろうか。エアコッキングガンをポンプアクション化する、という発射機能面での性能向上まで成し得ているのはさすがとしか言いようがない。
スチールプレス製のバレルジャケット。クーリングホールのおかげで、カービンというよりサブマシンガンのような雰囲気を醸し出している。
オリジナルのM92Fよりむしろ小さくなってしまったリアサイト。せっかくロングバレル化したのだから、ここはフルアジャスタブルにしてほしかったところだ。
木製ストックのバットプレートは同社製のM1カービン用が流用されているようだ。
デバイス内にはこのような形でベレッタM92Fが内蔵される。いちど固定すればガタはなく、かなりの一体感がある。グリップ後部にのみなぜかメッキパーツが使われているのもポイント。
ディバイスに内蔵するマルシン製ベレッタM92Fエアコッキングガン。M92Fのリアルサイズエアガンとしては初の製品で、かなりのヒット作となった。
マルシンのエアコッキングはグリップ後部にシリンダーとピストンをそなえている。スライドを引くとテコでピストンが下に押し縮められ、開放されると上に向けてエアーが放出されるデザインだ。
フォアエンドを引いてスライドをコッキングした状態。また本キットは当時発売されていたスライド固定式ガスガンにも共用できた。
分解されたピストル・カービンディバイス。210mmのロングタイプのインナーバレルがセットされており、ノーマルと交換する事で実射性能も若干アップさせることができた。
パッケージ。ピストル・カービンディバイスはこのキットのほか、M92Fエアー/ガス両タイプ、M84ガスタイプの完成品も発売された。
ロングバレルチューブ(インナーバレル)の取り付けやM92F本体の組み込み方が丁寧に書かれている。マニュアル.PDF (5.7MB)
DATA
発売年 | 1987年夏 |
発売時価格 | ¥7,800 (キット) ¥14,500 (M92F エアータイプ) ¥14,000 (M92F ガスタイプ) ¥13,500 (M84 ガスタイプ) ¥1,980 (M92Fガス専用フルチューニング・パーツ) |
全長 | 実測 753mm |
重量 | 実測 1,238g(デバイス本体のみ) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | - |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | -発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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