MGC コルト デルタ・エリート
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
エアガンとしてモデルアップする機種を選定する際、もっともインパクトが弱いのは口径の違いによるバリエーション展開ではないだろうか。
実銃の場合、潜在的な性能は口径(使用実包)によって決まる部分が多く、口径というのは銃のアイデンティティをつかさどる大切な要素でもある。
しかし、いうまでもなくエアガンは原則的にほとんどの製品が6mmBB弾を使う。パワーの上限にも厳しい縛りがあるため、実銃の口径がなんであれ、実質的にはまったく関係ないわけだ。
そういう意味では、このMGC コルト デルタ・エリートも不遇の存在だったといわざるを得ない。
エアガンとしての構造は固定スライドのガスガン。MGC独自のHARET(ハレット)アクション機構により、疑似的にシングルアクションを可能にしたGM-6のシリーズだ。
このシリーズはコンペティションカスタムが多かったが、デルタ・エリートのアウトラインは一般的な1911そのもの。パッと見、.45口径モデルとの相違点を見つけるのは難しい。
唯一、グリップパネルの赤いデルタマークメダリオンが10mm口径の証しだが、モデルガンと違ってカートリッジがないため、口径という最大の特徴を活かしきれていないのは残念だ。
しかし、デルタ・エリートのノーマル形状に価値を見い出したカスタムファンも存在し、刻印を打ち変えてシリーズ'70にするという、裏技的なカスタムモデルが作られることもあったようだ。
結果的にあまり派手な印象を残すことはなかったが、エアガンの世界にあえて「口径」という概念を持ち込んだという意味で、貴重な1丁だったといえるだろう。
コンペティション系が多かったGM-6シリーズの中では少々地味だったデルタ・エリート。しかし、価格も安く、フォルムがノーマルに近いということで、歓迎するファンも少なくなかった。
銃口はもっとも強く口径を主張する部分。当然、内径は10mmだ。アウターバレルはブッシングと一体成形。
フロントサイトはノーマルより大型で背が高く、ホワイトドットもあり狙いやすい。
リアサイトにもホワイトドットが入った3ドットサイト。ファイアリングピン後端とリングハンマーのディティールは素晴らしく、さすがMGCといったところ。
ステンレス製のチャンバーカバーにも10MM AUTOの口径表示が。
フレームにはパーティングラインが残っている。あまり気にするファンはいなかったということか。
スチールプレス製のマガジン。絞りのラインが入っており、ここも10mmを主張する部分だ。
バルブはカバーされており、俯瞰から見てもエアガンぽさをなるべく感じさせないデザイン。
マガジンボトムプレートにも10MMの刻印。カートリッジがないため実感できないのが残念。
DATA
発売年 | 1988年7月15日 |
発売時価格 | ¥9,900 |
全長 | 実測 222mm |
重量 | 実測 667g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 48.2m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン