MGC ブラックパンサー
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するMGCのブラックパンサーは、メカニズムのルーツをたどればあの名作ベレッタM93Rに行き着く。バリエーションのルガー10/22もしかり、以前紹介したキャリコM1000も同じくだ。それだけ、MGCのM93Rは完成された機構を持っていたということになるが、同時に、それらはすべてハンドガンの延長だとも言えるわけだ。
トリガーの動きに連動してインナーバレルが後退、マガジン最上部のBB弾にチャンバーパッキンを押し付けるようにして給弾するというメカニズムがM93Rに採用されたが、本モデルではさらに発展させた「フィクスドインナーバレル&ムービング・チェンバー」機構を採用し、命中精度を向上させた。つまりバレルは固定されており、トリガーを引くとガスチェンバーを兼ねたブリーチブロックが先進し、マガジンのBB弾を前方へ押してチェンバーへと装填する仕組みだ。
もちろん、セミオートであることが前提なので、長物の場合は細身のカービンタイプの方が整合性も高い。特に、MGCが好んでモデルアップしていた22LRのセミオートライフルなら、口径の点でも近いため、実銃とトイガンの垣根を埋めるような存在としてうってつけだったのではないだろうか。
時はまさにサバゲー全盛期、世に出たばかりのJACフルオートガスガンもまだまだ高価で、しかも30連射が上限だった時代に、ブラックパンサーの40連セミオートと400連マガジンの存在意義は大きかったと言える。銃自体も軽く、グラスファイバー樹脂製で強度も高い。スコープを載せればスナイパーカービンとしての運用も出来るわけで、電動ガンの登場まで大ヒットしたというのも頷ける。
米国のスタームルガー社の10/22ライフルがベースになっているが、実銃にはまったく同じ型のモデルは存在しない。しかし、いかにもありそうな架空のデザインを具現化するのは流石MGCである。
純正のバイポッドが装着されているが、ストックと同じガラス繊維入樹脂製で軽く、洗濯バサミのように開いて挟むだけで取り付けられる。
この個体はフロントサイトが欠損していたため、現オーナーが視認性の高いピンク色のプラ板で新設している。インナーバレルもオリジナルより長く、カスタム品のようだ。純正はホワイトドットのフロントサイト。
リアサイトブレードはミレットタイプで狙いやすい。マウントベースは20mm幅と10mm幅の二階建てで、どちらのリングでも装着が可能。
本体側面に大きなMGCのロゴマーク。ルガー10/22ライフルを模したレシーバーには、22ではなく25 BB CALIBERの刻印を入れるというのがいかにもMGCらしい。
サイドスイング式の折り畳みストックは剛性が高くしっかりとしており、強く構えてもゆがんだりしない。
ゴム製のバットプレート。ここにもMGCのロゴが入っており、全体的にMGCオリジナルであることが強く主張されたエアガンだ。
グリップ底部のガス注入口。ボンベ直結も可能だったが円柱状のグリップはガスタンクとしても大容量で、条件が良ければリキッドチャージでも1マガジンを撃ち尽くすことが出来た。
残弾がひと目で分かるマガジン。設計者の小林太三さんはモデルガン時代からクリアーモデルを作ったり、タニオコバブランドになってからもUSPのシースルーマガジンを作ったりと、実はかなりの透明素材好きかもしれない。
ゴム製のふたを外してBB弾を流し入れ、フォロアーを引いてリザーブタンクからマガジン本体に40発のBB弾を装填する。
DATA
発売年 | 1987年12月16日 |
発売時価格 | ¥15,000 |
全長 | 実測 898mm / 642mm(ストック折畳時) |
重量 | 実測 1,150g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス (リキッドチャージ / ボンベ直結) |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 40発(リザーブタンク内約400発) |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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