マツシロ スーパーモーゼル オートカスタム
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
マツシロの「スーパー」シリーズには、スーパーコルトガバメントとスーパーブラックホークカスタム、そしてこのスーパーモーゼルオートカスタムの3機種があった。
中でもいちばんリアルだったのがモーゼルで、当時、とかくオーバーサイズになりがちだったハンドガンの中では、群を抜くほど正確なディティールが売りだった。
これはやはり、後ろに突き出すシリンダーのデザインによるところが大きいだろう。
疑似ブローバックである以上、発射後にシリンダーが後退するのは当然だが、当時はこれをハンドガンのスライドにうまく内包する事が出来なかった。
そのためガバメントでは、後退したスライドからさらに円筒形のシリンダーが突き出すという、ヘンテコな銃になってしまったのだ。
その点、モーゼルなら、実銃のデザインがそもそもスライド式ではなくボルト式だ。
実銃のボルトは四角形だが、円筒形のシリンダーがそれに取って代わっても、当時のガンファンはあまり違和感を感じなかったようだ。
それだけリアルなエアガンに飢えていた、という事であり、思えば大らかな時代だったのである。
ちなみにこのシリーズ、ガバメントとモーゼルは、エアガンの商品名として「スーパー」が冠されているわけだが、ブラックホークだけは実銃のモデル名がすでにスーパーブラックホークだ。
実銃もエアガンも、いかにスーパーという名前が流行していたのか、という事が分かって興味深い。
当時、モーゼルミリタリーのモデルガンはMGC製とハドソン製が入手可能だったが、全体的な雰囲気はMGCを参考にしたと思われる。モーゼルミリタリーのトイガンとしては唯一、ABS樹脂製で黒色のモデルだったため、モデルガンファンにも広く受け入れられたエアガンだった。
マツシロはタカトク製品の製造もおこなっていたが、自社ブランドでも製品を展開していた。
上下左右の調整が可能な金属製タンジェントリアサイト。メタルフィニッシュ系のメッキで仕上げられている。
インナーバレルはアルミ製とプラ製の2種類が存在するようだ。
モーゼルミリタリー最大の特徴である、装填クリップからのフィーディング。上から押し込む事で10発のカートリッジを一気に装填可能。
バレル付け根の刻印はフォントこそ違うが実物通り。エジェクションポートから見えるシリンダーは円筒形だが、雰囲気は決して悪くない。
シリンダーの後退ストロークは約67mm。リコイルスプリングガイドは片持ち式だ。
モーゼルのロゴマーク、段付きリングハンマー、円柱状のセフティなど、モーゼルミリタリーのディティールがしっかりと再現されている。
カートリッジは9mmサイズなので一般的な7.62mmモーゼルよりも若干太い。純正の6mmつづみ弾は空気抵抗が少ないと謳われていた新型。
マツシロスーパーシリーズのパッケージは、全種共通した雰囲気のデザインで統一されていた。
マニュアルには各部の名称が細かく解説されているが、ローディングクリップの事をスピードローダーと表記しているあたりはご愛嬌、といったところか。
> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1980年 |
発売時価格 | ¥5,800 |
全長 | 実測 320mm |
重量 | 実測 475g |
インナーバレル長 | 約130mm |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング |
使用弾 | 6mmつづみ弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 34.5m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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