タカトク SSオートマグカスタム / マルコシ UXスーパーオートマグ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
長いエアガンの歴史の中で、「実在する銃をモデルとしたハンドガン」としては、ごく初期の製品と言えるのがタカトク トイスのSSオートマグカスタムだ。
それまでのエアガンは長物が中心、しかも実銃が存在しない、架空デザインの物がほとんどだった。
そんな中、若干オーバースケールだったとはいえ、ここまでリアルにオートマグを再現した製品の登場はまさに衝撃的であり、業界に激震が走ったと言っても過言ではないだろう。
また、ブローバックのようにケース(カートリッジ)を自動排莢する、というメカも画期的だった。
「オートバックメカニズム」と名付けられたこの機構は、ボルト(シリンダー)を押し込んでコッキング、発射後はスプリングの力でボルトが後退し、ケースを自動で排莢する。
現代のガスブローバックとは比べるべくもないが、ケース式エアコッキグガンの主流として、以後10年以上に渡り各メーカーがコピーし続けたシステムだ。
1984年にタカトク トイスが倒産した事で、製造委託していたマツシロも連鎖倒産、その後マツシロはバンダイ資本で再建されユニックスとなり製造が引き継がれ、販売元はマルコシへ、モデル名も「マルコシ UXスーパーオートマグ」と改名された。
その際、カートリッジが7mmつづみ弾から6mmBB弾仕様となり、さらにその後、ケースレス式&ケース式のハイブリットモデルへと改良されたが、結果的には中途半端な物となってしまったようだ。
販売は1990年頃まで続けられていたが、他社のエアガンがどんどん高次元へと進化して行く中、やがてひっそりと市場から消えて行った。
タカトク SSオートマグカスタム。SSとはスーパースポーツの頭文字で、当時は競技射撃用のイメージで売りたかった事がうかがえる。
バレル上のクーリングホールが実銃より多く、若干オーバースケールだが、スラリとしたバレル長でうまくバランスを保っている。
販売はタカトクだが、レシーバーの刻印はパテントを取っている製造元のマツシロの刻印となっている。レシーバー前方には安全対策かスリットが入っており、前進したシルバーのボルトが見える。
ボルト後端にはダミーのハンマーがモールドされている。リアサイトは上下左右のフルアジャスタブルで、当時としてはかなり贅沢な仕様だった。
当時はまだブローバック作動があまり認知されていなかったため、発射後に勢いよく後退するボルト(シリンダー)に顔を近付けないよう、注意書きがそえられていた。
マガジンはスチールプレス製。黄土色のケースが7mmつづみ弾用で、黒色はUNIXブランド以降の6mmBB弾仕様。2色の7mmつづみ弾は純正品ではない。
左、マルコシ UXスーパーオートマグ、右、タカトク SSオートマグカスタム。刻印以外、どちらも外観は同じだ。
タカトクの7mmつづみ弾用インナーバレルはアルミ製。当時のインナーバレルは金属製の物が多かった。
マルコシの6mmBB弾用インナーバレルはプラスチック製。高級感に欠けるだけでなく、精度面でも疑問が残る。
タカトク SSオートマグカスタムのパッケージ。全体的にシックで落ち着いた雰囲気が印象的だ。左上にTAKATOKU CO.LTD.と社名がある。製造委託していたマツシロとの頭文字を取ってTMガンシリーズと呼ばれることもある。
マルコシ UXスーパーオートマグのパッケージ。この時点ですでにASGKに加入しており、箱には"エアーソフトガン"の文字が入れられている。
マルコシ UXスーパーオートマグのマニュアル。実銃の歴史から操作方法まで、かなり丁寧な内容となっている。> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1978年 (タカトク SSオートマグカスタム) 1986年 (マルコシ UXスーパーオートマグ) |
発売時価格 | ¥6,500 (ブラックモデル) ¥9,000 (シルバーDXモデル) |
全長 | 実測 397mm |
重量 | 実測 770g(マツシロ)/ 700g(マルコシ) |
インナーバレル長 | 約155mm |
発射方式 | プッシュ式エアコッキング ケース式オートバックメカニズム |
使用弾 | 7mmつづみ弾 (マツシロ) / 6mmBB弾 (マルコシ) |
装弾数 | 7+1発 |
平均初速 | 92.2m/s (マツシロ : つづみ弾) / 72.4m/s (マルコシ : 0.12gBB弾) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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