マスダヤ アーチンエクストラ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
マスダヤ製つづみ弾エアガンのラインナップ中、今回紹介するアーチンエクストラは比較的新しい世代の製品だ。この頃のマスダヤ製品はどれも実銃にはないオリジナルデザインだが、やはりどこかにその時代ごとの雰囲気が反映されているもので、初期製品であるデタッチャブルシリーズなどはいま見るとかなりクラシカルな感じがする。その後、サンダーボルトあたりから木製風の茶色系ストックが廃止され、全身ブラック一色の製品が多くなってきたのだ。
アーチンエクストラになると、オリジナルデザインとはいえどこかAR15風ともいえるようなエッセンスが随所に見られる。最初に目がいくのはやはり三角形のキャリングハンドルと、XM177風のストックだろう。全体が4つのパートに分割できる仕組みで、キャリングハンドルも取り外しが可能だが、リアサイトとしての機能はない。
発射方式は当時一般的だったプル式のエアコッキングだが、使用するつづみ弾は全長の長い「ロングショット」と呼ばれる物だ。それまでのつづみ弾にくらべて命中精度が高いというのがウリだったが、実際はほとんど変わらず、3mでマッチ箱にあたるかどうか、といった程度だ。もちろん、当時のつづみ弾エアガンとしてはそれが当たり前で、「違う種類の弾を使う」ということ自体に、なにかこうワクワクさせるものがあったのである。
ちなみに、アーチンというのは「悪ガキ」というような意味なので、そこにエクストラがつくのだからそうとうなワルが使う銃、ということになる。昔も今も、エアガンはアウトロー少年の象徴だったのである。
AR15風のキャリングハンドルとXM177風のストックで近代感を出しつつも、バレルの下にもう1本細長い棒状のパーツがあるため、まるでウィンチェスターレバーアクションのような雰囲気もあわせ持った何とも味のあるデザイン。
キャリングハンドルは単なる持ち手で中心部は空洞となっていて、そこからバレル上にあるリアサイトとフロントサイトを覗くことになる。
バーティカル フォアグリップを折りたたむとバレル脱着用のリングがあらわれる。
XM177風のストックは伸縮できないが、ストックチューブを時計回りに90度回転させれば脱着できる。
レシーバー上部の装弾ゲートカバーを前にスライドさせると給弾口があり、ここから7mmロングショットつづみ弾を一発ずつ押し込んで装填する。装弾数は6発。
トリガー前方にある長方形板状のパーツがコッキングハンドルで、ハンドルを起こしてコッキングしたら、再び折りたたんで発射するボルトアクションのような機構。コッキングハンドルが起きているとトリガーは引けなくなる。コッキングのストロークは50mm。
セフティは左面トリガー上にあり、スイッチを後方へスライドするとトリガーがロックされる。
4つのパートに分割できるのが大きな特徴。分解してコンパクトに持ち運べるというのは、当時の少年向けエアガンにとっては重要なポイントだった。
キャリングハンドルを取り外した状態でも普通に狙って撃てる。グリップの丸いデザインはフィンランドのバルメ62を参考にしたようにも見えるが、だとしたらなかなかのセンスではないだろうか。
DATA
発売年 | 1982年 |
発売時価格 | ¥7,000 |
全長 | 実測 738mm |
重量 | 実測 1,437g |
バレル長 | 実測 315mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 7mmロングショットつづみ弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 35.7m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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