マスダヤ ファルコン GV-078
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
以前、マスダヤのファルコン FN-077を紹介したが、今回紹介するのはそのロングバージョンにあたるファルコン GV-078だ。
当時は、様々なアタッチメントなどを取り付けることで外観を変化させるエアガンが多かった。マスダヤの製品ではデタッチャブルシリーズがその代表格で、今風にいえばトランスフォームガンといったところか。ハンドガンタイプのFN-077に対し、GV-078では取り外し可能なストックを装備。フォアエンドを追加しアウターバレルを延長することで、ライフルタイプに進化させていている。
だが性能的にはFN-077と同じで、初速や命中精度が上がるなどとといった機能性の向上はまったくない。そこが古い製品の残念なところで、エアガンが大人の趣味と呼べるようになるまでには、ここからまだまだ長い時間が必要だったわけだ。
給弾方法はFN-077とおなじくリボルビング弾倉式。ソフトビニール製の6mmつづみ弾を8発収納し、ボルトハンドルを引くたびに、ピストンのコッキングと弾倉の回転が同時におこなわれる仕組みだ。
飛距離は3mほどで、つづみ弾の重量が約0.1gほどとおそろしく軽いため、弾道は気まぐれでヒュンヒュンとカーブする。何かを真面目に狙って当てる、という使い方はとうてい不可能だが、当時は「弾が飛ぶ」というだけで、じゅうぶん価値があった時代なのだ。
興味深いのは、弾のパッケージやマニュアルのどこにも「つづみ弾」という文言が書かれていないことだ。それはこの時代の他のエアガンも同じで、単に「弾」や「弾丸」と呼ぶのが普通だった。
ちなみにモデル名のファルコンというのは猛禽類のハヤブサのことだが、GV-078というナンバーの意味は不明だ。もしかするとGVというのはガバメント、政府のことを指すのかもしれない。だとすると、近未来の公用ライフルかなにかをイメージしていたのだろうか。
もちろん、今となってはネーミングの由来は謎のままだ。しかし、そういった想像をするのも、実銃を忠実にトレースした現代のエアガンとは違う、ビンテージエアガンならではの楽しさなのである。
日本特有の射撃スタイルとして「ハンドライフル」というエアライフルの形態があるが、それを模したのではないかとも思える独特なデザイン。
バレルが延長されているが、マズルまわりはハンドガン版のFN-077と同じ。メッキの仕上げはこの個体の方がかなりキレイだ。
レシーバートップにはリブとリアサイトが増設され、FN-077と比べるとかなり高級感が増している。なぜかリアサイトが2つあるが(笑)、照準に使うのは後方のサイトのみ。
後方のリアサイト(ヘンな言い方だが)は折りたたむことができる。
付属のストックが取り付けられ、ライフルスタイルにできるというのは本当に大きな魅力だったのだ。このストックはFN-077にも装着可能だ。
8連発のリボルビングマガジン。中心のラチェットによって回転する仕組み。
ハンドガード下側の穴からレバーを押すと、マガジンポート屋に見える銀色の棒が引っ込む。
そこにマガジンを挿入し、レバーを離して銀色の棒をマガジンの中心に通して固定する。
弾のケース自体が銃弾の形をしているというイカしたデザイン。本文中にもある通り、どこにもつづみ弾とは書かれていない。
セットに付属するターゲットスタンド。標的射撃専用である、ということを強くアピールするオプションだ。
パッケージの上箱は通常の厚紙製だが、木目調で高級感があり、かなりコストがかかっていると思われる。
全10ページにもおよぶ微に入り細に入ったマニュアル。飛距離25mなどという表記があるが、いったいどうすればそんなに飛ぶのかは不明。仰角35度で撃ったとしてもかなりオーバーだと思うが、もちろんこれでいいのである。今も昔も、ボクたちに夢をあたえてくれるのがエアガンなのだから。
マニュアル.PDF (33MB)
DATA
発売年 | 1978年 |
発売時価格 | ¥8,500 |
全長 | 実測 545mm / 830mm (ストック取付時) |
重量 | 実測 1,645g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | エアコッキング |
使用弾 | 6mmつづみ弾 |
装弾数 | 8発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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