エルエス ベレッタ M92-F
写真&解説 YAS
解説
現在でもベレッタ M92Fは人気モデルではあるが、1985年、米軍に制式採用されると、映画『ダイ・ハード』(1988)、『リーサル・ウエポン』(1987)、『男たちの挽歌』(1986)等々、多くのアクション映画で主人公達が使用した。とにかく今とは比べ物にならないほどの人気モデルで、各メーカー、モデルアップの筆頭に挙がるモデルだった。
エルエスはもともとキットモデルのエアガンを発売しており、それ以外にもCOMBAT SETSというラバーナイフや手榴弾のキットや、発泡スチロール弾を飛ばすバズーカも発売した。
比較的低価格帯の製品が多かったが、AK74やステンMK2などのフルオートガスガンも発売、キットを完成品でリニューアルしていくなど、エントリーからハイエンドまで幅広いラインアップを展開していた。
外装はすべて樹脂製のため、プラなりの質感ではあるものの、スライドとフレーム側面のヘアライン仕上げや、全体の造形は2000円のエアコッキングとは思えないほど。細かい部分を言えばプラスネジが露出していたり、ダミーモールドが多いが、もともとキットモデルであったことを考えれば十分だ。
マズルの造形は肉厚がやや薄いせいか、その分口径が大きく見える。マズルから2~3cm奥まった位置にアルミ製のインナーバレルが見える。
スライドにはピエトロベレッタ、メイドインイタリーの刻印がバッチリ入っているのも時代を感じさせる。
WAが不正競争防止法に基づく訴訟を起こす1990年代後半まで、リアルなベレッタ刻印が再現された製品が各メーカーから多く発売されていた。
リアサイトは固定式のスクエアノッチ。スライド左右のセフティレバーはネジ留めされた固定パーツでダミー。ハンマーはスライド動作で動くがコックはされない。スライド右面にはモデル名と口径表示の刻印。トリガーバーはモールドのダミー。
セーフティはスライドキャッチ後部を上へスイッチするとトリガーがロックされる。
樹脂製トリガーはやや粘りがある感触だが、トリガープルは630gでエアコッキングガンとしては軽く感じる。指掛けのついたトリガーガードは当時新鮮で、ユーザーの憧れでもあった。
グリップにもベレッタのマークがしっかりと入っている。マガジンキャッチはダミー。
マガジンはリップのある割りばしタイプ。装弾数は18発で、マガジンフォロアーが底部でロックする仕組み。
マルイのエアコキなどに比べるとコッキングは重め。アウターバレルはマズル部分が別パーツになっている。
ホップ機構はもちろんないが、弾道性能は距離5mなら6cm程度にまとまり、8mだとA4用紙になんとか当てられるかといった感じだった。経年劣化か、たまにダブルフィードしてしまうこともあった。初速は0.2g弾で46m/s程度。
完成品パッケージになって白いデザインに統一された。このM92-FはエアハンドガンシリーズNo.16で、確認できるだけでもNo.46のオメガ10mmオートなど、バリエーションも含めてかなり多くのモデルが発売された。
今思えばこの時代のエルエスと東京マルイは競うかのようにエアコッキングハンドガンのシリーズを急拡大していた。両メーカー共に、フルサイズマガジン化、ライブアクションハンマー、ショートリコイルギミック、固定ホップアップといった機能向上もおこなわれたが、結局のところ、その覇権を握ったのは弾道性能で勝る東京マルイだったのだ。
完成品の取説。マニュアル.PDF (1.7MB)
DATA
発売年 | 1986年冬 |
発売時価格 | ¥2,000 (キット / 完成品) ¥2,500 (キット ストック付き) |
全長 | 実測 216mm |
重量 | 実測 310g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 18発 |
平均初速 | 46.73m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン